【超短編小説】 惨めな島から

   ここは惨めな島。どこにも属さない。ただ、だからこそ惨めだと思っているのはここだけである。周りはこの島を知らない。惨めかどうかなどわからない、知らない。
   なぜ惨めだと決めつけたのか。それはどこにも属していないからだ。でもこの島に生えている草も木も花も虫も惨めだなんて思っていない。

   実はこの惨めな島は世界一豊かな島だった。まだ誰にも知られていないだけだった。自分で惨めだと感じていただけだった。
   いずれ気がつく時が来るだろう。誰に認められようとも、この島はこの島だということを。

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