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独学編集者の音声編集のやり方③【RXを使ったノイズ処理編】

今回は音声作品において最もお世話になるであろう、RX 11を使ったノイズ処理の手順の一例を説明します!
RX 11は、iZotopeが提供する高度なノイズ処理ツールで、精密な音声編集が可能です。最も安いElementsはDAWなどのプラグインのみとして使用可能、より細かく処理をしたい人は、スタンドアロンで動くStandard以上を持っておくと良いでしょう。

目的や状況に応じた具体的な手順を解説します。

1. ノイズ処理の準備


RX 11の起動とオーディオのインポート


1. RX 11を起動。
2. ノイズ処理したいオーディオファイルをドラッグ&ドロップ、またはファイルメニューからインポート。

基本的なノイズ除去ツール


(1) Dialogue Isolate

• 用途: 人間の声を抽出し、背景ノイズを極限まで軽減。
• 手順:
1. プリセット「Dialogue Focused」を選択。
2. Strengthスライダーを調整して声の存在感を強調。
3. 必要に応じて「Ambience Preservation」で自然な背景音を残す。

(2) Spectral De-noise

• 用途: 音のスペクトルを視覚的に解析し、不要なノイズ部分を精密に削除。
• 手順:
1. ノイズが多い周波数帯をスペクトルビューで確認。
2. 必要な部分だけを選択してノイズリダクションを適用。

特定の問題を解決するツール



(1) De-click

• 用途: ポップノイズ、クリック音、レコードノイズの除去。
• 手順:
1. プリセット「Mouth De-click」や「Standard De-click」を選択。
2. Sensitivityを調整して必要な範囲だけ処理。

(2) De-clip

• 用途: 録音時の音割れやクリッピングの修正。
• 手順:
1. Thresholdを調整してクリッピング部分を検出。
2. リアルタイムプレビューで効果を確認しながら適用。

(3) De-hum

• 用途: 電源周波数やハム音(50Hz/60Hz)の除去。
• 手順:
1. Frequencyを50Hzまたは60Hzに設定。
2. 必要に応じて倍音(Harmonics)を有効にして深いノイズも除去。

(4) Voice De-noise

• 用途: ボーカルや対話音声のノイズ処理に特化。
• 手順:
1. Adaptive Modeを有効にして自動ノイズプロファイル取得。
2. Reductionスライダーで処理の強さを調整。

選択範囲による手作業でのノイズ処理



RX 11を使うことで、目視でもノイズを特定し削除できます。
• 選択ツール: ノイズ部分だけを選択(矩形ツール、ペンツールなど)。
• Gain : 選択部分の音量を下げる。(Gainの項目かInstant processで)
• 修復ツール: Spectral Repairで除去したノイズ部分を補完。

プロジェクト全体のノイズ処理: バッチ処理



• RX 11のBatch Processorを使用して複数のファイルに一括でノイズ除去設定を適用できる。
• ノイズプロファイルを保存して再利用することが可能。(収録条件が異なる宅録の場合には非推奨)

ノイズ処理後


1. プレビュー: DAWで音声を確認し、処理のやりすぎが無いかをチェック。
2. エクスポート設定: 編集したオーディオを元のフォーマットと一致する設定(WAV/48kHzなど)で保存。
3. バランス調整: DAW内で他のトラックと音量やトーンを調整。

注意点



• 処理は段階的に: 一度に強くノイズを取り除こうとせず、軽めの設定で複数回適用する。
• バックアップを作成: 元のファイルは常に保存しておき、編集後の比較ができるようにする。

大まかにRXで出来ることの説明になってしまいましたね。用語やツールの意味を知っておくだけでも取っ付きやすくなると思います!
実際には都度どんな処理が必要かを聴き分ける能力が求められます。問題が分からないと解決方法がわからないですからね……
プロと呼ばれる方でこそトライアンドエラーはしょっちゅうですし、最後は自分の耳を信じるしかありません。
それでもわずかなノイズが消えるたびにドーパミンが溢れ出ることでしょう。是非その快感を味わってください!
次回はDAWを使ったミキシングの手順をご紹介できればと思います!
ではでは!


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