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実習先で祖父と day4

2021/12/23 Thu.

今日は祖母が祖父に電気毛布を届けるために大学病院へやってきた。

コロナで面会禁止のため、祖母は預けて帰るだけだが、

昨日祖母が来ることを聞いていたので、実習がおわってから、会う約束をしていた。

祖母に会う前に、祖父の病室にいくと、すでに看護師さんが電気毛布を持ってきてくれていた。

電気毛布を二重に敷くと

やっぱりこれこっちにして。

と電気コードの接続部分の位置が逆だと言われた。

祖父は意外と注文が多いんだな、と思った。

そんな一面も、今までは頻繁に会うことがなかったため知らなかったが、最近は毎日会っているから徐々に気づくようになったのかもしれない。

電気毛布を敷きなおして、「ばっちゃんに会ってくるね」と言って祖父の病室をあとにした。

祖母との待ち合わせ場所に行くと

ひゃーー似合ってるわぁ〜

と祖母が白衣姿の私をみつけて駆け寄ってきた。

小さい時から、将来何になるん?って聞いたら
お医者さんって言ってたもんなぁ
白衣きてよ〜立派やわ

ほんとうに病棟内でこんな話をされるのは恥ずかしかったが、祖母がずっと見たがっていたので、会えてよかったなぁと思った。

少しお茶でもする時間あるんか?

とこちらの時間を気遣いながら誘ってくれた。

病院内のスタバに入り
「ばっちゃん何にする?」と聞くと

ふつうのホットコーヒー

と言われ笑いそうになった。

スタバのメニューが多すぎて分からなかったみたいだ。

スターバックスラテを頼んで席に着く。

すると、祖母が「お礼」と書いた白い封筒を私の前に置いた。

これ、じっちゃんお世話になってるから

と。そんなんいいのに。「休憩時間に行ってるだけやから、気にせんといて」と言っても祖母の遠慮は止まらない。

そんな頻繁に行かんでいいんよ、会いに行ってくれて、じっちゃん喜んでるけどな、ななちゃんにマイナスなことがあるようやったら辞めいよ

と続く。

私は遠隔転移までしている進行癌で先がどれだけかわからない祖父にできるだけ会いに行きたいだけなのだが、

祖母は勉強の妨げになるんじゃないかと心配で仕方がないみたいだった。

ただ、祖母や家族は祖父の病態を詳しく分からないため、私の「後悔しないようにできるだけ会いに行く」という行動は「そこまでせんでも...」と見えるのかもしれない。

かといって、私は学生の身で、たまたま祖父が実習先にいるから、こっそり病室を覗いているだけで、家族として病状説明を受けたわけでもない。

私から祖母に、祖父の予後を伝えるわけにもいかないので、それは主治医の先生と祖母が話すタイミングになる時まで私は見守るしかできないなと思う。

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これ、昨日作ったからあげる

私は祖母にカップケーキを渡した。

昨日、祖母が来ると聞いてから、思い立ったように深夜に作ったのだった。

数年会っていない祖母に会えることが楽しみだった。

そして、祖父が入院するまで大変だっただろうなと想像すると労りたくなった。

祖母は

ええ!作ったん!

と驚きながら「おやつにいただくわな」とかばんにしまった。

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祖母に「駅まで送っていくよ」というと

勉強せなあかんのちゃう
バスで帰るよ

とやっぱり遠慮された。

「駅に本屋さんと図書館あるから、
 そこで勉強するんよ。ついでに乗っていき。
 着替えて車取ってくるからここで待ってて」

そういうとやっと

あぁそうか、わるいなぁ

と言ってくれた。

車の中でも

あんま話しかけたらあかんか、運転集中できへんな

と言って遠慮しながらも沢山お話しした。

私は祖母を駅の改札まで送り、図書館に行った。

今日は数年ぶりに、祖母と会えて私も嬉しかった。

また明日、祖母と話したことを、祖父に話そう。

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