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ビットコインってなんだろう?(Part 5)

みなさんこんにちは。ネコバンです。


⚠️補足:これは2022年のアーカイブ記事です

この「ビットコインってなんだろう?」シリーズは、2022年に、自分のブログで掲載していた記事の再掲です。サーバーを借りて、WordPressでサイトを構築して、記事を書いて・・・というスタイルで半年くらい続けましたが、典型的な敗北パターン(収益化の壁&工数の壁にぶつかり)により、続けるのが困難になったため、ブログは閉鎖して、記事だけnoteに引っ越してきました。

いま読み返してみると、ちょっと・・・というところもありますが、手を入れ始めると収拾つかなくなりそうなので、アーカイブ的な位置付けで、押し入れの奥に眠っていたちょっと恥ずかしい昔の日記・・・といった風情で、あえてこのまま再掲させて頂きます。

ちなみに、2023年12月9日現在、ビットコインは冬の季節を乗り越えて、1BTC = 44,000ドルまで回復しており、これから半減期に向けて、さらなるジャンプアップを控えている・・・という、素敵な季節がきています。これを機会に、ビットコインの魅力とその将来性を少しでも感じて頂ければ幸いです。このビッグウェーブを一緒に楽しみましょう!


Part4では、ビットコインの成長と、仮想通貨業界全体のバブル、そして冬の時代についてお話ししました。年を重ねるごとにその光と影が色濃くなっていくように感じます。また、ビットコインを太陽として、そのまわりを無数のアルトコイン が生まれては消えていき・・・という風に、ひとつの生態系を見ているかのような錯覚にも陥ります。それではPart5をお楽しみください。

▶︎ この記事に書いてあることの要点
・変わらないビットコインと、変わり続ける暗号資産環境

@2019年

▶︎ 年初の価格:1BTC=410,000円

昨年から「冬」が始まり、価格が大きく下がってスタートします。

  • 2019年5月8日
    Binanceがハッキング被害を受ける

  • 2019年5月21日
    改正資金決済法が可決

  • 2019年6月
    フェイスブックは独自のアルトコイン「Libra」を発表

  • 2019年08月19日
    楽天ウォレットがサービス開始

  • 2019年9月17日
    LINEグループによる取引所BITMAXがサービス開始

恒例行事になりつつある取引所のハッキングですが、海外大手のひとつであるBinanceでも起こっていました。被害状況について、Binanceの公式サイトから引用します。

"The hackers were able to withdraw 7000 BTC in this one transaction: https://www.blockchain.com/btc/tx/e8b406091959700dbffcff30a60b190133721e5c39e89bb5fe23c5a554ab05ea. The above transaction is the only affected transaction. It impacted our BTC hot wallet only (which contained about 2% of our total BTC holdings). All of our other wallets are secure and  unharmed."

出典:Binance公式サイト

「ハッカーが7000BTC奪っていったけど、資産のうち2%のホットウォレットだけで、他の全部は安全だよ!」という内容です。昨年度のCoincheck事件でも触れましたが、ハッキングを受けても、顧客の資産がコールドウォレット管理されていれば、実被害は防ぐことができます。今回はまさにその対策が功を奏して、一時的に取引が停止されたようですが、顧客への被害もなく、ビットコイン価格も大きな影響は受けず、沈静化されたようです。

改正資金決済法は、2017年に施行された「資金決済法」の改訂版です。「資金決済法」によって、取引所が登録制になったり、利用時の本人確認を定めたりなど適正化が行われたものの、ハッキング被害など含めてやはりまだまだリスクが高いよね・・・ということで改正に。ちなみにこの法改正によって、顧客資産のコールドウォレット管理が義務付けられ、ホットウォレット管理分の資産は補填できることを前提としなければならなくなりました。なので、少なくとも日本の取引所のウォレットの安全性はだいぶ担保されたと考えても良いと思います。

 💬 外野スタンドからの声
 「仮想通貨が「暗号資産」になったのもこの時ちゃうか?」

 🐈‍⬛ ネコバン
 「そうなんです!法的な呼び方が変わりました。
  暗号資産になったことで、ただのコインではなくいろんな形と
  価値を持つ資産という位置付けに変わってます。進化してます」

さあ、そして「Libra」の登場です。・・・の前に、Facebookとか楽天とかLINEとか、大手IT企業の名前も出てきて、仮想通貨(とあえて呼びますが)がだいぶ身近に近づいてきた感じがしますね。この時期、冬からまた夏に向けて、盛り上がりを見せていくフェーズに入ってきている印象ですが、この中で注目したいのは「Libra」です。

💡Libraとは?
・ドルやユーロや円などの複数の法廷通貨を裏付けとしたバスケット型のステーブルコイン
・法定通貨を裏付けとしているので、裏付けのない仮想通貨(ビットコインなど)のような価格変動を回避できる
・ブロックチェーン技術を使うことで、安全&迅速&安い手数料で送金できる
・銀行口座を持てない人たちも、国境をまたいで自由に送金できる

ステーブルコインというのは、簡単に言うと、発行元が100ドルの資産を保持して、その100ドルと交換可能な分だけのコインを発行しますよ、という種類の仮想通貨です。なので、実質、100ドルを持っているのと同じことなのですが、ステーブルコインとして持つことで、上記のようないろいろなメリットを享受できるというわけですね。

そして天下の?Facebookが、取引所をやります、ではなくて、ステーブルコインを作ります!となったので、これはとても大きな反響を産みました。ただ、反響が大きすぎたんですね。結論から言うと・・・このプロジェクトは数年に及ぶ壮大なすったもんだの末に、消滅してしまいました。なぜ消滅したのか?これについては、とても面白いのですが、ここで書こうとすると大変なことになってしまうので、Libraのことはまた別でまとめたいと思います。Libraは消滅しましたが、その影響はその後の仮想通貨の潮流を大きく変えるものだったと思います。興味ある方はぜひいろいろ調べてみてください!

@2020年

▶︎ 年初の価格:1BTC=790,000円

この年はコロナウイルス影響による大暴落から、その後の大暴騰という、アップダウンの激しい1年になりました。

  • 2020年3月12日
    COVID-19の影響による各種資産の大暴落

  • 2020年8月
    マイクロストラテジーが米上場企業として初めてビットコインを購入

  • 2020年10月21日
    米ペイパルが仮想通貨決済導入を発表

  • 2020年12月17日
    ビットコインが2017年末のバブル期の最高値を超える

大暴落については、ビットコインどうこうでもなく世界の資産全体が影響を受けているので、どうしようもない部分です。大事なのは、暴落後の推移ですが、年末にかけて回復するどころか、前回の仮想通貨バブル期を超える最高値まで駆け上がります。

  • 3/13:582,108円

  • 12/29:2,837,320円

桁数を間違えてる・・・と思うくらい、信じられない推移です。たった10ヶ月弱で、約4.8倍・・・まぁその分、下がるときも凄いですけど。こういう価格推移を見て感じるのは、世界中がビットコインを中心とした暗号資産の価値をまだまだ測りかねているんだなぁということです。確固たる信頼基盤(=絶対的な価値)がまだ見えないから、逆に言うと、まだその多くのポテンシャルが眠っているから・・・ちょっとしたことで価格が大きく変動してしまうんですね。先が見えないからこその面白さを感じるのが暗号資産の楽しみ方なのかもしれません。

そして、PayPalの仮想通貨決済導入、MicroStrategyによるビットコイン購入など、昨年に続いて、企業が仮想通貨をビジネスに、投資に、取り込んでいく動きがどんどん出てきます。ちなみにこのMicroStrategyはビットコイン購入で有名な会社で、先月もこんなニュースが出てました。

"マイクロストラテジーは、米国証券取引委員会(SEC)に提出した報告資料の中で、480BTCを平均2万817ドルで追加取得したことを明らかにした。購入総額は現金で1000万ドルだった。今回の購入により、マイクロストラテジーはビットコインを12万9699BTC保有することになり、ビットコインの法人保有者としては最大となった。保有額の総額はおよそ39億8000万ドルにのぼる。"

出典:COINTELEGRAPHジャパン

2022年7月現在のいま、何度目かの仮想通貨の冬まっさかりなのですが、MicroStrategyは変わらず強気です。こういうの、すごく勇気付けられますね。ちなみにこの会社はビットコイン投資企業みたいですが、本業はソフトウェアビジネスを営んでいるようです。がんばってほしいです。

@2021年

▶︎ 年初の価格:1BTC=3,460,000円

昨年末に最高値を迎えたビットコイン。その後の推移を見ていきましょう。

  • 2021年2月
    Teslaが15億ドル分のビットコインを購入

  • 2021年4月14日
    Coinbaseがナスダック上場

  • 2021年6月
    中国がビットコインのマイニングを禁止

  • 2021年6月9日
    エルサルバドルがビットコインを法定通貨に

MicroStrategyに続いて、Teslaもビットコインを購入します。その後の3月には、イーロン・マスク氏が「テスラの車をビットコインで購入できるようにする」ことを発表しますが、大量の電力が必要なビットコインのマイニングが「エコじゃない!」という世論の反発を受け、結局数ヶ月後にその発言を撤回。ビットコイン価格は暴落しましたが、その心境を以下のように語っています。

"To be clear, I strongly believe in crypto, but it can’t drive a massive increase in fossil fuel use, especially coal"

出典:イーロン・マスク氏のTwitter@2021/5/14

「fossil fuel」というのは化石燃料のことです。「仮想通貨のことは信じてるけど、化石燃料の消費を加速させるのはちょっとね」というところでしょうか。マスク氏が仮想通貨に興味を持ってくれるのはありがたいですが、ちょこちょここのパターンの「イーロン砲」が炸裂して、Twitterひとつで大変な騒ぎになるので、ドキドキです。

Coinbaseのナスダック上場は、暗号資産業界のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場企業)として初めてということもあり、話題になりました。それ以降、BlockFi、Kraken、Ripple、Circle ...などの企業も続々と上場を進めていきます。Coinbaseは直近、2022年5月に「フォーチュン500」の企業に、暗号資産業界で初めて選出されて、こちらも話題に。こんな風に少しずつ、社会が暗号資産を受け入れていきます。

中国のマイニング停止については、意外といえば意外ですが、納得といえば納得という感じです。中国は実はもともとはビットコインのマイニング量が世界1位の時代がありました。電力含めた設備費用が安いこともあり、石炭発掘場や発電所がある地域にマイナーたちが集結。2019年にはマイニング量の75%を占めるまでに発展していたんです。

 💬 外野スタンドからの声
 「中国でマイニングできなくなってどこ行ったんや」

 🐈‍⬛ ネコバン
 「隣のカザフスタンとか、あとはアメリカやカナダですかね
  マイニング設備の冷却を考えると寒冷地が好まれるようです」

・・・という話ではあったんですが、後になってこんな見解も示されています。

"...最も特筆すべきは、中国の復活だ。2021年6月の政府による禁止令後、中国全体で報告されたハッシュレートは、7月から8月にかけてゼロまで急減した。しかし、それが9月には突如、30.47EH/sまで急増。中国はマイニング能力の点で、世界で2番目(全体の22.29%)の地位に躍り出た。"

出典:Cambridge Centre for Alternative Finance

つまり、中国のマイナーたちは一時的に地下に潜伏して様子を伺っていたけど、ほとぼりさ冷めそうな時期を見計らってマイニングを再開した・・・という見方をされています。マイニング設備はそんなに簡単に移転できるものでもないので、あながち・・・

そして最後のエルサルバドル。ビットコインがまさかの、世界で初めて法定通貨となりました。エルサルバドル政府が公式ウォレットとして「CHIVO(チボ)」を国民に配布し、登録者には30ドル相当のビットコインをプレゼントする、というスタートでしたが、その後どうなったかというと、あえて詳細は省きますが、大方の予想通りなかなか大変な状況になってます。そりゃそうですよね・・・という状況ですが、そもそもなぜエルサルバドルはこんな奇策に打って出たのか?

💡ビットコインを法定通貨にした背景
・エルサルバドルのGDPはその約18%を海外送金が占め、全世帯の3分の1が海外からの送金を受けている。
・そのため、送金コストが安価なビットコインを法定通貨とし、国民の手数料負担を削減し、国内経済を活性化したかった

おおまかなストーリーはそのあたりにあったようですが、やはりビットコインの価格変動の凶暴性にシンプルについていけないというのが実態となっており、直近2022年の価格暴落によって70億円ほどの含み損が・・・というニュースも流れています。時期尚早と言ってしまえばそれまでですが、なんというか、こういうチャレンジも暗号資産の可能性を検証するひとつの重要なフェーズだと思うので、がんばってほしいです。

@まとめ

うぁぁー走りきりました!やりきった・・・

Part1のビットコインが生まれる前から、直近の2021年まで、ビットコインを中心とした暗号資産業界の動向を切り取ってご紹介させて頂きました。いかがでしたでしょうか。

こうやって歴史を俯瞰してみて改めて感じたのは、ビットコインのその異常な強靭さです。執拗に繰り返されるハッキングや法改正、いろんな事件、それにまつわる世論の波、経済状況の変化、国と企業のあれこれの対応・・・そんなこの15年間の荒波の中で、どこかで転覆して沈んでしまってもおかしくなかったと思うんですが、ビットコインはちゃんと生き延びています。

しかも、2008年に生まれた時から、その生態システムは何一つ変わっていません。小さなアップデートはありましたが、基本設計はそのまま15年経過した今も当時のまま動き続けています。通常、世の中のサービスは「どう改善していくか」を常に考えられるものですが、ビットコインは「どうすれば変わらないでいられるか」が主題になっている、不思議な存在です。なんというか、太陽系みたいですね。ビットコインが恒星で、その周りを惑星である国家や企業が取り巻いて・・・

さて。2022年はビットコインにとって(暗号資産にとって)どんな年になるでしょうか。7月までのこの半年間で既に沢山のことが起こり、今まさに激動の最中ですが、ビットコインもがんばってますので、我々も気をしっかり持って、この冬を乗り越えましょう。

ご清聴ありがとうございました!


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