「関西女子のよちよち山登り 2.国見山~交野山」(3)
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階段が終わると、狭く平らな場所に出た。そこが国見山の頂上だった。
「確かにいいなあ!ここ」
こんもりした緑の森の向こうに大阪や京都の街が、遙か先に、横に長く伸びる大きな山の塊が見える。そして空は白い雲を乗せてどこまでも青い。
時計を見ると、登山口からまだ三十分ほどだ。登山開始からたったそれだけでこの景色が見られたことに、登和子はお得感すら感じた。
景色を見ながら少し休憩する。
ザックのサイドポケットから小さなスポーツドリンクのペットボトルを取り出す。
ガイドブックによると、初夏でも最低一Lの飲み物が必要らしい。だが、金剛山のときに五〇〇mlをやっと飲みきったくらいだったので、今回は五〇〇mlの麦茶と二五〇mlのスポーツドリンクを持参した。
おなかが減る前に、ついでにおやつ袋から小袋の柿の種を出してつまんでおく。
「柿ピーのこのピーナッツ好きやわあ。ピーナッツもう少し増えへんかしら」
柿の種とピーナッツを一緒にもぐもぐ食べながら景色を眺めていた、その矢先のことだった。
ズキ。
一瞬、へその上あたりが痛んだ。
登和子はぎょっとして動きを止めた。
腹痛が起きるかもしれない。
登和子は腸があまり強い方ではなく、自由にトイレに行けないこの状況で、本格的におなかが痛くなってはたまらない。
急いでポーチの薬入れの中から胃腸薬を取り出す。以前は正露丸を愛用していたが、においがネックで、同じくらい効用を感じた赤玉はら薬を常備することにしていた。
小さな赤い粒たちを麦茶で流し込む。
これで「ズキ」が腹痛に成長しなければいいが……登和子は不安を抱えたまま、国見山を後にした。
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