【映画レビュー】超インドア人間の『映画ゆるキャン△』の感想
レビューし忘れ案件だったのですが、ちょうど今月からプライムビデオで配信が始まったので、今こそ書きますよ。
『映画ゆるキャン△』のざっくりとした感想
上映当時、映画館で『ゆるキャン△』を観てきました。
2018年にTVアニメが放送され、2期や実写ドラマなども制作された、アウトドアを楽しむ女子高生の日々を描いた『ゆるキャン△』が初の劇場アニメ化。これまではキャラクターたちの学生時代を描いてきたのですが、今作では学校を卒業し、社会人となった面々の姿を新作として描きます。
監督はTVアニメシリーズを監督してきた京極義昭氏が今作でも監督を務め、これが劇場作品に初登板となります。
私はTVアニメシリーズは1期はひとまず見終えて、雰囲気はふまえた上で今回の映画に臨んだ結果……
傑作。
実はTVアニメ版がそこまで肌に合わなかったのですが、すごく良かったのですよ。
TVアニメの何が合わなかったのかを含めて、どこが刺さったのかといった詳しい話をします。
■キャンプはぶっちゃけやってみたいとは全く思わない!
私がTVアニメ『ゆるキャン△』が合わなかった決定的な理由がわかっていまして……
全くキャンプをしたい気持ちにならないんですよ。
というのも、私はドがつくほどのインドア。
キャンプってこういうものなんだ、という知識としての面白さはもちろんあるのですが、やはり自分が全くキャンプをしたいとは思えない分、「好き」に思える気持ちが湧いてこなかったのです。
それを踏まえての、今回の『映画ゆるキャン△』。
たっぷりキャンプ描写は詰まっていて、「なるほど」という学びは映画版でもしっかりあったのですが、キャンプ描写に全然共感がわかないので、私の中で「好き」が溢れてこない!
キャンプが好きになれないままだとやっぱり映画自体への「好き」な気持ちも強いです。
りんちゃんとなでしこの二人が、山奥の温泉へ行くシーンとか、映画的にはとても良いシーンなんだけど、私の中ではずーっと「うわぁ、絶対行きたくねぇー」って思いが溢れていましたよ。
■すっごく“お仕事映画”
これほど、キャンプという題材が私に刺さっていない中で、私がこの映画に「傑作」の札をあげたくなるほど好きなのは、キャンプとは全然別のところでしっかり良かったところがあったから。
それが本作のお仕事映画ぶり。
これまでは学生のキャンプの様子を描いているものでしたが、今回はまさかの社会人となったなでしこたちの様子を描いたものになっていて、TVシリーズとはまた別の様子が描かれたものに。
社会の厳しさであったり、逆にそんな社会の優しい部分。
大人になって窮屈を感じることや、自由の幅が広がること。
そういった、誰もが感じるような社会に出て働き始めた頃のあの感覚を、赤裸々に描いていくところにグッと来てしまいました。
本作の劇場公開は7月1日公開でしたが、高校や大学を出て、4月から新社会人として就職した人にとって丁度3ヶ月のタイミングでの“この映画”は絶妙な気がしますね。私は大学出てからも中国行ったりと遊んでいたので想像でしかないけど、勝手に染みました。
年末年始を会社で過ごすリンちゃんに「正月ぐらい家帰れ」と言いたいけど、割と自分もそっちタイプだったので、リンちゃんのスタンスもめちゃ分かる。社会は迷宮。
題材的に合わない作品だったはずの『ゆるキャン△』でこんなに共感を味わえる瞬間があるとはびっくりでしたよ。
■お金の感覚や現実とのすり合わせについて
そんなお仕事描写で唯一気になるといえば、今作の本筋である「キャンプ場を作る」というお話。劇場版らしいスケールアップぶりとか、親指が上がるところなのですが、ここまで来るとサークル活動というか事業になっている点はやや気になったりも。
千秋という事業の中の人が居るとは言うものの、結構な重労働に対してちゃんと対価は払われているのかな?とか、結構後半になるまで、仲良しグループ以外の人物が登場しないな?とか、内容が現実的な分、余計なところがチクチクと気になってしまうのは否めませんでした。
野暮なことではあるだろうし、お金の話なんてものを逆にちょっとでも入れたら、なでしこ達がやっていることの目的の一つに「お金」が入って来ちゃって、それはそれでノイズになることは分かります。
それでもやっぱりこれだけの事業に労働として活動している面々の姿を見ると、頭の片隅に“やりがい搾取”という単語が浮かんできてはしまいます。
ただでさえアニメーション業界では問題になっている単語ですので、そのアニメーションでその白線を踏んでいるような描写が出てくると、あまり良い気はしないですよね。
まとめ
というわけで、ガチインドアなので、TVアニメ版でも全くキャンプにそそられなかったのですが、今回の映画版でもアウトドアしたいという気持ちは一切湧かず!といった結果に。
ただこの映画、肝はそこじゃありません。
「好き」に向かう姿や動いている人の引力を描く社会人映画。淡々さが逆にドラマティックで染みる、そんな映画でした。
キャンプをしたい気持ちには全くならなかったけど、なでしこ達がキャンプがすごい好きなのは分かったし、魅力が存在することまではちゃんと伝わっているつもりなので、ぜひ、みんなこの映画やアニメ、漫画を見て、どんどんキャンプをするが良いよ。
私は行かないけど。
そして先日、TVアニメシリーズ3期の制作も発表されました。
『ゆるキャン△』の旅はまだまだ続く。
映画『ゆるキャン△』はプライムビデオの見放題枠で見られるので、どうぞ。
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