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【映画レビュー】『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章STASHA』の感想。この映画、君の話だったのか!

例によって公開からワンテンポ遅れての鑑賞になってしまいましたが、ちゃんと楽しみにしていましたよ。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章STASHA』のざっくりとした感想

宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち 後章 STASHA
制作年:2021年 / 制作国:日本
サテライト制作 / 102分
監督:安田賢司

https://eiga.com/movie/95836/

往年の日本の名作アニメ『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク企画の一環で、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』を題材に前後篇で描きなおしたシリーズの後編。監督は前作と同じく安田賢司氏が務める他、その他の製作陣も前作と同じ面々が揃っています。先日『ヤマトよ永遠にREBEL3199』の制作も発表され、それに備えて……という意味でも臨んでおきたい一本です。

前章の感想はこんな感じ↓

割と好印象だった前作に対して、今作を観てきた感じはどうだったかと言うと……

手堅く面白い佳作!

空想世界のお話ながら、命を伴う犠牲や先代の過ち、さらにはルーツの汚点を知った上での生き方など、架空の世界の出来事でありながら、学びになることが多々ある納得の密度の後編でした。

本編は独自の単語や超常的なスケールの出来事に溢れていてとっつき辛い作品ながら、かなり真摯で丁寧なあらすじにびっくり。自身がヤマト弱者なだけにすごくその親切ぶりが染みます。昨年からやっとヤマトを観始めた身ですが初心者への配慮に優しくて、かなりヤマトブランドに好印象を持地ましたよ。

ざっくりではなく、より詳しい感想を書いていきます。
割と踏み込んだ内容に踏み込むので、以下ネタバレ注意です

デスラーが鍵なんだ!という超親切プロローグ

前述したように、今作もあらすじが丁寧。
前章どころかそれ以前の『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの内容に至るまで踏み込んで語ってくれるところが素晴らしいのですが、本作のあらすじの素晴らしさは古代進サイドではなく、なんとデスラーのあらすじを語るところ。

デスラーがいかにして、あらゆる星を攻め、ヤマトの前に立ちふさがり、どういう思惑を抱えていたのかという話を、古代進そっちのけで語られてびっくりしたのですが、そのおかげで「本作はデスラーの物語なのか!」とわかりやすく観られて、とても親切。

内容はちゃんと古代進サイドの物語も描いていくし、古代進視点の物語なのは間違いないのですが、軸は間違いなくデスラーのエピソード。

前章のこのポスターがまた刺さる。

今作では、イスカンダル星とガミラス人のルーツに迫る内容となっていて、地球人よりもガミラス人側の視点で観た方が面白いし、より深く考えさせられるので、この構成にするのは大正解。

自身が信じていた相手に侮蔑の感情を向けられていた時。
信条に思っていたことが、作為的に植え付けられたものだった時。
そしてそれを愛するものが告げてきた時。

ありとあらゆる葛藤がデスラーの人生に乗っていて、間違いなくこの映画はデスラーの映画となっていました

地球人サイドの存在のおかげでまた深みも

じゃあ完全にデスラースピンオフ映画なのかと思いきや、しっかりそうでもないところもまた面白い。

前章で語られていた、古代進に与えられた課題に加え、次世代主人公立ち位置の土門竜介の世代のドラマも良い具合に絡めたりと、しっかり“宇宙戦艦ヤマト”の物語になっているバランス感も絶妙。そして何よりデスラーの物語に客観的に向き合えるところがまたうまくできています。

日本は、戦争と武力行使を放棄しているだけあって、戦争は海の向こうの出来事意識が強め。そんな妙な距離感が地球人とガミラス人の距離感にも近く感じられて、「もっと戦争のことを考えた方が良い」「果たして日本は今のままで良いのか」などなど、現実の世界に落とし込んで観やすい形になっていました。

単なるSF夢物語で終わらない感触に仕上がっているのが素晴らしいです。

細かいけど気になってしまったある出来事

じゃあ、手放しで褒められる映画かといえば、割と中盤にダレを感じてしまったりと疲労感はありましたが、あえてここで言及したい気になったポイントは赤ちゃん描写

ある場面で赤ちゃんが登場するのですが、どうも「赤ちゃんを抱える役回りは女性!」みたいな潜在意識みたいなものを感じるような役回りを見せていたので、こういうとこ男の人が混ざってくれると嬉しいなぁ、とか思ったりしてしまったのだけど、『ウルセェ』とか言われちゃうのかな


さて、そんな『宇宙戦艦ヤマト』シリーズはすでに続編が発表ずみ。
『ヤマトよ永遠にREBEL3199』が控えているので、まだ元のヤマトに踏み込まず、リメイク続編を待とうと思います。

半分先送りの口実なんですけどね。
今からヤマトの履修は、カロリーが高い。

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