『超能力者』
サラリーマン風の男が、裏路地で不良に絡まれ殴られそうになっていた
その時、ふと時間が止まった。
男は殴られる寸前だったので顔を腕でガードしていたが
様子がおかしいことに気付き、ふと顔を上げた。
馬乗りになっている不良と自分の姿が静止してそこにあった。
横に覆面を付けた男が一人立っていた。
「あ、あなたが助けてくれたんですか?」男が聞くと
「そうとも言える、だが私は時間を止める事しかできない。時間が動き出せば恐らくあなたは殴られるだろうし、逃げ出すのは自分で何とかしてもらう他ない。」
男は路地を見回し、手ごろな武器になりそうな鉄パイプが転がっている
のを見つけた。
そして路地を出てどこか助けを求められそうな場所を探すと、通りを
曲がった先に交番がある事に気付いた。
「ではこれで。」
男の声が頭に響くと、顔に殴られた衝撃が走った。
だが冷静さを取り戻し、不良を蹴り上げ、目星をつけていた鉄パイプを
つかむと思いきり殴りつけた。
思いもよらない反撃に驚いている不良の脇をすり抜け、
男は通りを曲がり目星をつけていた交番に駆け込んだ。