『真夜中のバス停』
意識がもうろうとしていた。
久しぶりに会った友達と居酒屋で飲んでるうちに
ずいぶんと深酒をしてしまった。
上機嫌で友達と別れた後、まっすぐ帰ればよかったものの
いくつかより道をしてしまい、ずいぶん深い時間になってしまった。
とうに終電も出てしまい、歩いて帰る羽目になったのだが、
歩いているうちに睡魔まで襲ってきて、ふらふらであった。
ふと目に留まったバス停のベンチに少し休むつもりで腰かけた。
車通りも途絶えた静かな道路に、申し訳ていどの街灯がぽつりぽつりと光を落としていた。
うつらうつらと下を向いていると、頭越しに何かが止まる音がし、
ぷしゅー、ガタン、
と馴染みのあるバスの扉が開く音がした。
あぁ、まだバスの運行があったんだとふと顔を上げると、
そこには確かに四角いバスのような形の影はあったが、
何かつかみどころのない、もやもやとした物質で出来ていて
何か影のようなものだった。
普通なら不気味に思うものだが、随分と酔っていて
意識ももうろうとしていたので、
特に怖いとも思わずに乗り込んだ。
どうしても横になりたかったので、座席の最後尾まで行くと
倒れこむように横になった。
そこはバスの座席にしてはふわふわでとても寝心地が良く、
男はそのまま深い眠りについてしまった。
朝、目が覚めると昨日の服装のまま、自宅のベットで横になっていた。