【小説】 リアリティ (1)


甲斐性なしの男に微笑む女神1人。想像の中で描いたその人はいつか現れたのだった。その予言は突然やってきた。目をつむっても明かりが見えた。どんなにツラくてもそれだけが頼りだった。

夢はいつしか現実になり、現実はいつか夢になる。馬鹿にされても今ここにいる。それが自分自身だと気づくのに時間はかからなかった。振り返ることはしなくて良い。いつからか理解できている。見えずともそこにいた。そんな季節をどれだけ過ごしたか。どれだけ待っていたか。その日はやってくる。すでにやってきている。目に見えるものだけでなく、今だけでなく、どこまでも自由に、宙にある、いる。時はここにはなく、すでに叶っている。皆はそれを妄想だと呼び、嘲笑った。

現実は現実である。だから現実はここにある。しかし妄想も現実である。間違っていようが、これが軌跡となる。どれだけ否定されても、しても、ここに記されている文字は現実である。



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