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独学編集者による音声編集のやり方⑤【マスタリング&ミックスダウン】
独学者の走り書きのような音声編集の手順も今回で一区切り。音声編集を始めたいけど何から取り掛かっていいか分からない。何を基準にして作業していいか分からない。私自身も常にそうなので、ここ5回の記事で皆さんと情報交換できたらという思いで書かせて頂きました。
どれだけ正しいプロジェクトができても、どれだけ綺麗に整音やミックスできても最終的に納品出来なければせっかくの努力も水の泡です。
プロジェクト立ち上げと同様、マスタリングやミックスダウンは細々とした知識を覚えなくてはいけない場面ですが、できる限り難しいことは省いてお伝えできたら良いな!と思っております。
マスタリング
1. マスタリングチェーンの作成
マスタリングチェーンは、トラックの最終仕上げを行うための処理の順序を指します。以下は、典型的なマスタリングチェーンの例です。
① マルチバンドコンプレッサー
• 役割: 周波数帯域ごとに異なるダイナミクスをコントロールし、バランスを整える。
• 設定例:
• Low Band (低域): ベースとキックドラムのパンチを保ちつつ、過剰なブーミー(中高音に比べて低音が過剰な状態)を抑える。
• Mid Band (中域): ボーカルやメインの楽器がしっかり前に出るように調整。
• High Band (高域): ハイハットやシンバルのシャープさを際立たせつつ、過剰な耳障りさを軽減。
② リミッター
• 役割: トラック全体の音量を最大化しつつ、クリッピング(入力される音圧が機器の許容能力を超えてしまい、音が歪んでノイズなどが発生する状態)を防ぐ。
• 設定例:
• Output Ceiling: -0.1dBに設定してクリッピングを防ぐ。
• Threshold: トラックの音量が十分に高くなるまで下げて調整。
• リミッターの挿入は、マスタリングチェーンの最後が一般的。
RXで最終確認
RXは、細かいノイズやアーティファクト(ノイズ)を検出・修正するための強力なツールです。
① Loudness Controlで音量基準を確認
• 目的: 配信プラットフォーム(Spotify、YouTubeなど)の基準に合わせる。
• 設定例:
• ターゲット値: -14 LUFS (Spotify)、-16 LUFS (ポッドキャスト)
• ピーク値: -1 dB True Peak を推奨。
② 必要に応じてさらにアーティファクトを除去
• De-Click: ポップ音やクリック音を除去。
• De-Clip: クリッピングした音を修復。
• Spectral Repair: 特定のノイズを目視で修正。
ファイル書き出し
エクスポートの手順を以下にまとめます。
① フォーマットの選択
• 配信プラットフォームや用途に応じて適切な形式を選ぶ。
• WAV: 高音質でマスタリング後の保存用。
• MP3: 配信や簡易的な共有用に圧縮。
② メタデータの追加
• 曲名、アーティスト名、アルバム名などを入力して、再生ソフトやストリーミングで情報が正確に表示されるようにする。
RXで最終チェック
① ノイズや音量の再確認
• スペクトラムアナライザーで目視確認し、不自然なピークやノイズがないか確認。
② Loudnessの基準確認
• RX の「Loudness Control」を使い、配信プラットフォームの規定値に適合しているか再確認。
ここまでできれば、あとはファイルネームに間違いがないか他のプレイヤーでも視聴できるかを任意で確認すれば完成です!
作品や媒体や関わる人が変われば、毎回アプローチも知識も変わります。ですが、まずは一回形にしたいと思う方の簡易的なマニュアルになっていると思います。
もちろん私自身日々修行の身ですが、これからもどんな壁にぶつかって、どうやって乗り越えたかを紹介していけたらと思っています。
ここまでの記事でアプローチに疑問や質問などございましたら、コメントやXの方にDMなど頂ければ幸いです。今後の記事の参考にさせて頂きます。
Xアカウント@Neko_massiguraa
次回は……何か音声素材を用意して、皆さんと同じ素材を一緒に音声編集ができるようにしたいと思います!
では!