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ベランダピクニックのススメ

4月の二週目がスタートし、園や学校も新学期が始まった。

私たちが住む北東北の桜はまだつぼみだけれど、陽の光は柔らかい。

春のにおいがする。


2年前のちょうど今頃、九州から転勤してきた当時は気候のあまりの違いに驚いてばかりだった。夏のような暑さの日に汗をかきながら引っ越しをして向こうの家を引き払い、家財が届く中3日をおいて、関東からこの地に入る新幹線が山あいを通った時にはまだ辺りに雪が溶け残っていた。


なかなか太陽の陽射しを感じられない長い冬を過ごすと、春の訪れがとりわけ眩しくて嬉しい。

春夏が短いからこそ、思う存分満喫してやろう、というワクワクした気持ちになる。

本格的に暖かくなってからはもちろん、まだ風が冷たくても晴れた日にできる春先の楽しみの一つが、ベランダピクニックだ。

我が家は、築40年越えの古い2LDKのマンションで、ベランダも決して広いわけではないけれど、ベランダにレジャーシートを敷いてクッションを持ち出したり、キャンプ用の折り畳みチェアを広げると一気に楽しくなる。

例えまだ肌寒くても、ゆっくりと公園に行く時間や気持ちの余裕がなくても、ベランダならすぐに行けるし、すぐに帰って?来ることが出来る。


言いだしたのは息子で、園庭やホールにレジャーシートを広げてピクニックごっこをする幼稚園なので、それを家でもやりたいと思ったらしい。

おにぎりやおやつをベランダで食べるだけでも、気持ちが浮き立つのは不思議なほど。

今年初めてのベランダピクニックをした今日、思いのほか寒いのですぐに退散して部屋で温まっていた私に、ひとしきりお気に入りの恐竜のおもちゃで遊んだ息子が「そろそろおにぎり作ってくださいよ~」と。

急いでおにぎりと卵焼きのお弁当をこしらえて、防風のマウンテンパーカーとニット帽といういでたちで、ベランダで食べた。

「寒いね~。美味しいね~。」と、笑顔になったひととき。

春がはじまる。


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