『不思議な惑星の話』
ある宇宙船が、惑星に不時着しました。
その惑星の住人が心配して宇宙船を取り囲むと、
中から宇宙服を着た、具合の悪そうな男が出てきました。
男は言いました。
「私は宇宙病という自分たちの文明の医療技術では治療できない病気にかかってしまいました。何とか治せないかと色々な惑星を回っていた所、宇宙船の調子が悪くなり、こちらへ不時着したというわけです。」
すると長老らしき年老いた男が出てきてこう言いました。
「私らの文明は遅れており残念ながらあなたの病気を治すのは難しい、だがこの惑星は時間の流れが場所によって違う。」
「ほれ、あそこに遠くに見える大きなビル群があるじゃろ、あそこは時の流れがここよりはるかに早く、文明もどんどん発展している、あそこに行けば治療法も見つかるかもしれん。」
そう言われた男は、村でラクダに似た不思議な生き物を借り、遠くにかすかに見える巨大なビル群に向かって旅をし始めました。
村を出て1週間後。言われた町は近づいているはずなのに、どうも町のサイズが小さくなっている様に思われました。
村を出て1ヶ月後、
ようやく男はその町にたどり着きました。
しかし、そこには遠くから見ていた天にもかすむようなビル群はなく、
荒廃した街の姿があるだけでした。