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【映画レビュー】予告を良い意味で裏切るその内容!『ふれる。』のレビュー

しっかり触れていくぞ!

『ふれる。』のざっくりとした感想

『ふれる。』を観てきました。

ふれる。
製作年:2024年 / 製作国:日本
107分 / CloverWorks
監督:長井龍雪

https://eiga.com/movie/100854/

長井龍雪監督、岡田麿里脚本、田中将賀キャラデザという超平和バスターズチームの新作。不思議な生き物“ふれる”の力で心がつながっている3人の青年の友情を描いたオリジナル作品。主題歌にはYOASOBIさんを携え、メインのキャラには永瀬廉さん、坂東龍汰さん、前田拳太郎さんがキャストとして名を連ねます。


本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

そこまで悪い映画じゃない惜しい一本。

大箱が割とガラガラなのも納得できるけど、地味ながら手堅く深みもある映画でしたよ。


以下、ネタバレを含む内容にもっと踏み込んだ感想を書いていきます。


『ふれる。』のもっと踏み込んだ感想


■そう来たか!“ふれる”の意外なルール。

『ふれる。』は不思議生物“ふれる”の影響で、触れ合うだけで考えている事が互いに伝わるようになった3人の男子の物語

(C)2024 FURERU PROJECT

『ふれる。』の予告編を観て、「触れるだけで気持ちが伝わるのは不都合じゃん」と根本の部分で疑問を思ってたんですが……

そうじゃなかった!

主人公達が好都合システムに思える“ワケ”があったんですよ、コレ。

割と終盤まで上記のルールだと主人公達も思っていたのですが実は“ふれる”は互いの不都合になりそうな気持ちは勝手に伝えないようにしていた事が発覚します。

(C)2024 FURERU PROJECT

ノイズキャンセル付きのテレパシーみたいになっていて確かに便利!

.....ではある一方、この事実が明らかになり実は悪意を持っていたのかもと疑いの視点が生まれたり、喧嘩にならないように同じ人に好意を持っていたことを打ち明け損ねてトラブルになったりと問題が起こってくワケです。

しっかり言葉にして伝えようよ、ということだけでなく、結局人が思っていることなんてわからない方が良いし、だからこそコミニュケーションをどう取っていくべきか、という話になっていきます。

思っていたよりも一段階踏み込んだ仕掛けが用意されていて見応えがありましたよ。

触れたら気持ちが伝わる.....以上の練り込みがしっかりある!


■キャラクター造形の面白さと気になるヤツ


岡田麿里さんらしさの部分なのかと思うのですが、それぞれのキャラクターの味付けがまた面白い。

秋は無口で根暗な感じだけど、暴力的な一面があったり、体育会系の諒はしっかりしてそうだけど会社では叱られまくりだったりと、一辺倒な性格じゃないとこが人間的で良い。

中でも男性陣よりも女性陣の妙なリアルさが好き。

(C)2024 FURERU PROJECT

ストーカー被害真っ只中の奈南は優しく流されやすい......からこそ、良い雰囲気の時に優太とキスぐらいはしちゃう、みたいな感じの「居そう」感ですよ。しれっと好みは顔や身長で選ぶところとか、ステレオタイプなフィクションの内気キャラじゃなくて良い。

しっかりものそうな樹里もちょいちょい頓珍漢だったり(そもそも同性愛者だと勘違いして同居しようとするってなんだ)、当たりが強そうだけど友人になるとフツーに良いヤツだったり、逐一生々しい人間感があって良いです。

一様じゃないのが人間ですわ。


ただ、キャラクター造形という意味では1番気になったのが、マスコットの“ふれる”。

(C)2024 FURERU PROJECT

正直、悪い意味で浮いて見えたのですよ。

一匹だけ動きがアニメアニメしていて、もっと実際のハリネズミやヤマアラシライクなデザインや動きの方が等身の高いこの作品には合っていたような気がします。

異物感どころか別作品から来たみたいに見えます。結局はこの映画のクライマックスを担うのは“ふれる”なんだから、浮かない見せ方はできなかったのかな?

人間たちのキャラクターは面白いけど、“ふれる”だけはデザインから悪い意味で気になる。


■作画やクライマックスなど細かい言いたいことはたくさんある

他、細かい気になるとこは正直たくさんあります。

3人の幼少期からの歩みとか、ダイジェストでさらっとやっておきながら“思い出の場所”として引っ張ってくるとか、上手くないなぁと思ったり。

(C)2024 FURERU PROJECT

クライマックスの青空を急降下する描写は、昨今日本アニメがやりすぎていることとも思ったり。

そもそも作画がビシッと決まってるようなシーンが多くもなければ、「あれ?」と思う場面もゼロではない感じ。

細かいツッコミどころは無数にあったので、そういったいくつかや、特にノイズに感じた人はあまり好きになれない映画だと思うのです。

割とSNSでは厳しい評価も散見する映画ですが、ノイズキャンセルしながら観たので、私は好意的に観れた気はします。

流して観れるけど正直気になるノイズは無数に見つかる。


まとめ

●設定に一つ踏み込んだ仕掛けがあって驚きあり。
●ふれるを除く登場人物たちのキャラクターは面白い。
●際立って話や演出、ビジュアルの洗練さを感じるところは正直そんなない。

というわけで、

諸手を挙げて評価する映画って感じじゃないけど、悪い映画ではないぐらいの映画でした。

超平和バスターズ組の新作と思うと、もっと頑張れたんじゃないの?とも言いたくなるぐらいには期待はしたいグループですが、たまにはこういうビミョーなラインの映画も出てくるものかな。


なににしても、もっとお客さんが入って欲しいと思う程度には応援したい映画なので、ぜひ足を運んであげて下さい。私は動物好きなので『ふれる。』の終盤でちょっと泣いちゃったよ。


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▼『ふれる。』の初報記事。

▼脚本の岡田麿里さんが監督した映画のレビュー。


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