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28 可愛い戦争離脱組
私の人生といえば、可愛いを探し求めている、長く寂しい険しすぎる旅と言っても過言では無い。
学生時代、外見のことを異性からいじられた事を皮切りに気が狂ったかのように、己の外見に執着している。
可愛くないのに、なんでそんな服着てるの
可愛くないのに、派手なメイクするのやめなよ
可愛くないのに、クラスで人気の○○くんのこと好きになるなんて
可愛くないのに、マネージャーに立候補者するなんて
可愛くない奴が、ヒエラルキーにそぐわない行動を取ると周りが嫌な気持ちになるらしい。
好きなことを好きというのには、可愛くないといけないらしい。
可愛くないことは迷惑らしい。
可愛くない私が行動することは、1種ハラスメントだと咎められ、罵られ、外見に固着することを余儀なくされてきた。
可愛いという、ステージから引きずり降ろされた私は、オシャレとか、面白いとか、賢いとか、自己承認欲求を他のところで発散させようと必死だった。
髪を染めてみたり、極端に短くしてみたり、奇抜な服を着てみたり、可愛い子に可愛くないやつが対抗するには、それくらいしか方法が無かったのだ。
可愛い戦争、勃発地域において、しばらく鍛錬を積むこと十数年、研究が生かされてきたのか、学生時代、私のことを散々に言っていた奴らからDMが来るようになった。
仲良くしてくれる人も増えた。
浮いた話も多少は増えた。
人として好きなことをすることを周りから、とやかく言われることが無くなった。
人権を得た。
外見なんて、まやかしに過ぎないのにくだらない。
私の中身はずっと変わってないのに。
まぁ、しかし
外見って、確かに、一情報だし、1番目に飛び込んできやすいものだから、綺麗に整理整頓しておくことは大切である。
外見って、玄関だから。
これが私の口癖。
玄関がいくら綺麗に整頓されていても、中入ってとっ散らかっている様では仕方がない。
だから、私のリビングに入ってきて、私が気に入って買ってきた、ちょっと変なインテリアを褒めて欲しいし、水周りを綺麗に掃除しているところを褒めて欲しい。
部屋に髪の毛が落ちていないことを褒めて欲しい。
私も同時に、貴方のベットの横に置いてある、ちょっと変わったぬいぐるみを愛でたい。
可愛い戦争から離脱しつつある今、確かに、学生時代、私の外見について五月蝿く言ってきたやつらには、正直感謝すらしている。
おかげで、周りから褒められることも増えたし、好きなこともできているし、可愛いってたくさんの人に褒めて貰えてるよ。
沢山、否定してくれてありがとう。
今も過去も全部ぜーんぶ、抱きしめて、私、もっともっと可愛くなるね。
これからも、ずっと、私の事見ててね。
そんな性格悪い私の独り言でした。
お付き合い頂きありがとう。
暖かくなってきたけれど、また、寒くなるみたいだから、寒暖差に揉まれて体調崩さないよう、皆様ご自愛ください。