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Ep.4 彼の名は、瞬間湯沸かし器。
勢いとはいえ、
はずみとはいえ、
「結婚したい」と言っている人に対して
「わたしをもらってください」と言ってしまった。
それから毎日のように電話がかかってきて、相変わらず「死にたい」と言うものの、みるみる声に元気が戻っていく。
・・・まあ、ほんまに結婚するって言ってるわけじゃないし、あっちもわたしのことブスとかなんだとか相変わらずディスりまくってくるし本気じゃないでしょ。
なんてのんきに考えていた4月末。
まあ~~~~~~ここからが大忙し。
「結婚するんだったらりとちゃんもうちょっと可愛くしないとなあ」
「早く近くに引っ越してきてよ」
「淋しい。会いたい。死にたい。」
いや、うるせえ。特に一番上。
なんか大変なこと言うてもーたぞ…と徐々に後悔し始めるも遅し、どんどん進んでいく話。
まずずんどこずんどこ話が進んでいったのは引っ越し。
埼玉に住んでるわたし、彼の家まで1時間以上かかる。
引っ越しなんてそんなすぐに決められるものでは本来ないのだけど、事務所も遠かったから都内に引っ越したいなあとは思っていた。ので、引っ越しに関してはわたしもちょうどいいや~~と思って話に乗ってしまった。
で、毎日電話しながら(これも毎回4~5時間終わらないから寝不足だよ!)(出なきゃいいじゃんとか言わないでね!電話かかってきたら出ちゃう人間なんだ!)、1週間くらいでよさげな物件をいくつか見つける。すぐに内見予約して、一緒にまわる。
これが、5月上旬。
3件ほど内見して、ここ最高じゃん!と思える家が見つかってしまった。
わたしの細かい条件をすべてクリアしている(駅徒歩10分以内、独立洗面台、25平米以上、浴室乾燥あり、宅配BOXあり、築5年以内)、彼の家とも徒歩10分くらいの距離、事務所も30分くらいで行ける…
しいて言えば、埼玉にいたころから高いなあと思っていた家賃を4000円も上回ってしまったことだけど、
「数千円で迷うぐらいだったら俺が金落としといてやるから拾えばいいよ」
なんて言われる始末。
(文字で書くととんでもなく嫌な感じだな…笑。実際はもうちょっとポップな感じです)
まあ、払えない額でもないし、まあ…いっか。
てなもんで家は決めちゃいました。
で、そのあと。
「引っ越しスケジュールたてよう」
というので話し合い開始。
彼自身引っ越し何度も経験しているのもあるし、フリーランスで仕事してるだけあってスケジュール管理とかしっかりしてるのよね。そこはすごいなあと思った。
わたしは業者さんにお願いする気満々だったけど、車で往復できるからいい、と。
(…ちなみに彼は車は持っているが免許は持っていない。つまり埼玉ー東京を何往復も運転するのはわたしである…が、その話はまた別の機会に…)
確かに彼の方が経験あるし、予定立てるのもしっかりしてるし、任せるのがいいのは分かってるんだけど、正直引っ越しもトントン進みすぎて慎重派なわたしとしては不安もどんどん大きくなり…
いやあ…うーん…どうしようかな…
みたいな返事が増えていき、次第に彼もいらいらしていく。
「荷造りと、ごみの処分と、新居で使うもの揃えるのと、これとあれとそれと…こんだけやることあるけど、いつまでにやるつもりなの」
と聞かれ、前回の引っ越しも大変だったよなあと思い返し(荷造り間に合わなくていくつか宅配便で送った。笑)、
仕事もあるし、そもそも物であふれかえってる現状を考えると…
「6月の・・・」
わたしが口走った瞬間、
彼がぶちギレた。
持っていたボールペンをバキッと折って、
「もういい。時間の無駄だった。こんなに真剣に考えてんのに何その答え。6月!?今5月だぜ。」
「俺が5年間一緒にいたやつは、そんなんじゃなかった!もっとパンパン物事を進められる人だった!!」
さーーーーっと、
気持ちが冷めていくのが分かった。
特に後半、なに?
未練たらたらかよ。しょーもな。
「もういい。帰れ帰れ、もう君とは二度と会わない。早く帰れよ!」
ああそうですか、さようなら。
…って、帰ろうとしたんですけど、
「今日一日内見でつぶれて仕事が遅れた分は事務所に請求するから。歩き回って膝が痛くなったのも事務所に賠償してもらうし家に来たことも寝たことも全部事務所に言っとくから」
・・・はぁあ???
事務所に請求する????????
何をおっしゃっている????????????
いやいや、レジェンドタレントを多数かかえる大きい事務所が、
下っ端の下っ端のこんなやつの、そんな小さい話相手にすると思いますか???どっちかというと今後業界的に仕事しにくくなるのはそちらさんではないんですか??????
って思いますよね。落ち着いてたらね。
でもね、やっぱ目の前で大きい声出されると怖くてね、
このときのわたしは、
ちょ、ちょちょちょちょちょちょままままままっままああああ
まってまってまってまってまってまってまって
じむ、じむむ・・・事務所だけはあああああああ
どどどどどっどどどどうしよう、え、どうしたらいいんこれ、とりあえず謝っとく???とりあえず謝って事務所に連絡だけはせんといてもらったらいい感じ…????ええええどうしよおおおおおおお
パニックでした。笑
ちょうどこのときね、彼からもらったお仕事が終わって、あとはお金のやりとりをマネージャーさんとやっていただくだけ、っていう段階だったのよ。だからこれが原因で支払いません、みたいなトラブルになって、所属早々トラブルで周知されてしまうことだけは避けねばならない…!っていう視野激狭状態でした。
ほんとさ、冷静に考えてさ、
なんて言うん?
っていうね。笑
あのまま帰ればよかったよ、ほんとに。
とりあえずあやまる。
言葉を変えていろいろあやまる。
パワハラサラリーマンコントですかっていうくらいあやまる。
おすすめの謝罪文!まとめサイトかよってくらいあやまる。
まあ、よく言われることだけど、
彼のような瞬間湯沸かし器のようなタイプの人って、冷めるのもはやかったりするよね。
わたしみたいな陰湿ネチネチタイプはいつまでーーーーーも根に持ったりするんですけど。笑
わたしの謝罪をじーっと聞いてる、彼。
もう表情に怒りはなく、その場はなんとかおさまる。
彼にとってはこんなふうにドカーンと怒るのはよくあることで、
そのあとサラッと元に戻れたりする。
たしかにいつまでもギスギスするよりはいいんだろうけど、
やっぱりわたしにとっては、
こういう出来事が蓄積していつまでも気持ち悪い。
こういうときに出てくる言葉が、本音の本音だと思うんだよね。
後からどれだけフォローされたって、消去も上書きもできないんだよー。
「わたしをもらってください」と言ってしまったものの、「こんな人だとは思ってなかった」と耐えられなくなるまで
あと3か月。
続きは、また。