【対談】幻冬舎・箕輪厚介×ターザン山本!〈vol.1〉「スマートホンを攻略せよ!」
2016年9月、青木真也による著書『空気を読んではいけない』を手がけた幻冬社の箕輪厚介氏に、当サイトではその舞台裏に関する記事を掲載した。あれから半年、箕輪氏は堀江貴文氏(ホリエモン)による著書『多動力』を担当するに至る。すると発売から数日間で10万部を一気に超え、今現在もその部数は増え続けているという。
一方、80年代〜90年にかけた編集長時代には『週刊プロレス』を異例の60万部ともいわれる部数にまで押し上げ、マット界の先頭を走っていた、本サイトの筆頭常連ターザン山本! 氏。しかし、その独善的な編集方針に、新日本プロレスから取材拒否を食らい、それがきっかけで『週刊プロレス』の部数が激減したことから編集長を解任されるに至る……。
とはいえ、そこにはターザン氏なりの「編集論」が存在し、その生き様に周囲がついていけなかった、とも言える。
出版不況と言われて久しい昨今、独特の思考を持つ両者が正式に再会! 改めてここに「編集者のあり方」を論じ合う。そこには「人間との付き合い方」「人生の楽しみ方」までもが網羅される内容に。
いったい『多動力』とは何か? そして圧倒的な部数を弾き出す編集者の存在とは……?
果たして古き良き時代の風景がここに――。(聞き手◉“Show”大谷泰顕)
(⬆︎上が箕輪氏が担当した『多動力』。そして下の画像は『週プロ』編集長最後の号となった20年前の743号/96年7月23日号の表紙。ターザンカフェも絶好調!)
〔関連項目〕
《【連載】青木真也は本当に空気を読んでいないのか?の記事一覧》←ハッシュタグ #青木真也 をクリック!
⬆︎『空気を読んではいけない』担当編集者・幻冬舎の箕輪厚介氏他が激白!
《【連載】平成版『喫茶店トーク!』の記事一覧》←ハッシュタグ #喫茶店トーク をクリック!
⬆︎Uとは? 長州とは? 元『週刊プロレス』編集長のターザン山本! 氏が古き良き時代を熱弁!
▪︎見るための本
――さあ、山本さん、今回のテーマは「編集とは何か?」「編集者とは何か?」です。
山本 あのさ、僕も編集者だったんですよね。
箕輪 はい(笑)。
山本 だから今日は思っていることを話そうかなと。
箕輪 ありがとうございます。
山本 まず、この(『多動力』という)本を見て、思ったことは何かというとね。僕からするとまず驚いたわけですよ。ビックリしたというか。
――ビックリした?
山本 うん。何をビックリしたかというと、「編集者として、やるなあ、この男は!」と思ったわけですよ(笑)。関心したというかね。
箕輪 ターザンさん、ズバッと本質を突く言葉の力は半端じゃないですね。「本を読む時代は終わって、見る時代になった」とかって、この前、Twitterに書かれていて。
山本 いやあ、本はもはや読む時代じゃないんですよ。
箕輪 フフフフフ。
山本 だからもう「読む」という幻想を捨てなきゃいけない。
――「読む」のは幻想なんだ(笑)。
山本 とくに今の若い人たちにとっては、本というのは「読む」んじゃなしに、視覚的に「見る」時代なんだよな。ということは読ませる、内容を重視する、という昔から編集者が持っていた、大いなるプライドを捨て去らないことには本を買わないわけよ。
箕輪 フフフフフ。
山本 本を買わないんだから。だからそもそも長いものは読まないわけですよ。そこでこの本を見ると、もう視覚的に作られているでしょ。だから「読む本」じゃなく「見る本」に完璧に、パーフェクトにシフトチェンジしていることが見え見えなわけですよお!
――そういう時代に突入したと。
山本 うん。これが新しい出版業界の「見るための本」という手法ですよ。
――「見るための本」という手法!
山本 そう。そしてこれからはサラーッと本を見て、わかったような気になると。これが一番重要なことで、それ以上のことは必要ないわけですよお! それが見事にこの本のなかで展開されている、というかさ。
箕輪 フフフフフ。
山本 これね、見たらわかるように、余白が多いわけですよ。でね、見たらわかるように、右のページにはコピーがドカーンとあって、うまいことに白い背景に黒い文字がドカーンとあるものと、黒い背景に白抜きの文字がドカーンとあるものと、交互に出しながら飽きられないように作ってあるんだよな。
――そういう構成になっていますよね。
山本 そのドカーンという文字を見たらわかったようになって、それ以外の文章は、実は付け足しなんだよな(笑)。だから本当はこの文章はいらないんだよ、本当は。
箕輪 そうですね。そことポイントを読めば終わりです(笑)。
――それはまた革新的な手法ですねえ!
山本 終わりなんですよ! つまり、目次を見れば終わりみたいなところがあるわけですよぉぉぉぉ!!
――なるほど、なるほど(笑)。
(⬆︎ターザン山本! のTwitterより)
▪︎スマート本
山本 目次のようなコピーがバーンとあって、それをあくまで簡単に説明する文章がある。しかし、それはしつこくやらないと。しかも、この本は開いたらどこからでも読めるわけですよ。それは1から順番に読まなくてもいいんじゃなくて、1から順番に読むことをさせない、というリラックスさが完璧な戦略として展開されているわけですよお!
――戦略として。
山本 うん。これってさ、イケダハヤトがTwitterで、「仕事をやる勇気」というカタチでボーンとやって、そこにチョロチョロっと言葉を載せているんだよね。
箕輪 まさに(笑)。
山本 だからこの本は、本でありながらスマートホンなわけですよ。
箕輪 スマート本ですね(笑)。
――なるほどお!(笑)
山本 そう! スマート本なんですよ、これえ! よーするに、スマートホンを紙にしたんですよぉぉぉぉ!!
箕輪 フフフフフ。
山本 それを凄く意識的にやられているので、若いのに凄いというかさ。
箕輪 いや、それを僕が自分で意識的にやったのは、青木真也の本なんですよね。
――『空気を読んではいけない』ですね。
箕輪 あの本を作った時に、ターザンさんが(当サイトのインタビューで)「こいつは手抜きの天才だ!」って褒めてくれたじゃないですか。
――ありましたね。
箕輪 しかもそこには「これはたぶん、2日くらいで作った」ってあったじゃないですか(笑)。
――ありましたね(笑)。
山本 だから、本はね、手抜きで作ってはいけないと。そーするに構成をしっかりさせて、文章も緻密にしてさ。分かりやすい言い方をすると、ジュースを飲む時に果汁100%にしていくのが編集者のやり方なんだけど、それを果汁をどんどん減らして行って、15%、10%、1%でいいと。あとは炭酸水でいいと。
――果汁1%の世界!?
箕輪 フフフフフ。
山本 そのくらいの手抜きをすることが若い人たちには飲みやすい、ということなんだよね。そうやってトロピカルにするわけですよお!
箕輪 ホントに長文を読めなくなっていて。今回、ホントにそうやって作ったけど、ホントに30分くらいで読み終わっちゃうから、どういう反応があるのか。例えば「損した」とかって言う人が出てくるのかなって思ったら、まったく逆で「30分で読み終わってよかった」とかって言う声が結構あったりするんですよ。
――ほー、それも凄い話ですね。
箕輪 だからスマホの時代っていうのは、カネより時間のほうが価値を持ち始めていて、昔だったら「1500円払ったんだから3時間くらいは楽しませてくれよ」っていう話だったのが、今は「なんで読むのに3時間もかかるんだよ」っていうふうに変わってきたんですよね。時間を奪うなって思われちゃうんですよ。
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〔関連項目〕
《【連載】青木真也は本当に空気を読んでいないのか?の記事一覧》
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(⬆︎次回の『RIZIN』は、来る7月30日、さいたまスーパーアリーナにて開催!)
以下、その内容の一部を紹介
▪︎連動商法
▪︎編集者として必要な三つの要素
▪︎はじめにホリエモンありき
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