『「糖質制限」その食べ方ではヤセません』の感想
『「糖質制限」その食べ方ではヤセません』/大柳 珠美
高糖質な食生活をして肥満におちいった管理栄養士の著者が、血糖値を
コントロールしようとして、厳しい目の糖質制限食に飛びつく話。
ほぼ全く炭水化物をとらない食生活に移行することで、血糖値上昇を
抑えながら肥満も減少していく……のだけれども。
著者の大柳さんがその時に実践していた食生活は血糖値のみを重視した
もので、「血糖値さえ上がらなければステーキだろうが唐揚げだろうが
何食べてもいいじゃん」というような考えになってしまい、気がつけば
深刻な栄養失調とアルコール依存沼に突き進んでいたということに
なっていったのだった。(どんな『管理栄養士』だ)
ある意味反面教師的に、「安易に「糖質制限食」に飛びつくと、こんな風
にしてエライ目に会うよ」という(悪い意味での)見本のような本ではある
のだけれども。
肥満の糖尿病の方が、病院のカロリー制限食による「インスリン注射依存+
血糖値上昇」から抜け出そうとして、今度は「厳しい目の糖質制限食沼」に
はまり込み、深刻な栄養失調と腸内環境の悪化を招いた結果、それに連鎖
するようにして「アルコール依存沼」にもドハマリしていく…ということは
よく分かったのだった。
人体の貧困化、資源枯渇と、アルコール依存はつながっていたのである。
それは精神力でどうにかしようとしても、どうにかなるものではない
負の連鎖のようなもので、人は体の栄養(ビタミン、ミネラル)が
欠乏していくと、アルコールがとても魅力的に映ってしまうもので
あるらしい。
糖質制限食を全否定する気はないけれども、計画性を欠いた糖質制限食を
実践して、まるで「糖尿病から自分を(努力なしに)救ってくれる救世主」のように盲信するのはいかがなものか、と私は思ったのだった。
(ものすごく危険ですし……)
糖尿病への対策というものは、本来「体作り(ボディービルド)」をして
いくものであって、体脂肪を減らすためとはいえ、体を弱らせるもので
あってはならないと思う。
安易に厳しい目の糖質制限食を実践することで、脂肪を落とそうとすることにより、人体の中に大量の遊離脂肪酸が発生してしまい、それが原因で過酸化酸素が大量発生してしまう、というのを聞いたことがある。
肥満にせよ糖尿病にせよ、安易な逃げ道に逃避するのは危険なのである。
脂肪という健康面の負債は、ちゃんと運動(ちょっとキツ目の筋トレ習慣)をすることで燃焼しましょう、ということになるんだと思う。
それにしても著者の大柳さん、栄養士の組合から出禁くらってたりするし、
大丈夫なんだろうか…?;
「糖尿病という迷いの森の闇も深いものだわな」と思った一件でした。
指導する者が迷子になってどうするのと。