【映画レビュー】あんまりV系ロックバンドの曲を聞かない人間の『劇場版アルゴナビスAXIA』の感想
出遅れ映画レビューシリーズ。
『劇場版アルゴナビスAXIA』のざっくりとした感想
『劇場版アルゴナビスAXIA』を映画館で観てきました。
ボーイズバンドプロジェクトとしてメディアミックス展開をしている「from ARGONAVIS」のアニメーション映画。札幌を中心に活動する5人組実力派バンド「GYROAXIA」を中心に物語が描かれる完全新作。
前作の『流星のオブリガート』ってちょっと前の2021年公開だったのか、とびっくり。もっと前だと思ってた。
『BanG Dream!』の姉妹作なだけにちょっと映像面でも期待できます。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
優良作。
ちゃんとドラマがあって見応えはあるんだけど、いかんせん内容と曲に惹かれない……という悩ましい作品でした。
ざっくりではなくもっと内容に踏み込んだ感想を書いていきます。
『劇場版アルゴナビスAXIA』のもっと踏み込んだ感想
■こういうバンドの生活感を感じられるのはレア!
本作はビジュアル系ロックバンド・GYROAXIAの解散騒動を描いた映画。
今回の主人公はゴリゴリの俺様スタイルな旭 那由多くん。那由多くんがバンドを解散してソロデビューするかも、という話で一悶着する物語となっています。
何が面白いって、こういう系ロックバンドの人たちの過去であったり、オフのプライベートの時間だったり、揺れ動く人間ドラマだったりといった部分が赤裸々に描かれるのは、生活感があまり見えない人な分、余計に珍しく見えるのですよね。
V系の人にも等しく課題が訪れ、悩み、答えを出していくんだ……ってのは、当たり前ながらも、ジャンル外の人間としては面白く見えました。
この感じは姉妹作でもある『BanG Dream! Episode of Roselia』を見たときの感じにも近いですね。
しかも、着地が“ライブシーン”だから、赤裸々に描きつつGYROAXIAらしいカッコいい締め方になってるのが上手いです。そういえばV系バンドの映画ってあまり観かけないので、貴重かも。私が全然追えてないだけかもしれないけど。
■教育シーンにドン引き!なんじゃこれ!
そんな赤裸々に描かれる那由多くんのシーンで、一箇所かなりの衝撃だったのが幼少時代に父親から直々に音楽教育を受けるシーン。
時代錯誤にもほどがあるぞ、ってぐらいのゴリゴリの音楽スパルタシーンなんですわ。
もう過呼吸状態になっているというのに、全然助ける気がないどころか煽っていくし、普通に「嫌〜」なシーンでした。こんな教育を受けてしまったからこそ、こんな無愛想な人柄になってしまったのか……となんか変に哀愁を感じてしまったよ。
『セッション』よろしく音楽界の狂気の片鱗がここにも。
芸術を研ぎ澄ますって凄まじい活動なんですかね、やっぱり。
■楽曲提供はまさかのあの人!
諸々のドラマが解決して、クライマックスにライブシーンが待っているわけですが、ここはさすがサンジゲン!流石の見ごたえのある映像で、V系ロックを普段聞かない身でも、魅了は言い過ぎるとも感心させられる体験ではありました。
そんな折、エンドロールを見てびっくり。
楽曲提供にはシドの明希さんのお名前がありまして、しっかりその手のジャンルの大物が参加しているんですね。私ですら名前を知ってるバンドですもん……。
ヒプマイとかでゴリゴリの日本のHIPHOPアーティストが楽曲提供してるのと同じように、こっちのジャンルでもやっぱり実践されてたのですね。どんどんやろう。
まとめ
というわけで、シリーズにも音楽ジャンルにも門外漢だからこそ、根っこの部分でまで惹かれることはなかったものの、門外漢だから楽しめたという部分が確実にある一本でした。
兎にも角にもポジティブな意味で貴重な体験をさせていただきました。
やっぱV系ロックバンドの人たちも人なんだな……という当たり前ながらも見えにくい部分を、改めて実感しましたよ。
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