『潜在意識』
ある晩、彼は突然目が覚めた。時計を見ると、深夜の3時だった。
彼は何か不気味なものを感じ、寝室を出てリビングルームに向かった。
すると、そこには見知らぬ人物がいた。彼は怖がりながらも、
その人物に声をかけた。
「あなたは誰ですか?何をしているんですか?」
すると、その人物は微笑んで答えた。
「私はあなたの夢の中に現れた人物です。私たちは、あなたの潜在意識が具現化した存在です。」
彼は戸惑ったが、その人物は続けた。「私たちはあなたの内面に潜む問題や欲望を表現するために現れます。私たちの出現は、あなたが解決しなければならない問題や、達成すべき目標を示しているのです。」
それから毎日、彼は出てくるようになった。
ある日は居間でテレビを観ながらソファでゴロゴロと寝そべり、又ある日はキッチンの冷蔵庫から手当たり次第に食べ物を口に放り込んでいた。
はじめのうちは多少の恐怖もあり見て見ぬふりをしていたものの、こいつが自分の潜在意識だと思うとだんだん腹が立ってきて、とうとうある日、口を出さずにはいられなくなった。
「君ねぇ、いくら僕の潜在意識だからと言って、そうだらけた生活や食い意地は何とかならないものかね。もっと将来のために勉強をするとか資格を取るとかそういう心構えはないのか?」
それを聞いて、彼はちらとこちらに視線を向けたものの、
何も言わず又自分の作業に戻った。
そんなある日、同じく夜中に目が覚めた彼は、さて今晩はまたなにをしているのかと居間や台所を見回ったがどこにもいない、
玄関扉を開けて外を覗いてみたが、流石にこんな夜中にどこにでも行くものではないかとベットに戻って来た彼は、膨らんだベッドがもぞもぞ動いているのに気づいた。
ギョッとしたものの「おい、人のベットに潜り込むとはいい度胸だ。」
彼が勢いよく布団を引っぺがすと、何と女を連れ込んでいるではないか。
「全く、人の家に女を連れ込むとはいい度胸だ」
激高した彼が怒鳴り散らすと。
ベットの男はやれやれといった表情を見せ言った。
「はぁ、またお前か、俺は欲望のままに生きるんだ。
将来の事なんて知った事か」
そういうと怒鳴っていた男がふっと消えた。