(TW6)アルダワ魔法学園の日常
第六猟兵
イェーガーカードからのイメージSS
https://tw6.jp/gallery/?id=138376
ケットシーサイズに合わせたアルダワ魔法学園の制服、授業や迷宮探索の相棒である鞄を肩に掛けて。
本を一冊持って冬原・イロハは図書館への道を歩む。
入学した最初の頃、広大な魔法学園でよく迷っていたのも今となっては懐かしい。
(「だいぶ慣れてきました」)
色々なことに慣れてきた。
勉強はもちろん、休み時間にクラスメイトのノリで唐突に決まった迷宮探索について行くことも。
喋ることはまだ探り探りな部分があれども、最初の――自身を拾ったポノと一緒にいたばかりの頃にくらべて確かに成長しているとイロハは感じる。
こうやって目的地に向かって一人でシャキシャキ歩くのがとても楽しい。
図書館に入って本の返却手続きをする。
やはり最初の頃は恐る恐るであったが、
(「うん、慣れてきた慣れてきた」)
願い出て、受理されて、目の前で起こる些細な変化が自身から発せられたものだと思うと嬉しい気がしてくる。
鞄に物を詰め込むのも、今やお手の物だ。
取り出しやすいように位置を決めれば、後はスッスッと手が動いてくれる。
回復用のポーションや災魔除けの粉、災魔から逃げるためのアイテムは取り出しやすい位置に。猫のキャップ付きは首をひっこぬけばちょっとした爆破物となる。
「あれ、冬原さん、今日は本を借りないの?」
図書係のクラスメイトに尋ねられ、イロハは「はい」と頷いた。
「今から迷宮に行く約束をしているんです」
「ああ、テスト明けだもんね。皆、野原の迷宮に行きたがってたね」
「はい。周囲の災魔を倒して、あとは思いっきりお昼寝するのだとか」
「日光浴だね。あそこあまり災魔こないし、一日中ぽかぽかしてるもんねぇ」
発見した階に野原の迷宮がまだあるといいね。
そんな雑談をして別れる。
「はわ、約束の時間が迫ってきます……!」
しばらくのんびり歩いていたイロハが、ハッとなって走り出した。
スカートの裾が翻るが、これは動きやすいキュロットタイプ。
昼寝は家でも出来ないことはないが、学園の友達と一緒にやるのは格別なのだった。
水筒は自分の物を。お菓子は持ち寄り。鞄には今、お菓子がいっぱい入っている。
ちょっと重いけれども、わくわくとした重み。
「間に合いました~!」
軽やかな走りでイロハは約束の場所へと飛び込んだ。
(終わる)