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エッセイ八彩帖エピソード99「県営渡船と御畳瀬の町」

 高知市には海を渡る県道が存在する。そのお話し、ついでに干物女のハナシ。(顔出ししているが10年以上前の写真だ)

エッセイ八彩帖「県営渡船と御畳瀬の町」

 高知市には、浦戸から御畳瀬(みませ)を結ぶ珍しい海の上の県道がある。県営渡船、通称「渡し」。昔は車なども乗せていたようだが、今は人と自転車やバイクだけ。それでも通学やお遍路さんなどには欠かせない、重要な交通ルートである。もちろん県道だから無料。タダでクルーズ気分を楽しめるので、観光にもバッチリだ。

 物好きな私たち家族も、観光目的で渡船に乗った。あれはもう10年以上も前のことだったか。細い浦戸の路地を抜けて、船着場へ。渡船と言っても立派な船だ、結構揺れる。乗るだけでワクワクするのは船の良いところで、遠く見える浦戸大橋や御畳瀬の街並みに歓声をあげる私。およそ10分弱の船旅は終わり、御畳瀬へ。この御畳瀬、なかなかに魅力的な町なのである。私のような昭和レトロ好きは狂喜乱舞しそうな建物が、そこここに。ひとつ路地を入ると、まるでタイムスリップしたかのようだ。昭和から時が止まったままの店構え(今も開いてるのか?)、木造の家々を興味津々で眺めてみる。

 港の方へ出てみると、干物が太陽の光をさんさんと浴びて干されている。沖ウルメにメヒカリ、御畳瀬名物ですね。干物を物色していると、地元のおんちゃんに声をかけられた。「これいるかよ?」と取り出したのは、何と人の顔ほどもある大きなスルメ!しかも2枚も!これも私が美人だからですね♡(←絶対違う)。気前の良いおんちゃんのおかげで、気分上々↑↑その時の写真には、帰りの船の上でスルメを掲げてニタニタ笑う私の姿が写っている。これが本当の干物女だ()。

 御畳瀬といえば。今はもう廃校となった旧御畳瀬小学校にて、どういういきさつだったか失念したが、なんとフォークの神様であるあの岡林信康のコンサートが開かれることになった。もちろん物好きの我が家族もかけつけた。別にファンでも何でもなく、知っているのは「山谷ブルース」と「チューリップのアップリケ」くらい。それが実際コンサートに行くと、意外に盛り上がった。最後はみんな総立ちでノリノリだったぞ。岡林信康、愉快なおじさんでした♪そんな思い出もある、御畳瀬の町のお話し。

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