本当に忙しい人は静かに淡々とこなしている
いつ頃からかしら・・・
忙しさをアピールするのってカッコ悪いなと思っていたの。
多分小学生くらいの頃からだったと思う。
おマセさんだったわけでも、大人子どもだったわけでもなくて
どちらかというとボーッとした子どもだったわ。
いつも家には不機嫌でセワしない母がいた
母親がいつもバタバタと忙しそうに動いている人だったの。
話そうとしても、セワしない雰囲気を全開で出すし・・・
(イライラした様子がわかると話す気もなくなるじゃない)
ゆっくりお茶を飲むような優雅さも無いし・・・
いつもセカセカと忙しそうにしていたのよ。
でも真夏はボンボンベッドで昼寝をしていたわね。
何であんなに会話をする余裕もなかったのかしらね。
昔は仕事をしているわけでもなかったし・・・
パートに行き始めたらさらにバタバタしていたわね。
一方で田舎の祖母はバタバタしていないのよね。
一緒に買い物に行くと好きなお菓子を買ってくれて
おやつの時間にはお茶を用意してくれたり・・・
ある時優雅な祖母の方が超多忙だと知る
で、そんな祖母を見ていてある時気がついたの。
田舎はお商売をしていたの。
だからその忙しさは半端ではなかったはずなのよね。
帳簿をつけたり、電話を受けたり
従業員のこともあったし
まだ子どもだった私には分からない仕事が山のようにあったの。
それに加えて・・・
朝昼晩の食事の用意、私たち孫の世話
買い物、家事(掃除洗濯)、保存食作り
あれ?この人って朝から晩まで休みなく動いている!
昔は着物を着ていたし動きがバタバタしていないのね。
私たちとちゃんと会話もするし冗談も言うの。
話し方が方言だからかしら、受け答えも優雅だったのよ。
そう、よく観察してみると
優雅に見えて実は超忙しい人!
小学生の私はそれに気がついたのね。
いつだったかしら
その事を母親に話したことがあるんだけど
いい気がするわけないわよね
その件についてはその後一切話したことがないわ。
それからかしら・・・
忙しくても優雅でいたいと思ったのね。
忙しいとバタバタするのはみっともないと・・・
でもまあ実際はバタバタしているのだけどね。
祖母の余裕はそれまでの過酷な人生から
祖母のあの余裕の感じはどこから来るのかしらね。
考えたら戦前に嫁いだ先は大家族
(10人+嫁である自分+舅姑+女中や丁稚)
田舎でも大きい方だったらしいわ。
そして今よりずっと不便な時代を生きてきた人なのよ。
戦時中は疎開先から自転車で買い出しに行ったらしいけど
凸凹の山道を片道2時間かけてですって。
何もかも焼き尽くされてゼロから違うお商売を始めたそう。
いろんな苦労があっただろうし、事故にも遭っているのよ。
考えたらとんでもない修羅場を生きてきているのよね。
今の暮らしなんて、いくら忙しいといっても、いろんなものは便利になっているんだし・・・
祖母にとってはきっと余裕なんだと思ったわ。
そう、私たちが想像できないくらいの過酷な体験や生活があったのよ。
(もちろん祖母だけではなかったと思うわ)
今の暮らしはそれを生き抜いた安定の上にあるのよ。
加えて世の中は平和だし、生活用品は便利だし・・・
忙しくても笑っていられたんでしょうね。
本当に忙しい人は口ではなく手を動かしている
とにかくそんな体験があったからなのか・・・
忙しい時ほどそれを顔に出さないようにしたいと思ったの。
マダム♡千壽が本当に忙しかったのは
シングル子育て真っ最中や、介護を抱えてた時なんだけど
死ぬほど忙しい時って、それを周りにアピールする余裕すらなかったわ。
だからかしら・・・
忙しさをアピールする人って、絶対忙しくないと思うの。
本当に忙しい人は何も言わずに淡々とこなしているわ。
口を動かさずに手を動かしているはずよ。
忙しい、忙しいとばかり言っている人には騙されないわ。
忙しいとすぐ口にする人が、テレビはしっかり見ていたりするんだもの。
いつだったか、忙しい忙しいと喋ってばかりいる人の横で
さっさと3品作っていたら「え?もうできたの?」って言われたわ。
そんなものなのよね。
私は祖母のように優雅にはできないけれど
(あれは地獄を見たからの余裕のなせる技よね)
家族から見たらバタバタと格好悪いけれど
他人には余裕でこなしているように見せているの。
まあこれは祖母への憧れからなのかもしれないわね。
過酷な時代を生き抜いたご先祖への尊敬と感謝の気持ちを持って
祖母の着物を着ているわ。
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