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AI遺電子の2話を考察してみる

今回は1話に引き続き2話の考察をしてようと思う。

前回の記事はこちら

記事の内容は以下の通り

※ネタバレを含む可能性があるので、作品を視聴後にご覧ください。

今回のテーマ

今回の話ではヒューマノイドと人間が同じ陸上部で100Mのタイムを争っていた。ヒューマノイドはバイオ系のボディを持っているらしい。おそらく、骨格や筋肉が機械ではなく人間と同様の骨と筋肉を有しているということだろう。

お互いタイムを競い合う中でヒューマノイドが自分の限界に気づく。自分は作られたものだから、その性能以上に力を発揮できないかもしれない。それゆえ、これ以上はタイムが伸びないのでは?という疑問を持ってしまう。ヒューマノイドは設計のもとに作られている。つまり、最初から性能が決まっていてそれ以上の力を出すことができない。これは2リットルのペットボトルにそれ以上の水をいれても溢れてしまうことと同じことだ。

”決められた以上のことはできない”

このリミッターに気づいたヒューマノイドは、自分よりもタイムを縮めてきた友達である人間に嫉妬し、その応援や励ましに嫌気がさしていた。

”頑張るだけ伸びる”人間と
”決められた以上のことはできない”ヒューマノイド

これが2話で描かれているテーマであると感じた。


リミッターは悪なのか

さてここからがテーマをもとにした考察である。
みなさんは、人間とヒューマノイド、どちらが幸せだと思いますか?

この問題は白か黒かと決めれるものではなく、グレーな部分を多分に含んでいると思う。

ここでひとつ考えてみたいのは、

”リミッターがあることは悪なのか”ということ。

これは言い換えれば、”不自由である”と言ってもよい。自由である人間は自分の性能の上限を知らない。だからこそ頑張れる。不自由なヒューマノイドは自分の限界を知っているため人間のように頑張ろうとしない。

みなさんはこれについてどう考えるだろうか?

不自由というのはつまり、一定のルールを強いられることを意味する。それはスポーツのようなルールの中でゲームをする、社会では法律の中で生きなければいけない、といったようなものである。
このルールは一見、不自由に思えるだろう。
しかし、サッカーにルールがなかったらゲームとして楽しむことはできるだろうか?社会に法律がなかったら安心して暮らせるだろうか?

おそらく人間は安定と循環のためにルールという決まり事を開発し、自由を代償にすることで得られる自由を求めたのだと思う。

その一方で、”頑張ればできる”という欲求のもとに文明を発展させルールを改定し、時代を作り替えてきた。それは自らが作り出した”安定と循環”の中で生きる幸福を破壊し、”不自由からの脱却”を目指し新しい秩序を作り出そうとする行為である。人々はそうやって自由と不自由を繰り返すマッチポンプを実践してきたのではないだろうか。

不自由の中で搾取されることを是としないが、
少なくとも人間は”不自由が生む自由”言い換えれば秩序の中で生きるしか
ないのだと思う。腐敗した秩序を破壊するルールが世界に生まれることを願うばかりである。



人間が求める幸せとは

登場人物の言葉を引用しよう。

「安定と循環、これまでどおりの社会」

人間であるDrの言葉

リミッターを感じるのはヒューマノイドだが敢えて人間の立場であるドクターにこの言葉を言わせているのが面白い。そして、

「旧世紀の惰性みたいな世界は退屈よ」

ヒューマノイドであるカオルの言葉

と、リミッターのあるヒューマノイドに返される。

ドクターの言葉がヒューマノイドの性能を表し、
カオルの言葉はこれまでの人間社会発展の原動力を意味していると感じた。

もう少し深く読み解くと、お互いが自分の立場を変えたいと主張しているように思えてくる。

人間「自由だからこそ不自由の中での生活を求めるのだ」、
ヒューマノイド「不自由だからこそ自由を求めるのだ」

と言っているようにも聞こえてくる。


私個人としては、アナーキーな世界を望んではいない。
人類の文明の発展は素晴らしいものだと思う。
が、しかしリミッターを持ち得ない人間はどこまで発展しつづけるのだろうか?そして発展した時代では新たな問題が発生し、現代よりも深刻な状況に陥ってはいないだろうか?

発展し続ける世界は常に新しい秩序を求め、安定と循環を破壊しては作り変える。長く続いた狩猟時代のように安定と循環を半永久的に享受できうる世界を作ることはできないだろうか。その不自由の中でみながベストを尽くすことができればそれは幸せであると思う。


人類は、どこかにリミッターを設け己の欲望に打ち克ち、
このマッチポンプを繰り返す自らを破壊しかねない世界に安寧をもたらす日々は来るのだろうか。










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