【映画レビュー】あまりにも楽器推しすぎるところが気になる『ドラえもん のび太の地球交響楽』の感想
今年のドラえもん映画のテーマは“音楽”だ!
『ドラえもん のび太の地球交響楽』のざっくりとした感想
『ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』を観てきましたよ。
春休み恒例ドラえもん映画。今年は第43作目。
今年のテーマを「音楽」として地球スケールでの壮大な物語が描かれます。
監督はドラえもんシリーズでは『新恐竜』や『宝島』を担当していた今井一暁監督が登板。脚本はこれまでタッグを組んでいた川村元気氏から内海照子氏にバトンタッチです。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
快作。
演奏もしくは楽器に対してこういう距離でありたいよね、というバランス感で見せる音楽映画。楽器を相棒ポケモンみたいにする見せ方は上手く、ドラえもんらしいワクワクを感じる瞬間でした。
ただ割とのび太たちが“楽器ありき”なのが裕福の嗜みっぽくも見えたり。
その辺りも含めて、内容にもっと踏み込んだ感想を書いていきます。
『ドラえもん のび太の地球交響楽』のもっと踏み込んだ感想
■音楽映画というよりも“楽器映画”?
今回のドラえもん映画はざっくりと言ってしまえば、ドラえもんたちが音楽に弱い宇宙生物から地球を守る物語。
そのためにのび太たちが優しい宇宙人のミッカの手助けをしながら、「音楽(ファーレ)の殿堂」という宇宙船を復興させながら、楽器の演奏技術を高めていくという内容になっています。
ドラえもんのひみつ道具でズルして練習して上手くなろうとするのはタブーとしていたり、音楽はまずは楽しむことが大事であること。協調性が大事だということ……などなど音楽と向き合う上での心得みたいな部分を丁寧かつ真摯に描いていてとても上手いです。
ただ、一つ気になる。
大前提としてのび太たちが楽器ありきで物語が進んでいくところが少しピクつく…….のは私の好みでしょうか。
私が好きなヒップホップミュージックは、楽器も“弾けない”、“買えない”ような人でも楽しめるジャンル。楽器がなければボイスパーカッションがある。ラップがある。声が出せなきゃ手拍子がある。
そんなジャンルを好いているので、どうも楽器ありきで話が進んでいく感じが高等な人の物語に映ってしまいました。そのせいで個人的にはこの映画は“音楽映画”というよりも“楽器映画”。
翻って“音楽映画”としては「どれだけ音楽を奪おうとしても、俺たちの身一つあれば音楽は鳴り止まない」という根源的な部分で音楽の概念が一致した『トロールズミュージックパワー』(2020)を再評価する瞬間でもありました。
そして思い出した映画がもう一つ。
岩井澤健治監督の『音楽』(2020)。
楽器なんて技術じゃない……もっと初めに音楽の初期衝動があるんだ!というスタートはまさに“音楽映画”でした。
クライマックスのインパクトは凄まじかったし、同じ“リコーダー映画”仲間だし、どうしても思い出してしまいました。
■SF的な仕掛けはまさにドラえもん!
音楽映画の部分以外でも惹かれる部分がありまして「これぞドラえもん!」というSF的な仕掛け。
クライマックスである奇跡的な出来事が起こるのですが、実はそれにも必然的な理由がありました……という伏線の見せ方はまさに藤子先生の原作で綺麗なオチを見せられた時のような体験でした。
脚本協力で佐藤大さんの名前が並んでましたが、やっぱりこの部分なのかな?
ただ、この印象的なクライマックスについても一つ問題が。
これは映画の問題じゃないんですが割とクライマックスに音が一切出てこない緊張感の強いシーンがやや長めにあるんですが、この場面で近隣席のイビキが目立つ目立つ。
お客事故体験は楽しめる方だけど、かなり雰囲気ブチ壊してて悲惨でした。
嫌いな映画じゃないからあんまり変な思い出を添えたくないのにぃ。
無念。
まとめ
色々文句や残念な体験はあったとはいえ、総合点はやっぱり高め。
ドラえもん映画というだけあってどの場面のキャラクターも可愛いし、細かな演出に唸らせられるし、やっぱりね、ドラえもん映画は安定してますわ。
来年も楽しみにしてます。
余談。
よくあるベートーヴェンやモーツァルトといった音楽家パロディキャラの中に瀧廉太郎モチーフのキャラが混ざっているの新鮮で良いですね。
公式サイト
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