『かっぱえびせんの人』
朝起きると、身体がかっぱえびせんになっていた。
何かの間違いだとは思ったが、出勤時間が迫っていたので
スーツを着てネクタイを締め、満員電車に飛び乗った。
周りの目が気になったが誰も特に気にする様子もなかった。
ただ、常に腰が湾曲しているのが辛かった。
エビの気持ちが分かった。
仕事終わり、同僚に誘われて飲みに行った。
散々愚痴を聞かされた挙句、酔っぱらった同僚にちょっと
かじってよいかと言われ、逃げるように居酒屋を飛び出した。
駅から自宅までの帰り道、ぽつぽつと雨が降って来た。
焦ったが、傘を持って来ておらず、体が雨を吸って
だんだん重たくなってきているのが分かった。
自宅が見えたが、歩みは遅く、身体を引きずって歩くような
ありさまだった。
何とか自宅までたどり着き、意識がもうろうとしたままベッドに
倒れこんだ。そのまま意識を失った。
朝目覚めると、じゃがりこになっていた。