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#指先から旅をする

ピアニスト・藤田真央#17「この景色の魅力を、即興曲で届けたい――アルプスの山々に囲まれて」

ピアニスト・藤田真央#17「この景色の魅力を、即興曲で届けたい――アルプスの山々に囲まれて」

毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

◆アルプスの山々に囲まれたお城のようなホテルで

 2022年12月1日、わたしは羽田発ドイツ・フランクフルト行きの飛行機の中にいました。12月3日に、ドイツ南部のリゾートホテル「シュロス・エルマウ」でリサイタルの予定があったのです。

 フランクフルト空港に到着すると、周りのみなさんがなにやら真剣にスマートフォンを見つめています。ちょうど

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ピアニスト・藤田真央#18「わたしの卒業論文――理想的なコンサート・プログラムとは?」

ピアニスト・藤田真央#18「わたしの卒業論文――理想的なコンサート・プログラムとは?」

毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

◆大学院の卒業試験が、さながらホームコンサートに

 12月3日に南ドイツの「シュロス・エルマウ」でのリサイタルを終え、わたしは大学院の卒業試験を受けるため、翌日ベルリンに戻りました。
 わたしが通っている大学院「ハンスアイスラー音楽大学 ベルリン」では、卒業に際して実技テストと論文の提出が求められます。

 実技テストは、60分程度のプロ

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ピアニスト・藤田真央エッセイ#23〈憧れの赤絨毯――コンセルトヘボウ・デビュー〉

ピアニスト・藤田真央エッセイ#23〈憧れの赤絨毯――コンセルトヘボウ・デビュー〉

▼#22 バンクーバーからアムステルダムへ

 そして迎えたコンセルトヘボウ・デビューの時。
 20時15分、私の部屋がノックされ、エレベーターで1階(日本でいう2階)に向かい、あの階段へと続く扉の前に立った。

 シャイーに「素晴らしい音楽作りをしよう」と声をかけられ、それを合図に2人のステージマネージャーが寸分違わぬタイミングで両扉をバッと開いた。

 視界に飛び込んできたのは、赤い絨毯の階段

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ピアニスト・藤田真央#12「ミハイル・プレトニョフ――ヴェルビエの夜、憧れのひとと邂逅する」

ピアニスト・藤田真央#12「ミハイル・プレトニョフ――ヴェルビエの夜、憧れのひとと邂逅する」

毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

★今後の更新予定★ #13   10月25日(火)正午 #14     11月5日(土)正午

 7月20日、ヴェルビエ音楽祭でヴァイオリニストのマルク・ブシュコフ、チェリストのズラトミール・ファンと室内楽を演奏する機会に恵まれました。彼らとは、2019年のチャイコフスキー国際コンクールでともに入賞したときからの縁です。

 この日のプログラムは、

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ピアニスト・藤田真央#10「ブラームス、ドビュッシー…ベルリンで再発見した作曲家たち」

ピアニスト・藤田真央#10「ブラームス、ドビュッシー…ベルリンで再発見した作曲家たち」

毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

★今後の更新予定★ #11   9月25日(日)正午 #12   10月5日(水)正午

 モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏を成したあと、わたしのなかで存在感を増したのはブラームスでした。
 ブラームスは音楽史的な位置付けでは、後期ロマン派に属する作曲家となります。けれど彼は時流からちょっと外れて、ベートーヴェンをはじめとする、自分よりすこし前

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ピアニスト・藤田真央エッセイ#22〈バンクーバーからアムステルダムへ――コンセルトヘボウ・デビューに向けて〉

ピアニスト・藤田真央エッセイ#22〈バンクーバーからアムステルダムへ――コンセルトヘボウ・デビューに向けて〉

▼藤田さん連載「指先から旅をする」はこちら

 2023年3月5日、私はカナダ・デビュー・リサイタルのため、バンクーバーの地を訪れた。バンクーバーは空港から街中まで車で20分、美しいビーチや壮大な雪山へも30分ほどという、コンパクトで素敵な街だ。
 一つ欠点を挙げるのであれば、日本のようにクラシック音楽の為に設計されたホールがないことだろう。かつて秋山和慶先生が音楽監督を務めておられた(現在は桂冠

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ピアニスト・藤田真央#13「ルツェルン音楽祭――シャイーと奏でた”歌うフォルテッシモ"」

ピアニスト・藤田真央#13「ルツェルン音楽祭――シャイーと奏でた”歌うフォルテッシモ"」

毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

★今後の更新予定★ #14   11月5日(土)18時 #15   11月25日(金)
→11月末公開予定

 ヴェルビエ音楽祭を終えたわたしを待っていたのは、毎年8〜9月にスイスで行われるルツェルン音楽祭です。

 1938年から続くルツェルン音楽祭は、ザルツブルク音楽祭と双璧を成すヨーロッパ随一の格式と伝統を誇ります。出演者が錚々たるメンバ

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ピアニスト・藤田真央#11「ヴェルビエ音楽祭――アルゲリッチの代わりに立つ」

ピアニスト・藤田真央#11「ヴェルビエ音楽祭――アルゲリッチの代わりに立つ」

毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

★今後の更新予定★ #12   10月5日(水)正午 #13   10月25日(火)正午

 夏の欧州は、各地で音楽祭が花盛り。7月にはロッケンハウス室内楽フェスティバル、ヴェルビエ音楽祭、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノフェスティバルと、わたしもずいぶん飛び回って、あちらこちらで演奏をしてきました。

 音楽祭はその土地の空気や、その街ならではの

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ピアニスト・藤田真央エッセイ#24〈満員のコンセルトヘボウから、一転――ミラノのペペロンチーノが教えてくれたこと〉

ピアニスト・藤田真央エッセイ#24〈満員のコンセルトヘボウから、一転――ミラノのペペロンチーノが教えてくれたこと〉

 3月上旬のアムステルダム・コンセルトヘボウでの演奏会後はコロナに感染してしまい、自宅療養を余儀なくされた。2週間静養できたおかげですっかり快復し、さて次のコンサートはというと、今度はモーツァルトのピアノソナタ・リサイタル、場所は再びアムステルダム・コンセルトヘボウだった。

 アムステルダムは昼と夜で完全に印象が変わる興味深い街だ。日中はカラフルな建物が目に鮮やかで可愛らしいが、夜はピンクや紫色

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ピアニスト・藤田真央エッセイ#20〈Toi toi toi!――NYカーネギーホール・デビューの日〉

ピアニスト・藤田真央エッセイ#20〈Toi toi toi!――NYカーネギーホール・デビューの日〉

 Toi toi toi!
 私たち演奏家は舞台袖からステージへ一歩踏み出す際、この言葉で鼓舞される。ステージマネージャーや調律師からのこの言葉を合図にステージへのドアが開き、拍手を浴びながら歩き出すのだ。この光景は、音楽家であったら誰もが憧れ一度はその舞台で演奏したいと熱望するであろうカーネギーホールでも同じだった。
 
 Toi toi toi……この言葉の意味を正確には理解していないが、おそ

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ピアニスト・藤田真央#16「亡き恩師・野島稔先生のレパートリーを――モーツァルト《ピアノ協奏曲 第27番》」

ピアニスト・藤田真央#16「亡き恩師・野島稔先生のレパートリーを――モーツァルト《ピアノ協奏曲 第27番》」

毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」

◆モーツァルト最後のコンツェルト

 11月30日の東京・サントリーホールでのコンサートを終えた翌日から、わたしは一時ベルリンに戻って来ています。12月下旬にはまた日本に帰ってきて、コンサートで全国を廻る予定です。そのまま日本で年越しをしまして、来年1月からは再びモーツァルト漬けの日々が始まります。
 まずは、1月14日、15日、16日。そ

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ピアニスト・藤田真央#19「モーツァルトが楽譜に残した”手がかり”――ピアノ・ソナタ全曲リサイタル」

ピアニスト・藤田真央#19「モーツァルトが楽譜に残した”手がかり”――ピアノ・ソナタ全曲リサイタル」

#19
モーツァルトが楽譜に残した”手がかり”
――ピアノ・ソナタ全曲リサイタル

 2月4日(土)の京都コンサートホールでの演奏会を皮切りに、また日本全国を飛び回る日々が始まります。2021年3月からスタートした「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会」シリーズも第5回、ついに最終回を迎えることとなりました。

 今回のコンサートでは、

の5曲を演奏する予定です。初期から最晩年までのソナタを作

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ピアニスト・藤田真央#21エッセイ〈幻となったピアノ・デュオ〉

ピアニスト・藤田真央#21エッセイ〈幻となったピアノ・デュオ〉

▼藤田さん連載「指先から旅をする」はこちら

  2023年1月25日のカーネギーホールでの公演後、私は東京へとんぼ返りして、日本各地で演奏会を行った。ハイライトはやはり、全5回にわたる〈モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会〉の最終章を完遂できたことだろう。

 このツィクルスは21年3月から始動した。当時は感染症対策の為に客席は1席ずつ間隔を空け、会場には定員の半数しかお客様を集められないとい

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