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【映画レビュー】観る前に知っておいたほうが良いことがある?『ムーミンパパの思い出』の感想

年末ぎりぎりに公開された珍しいアニメ映画です。

『ムーミンパパの思い出』のざっくりとした感想

試写で『ムーミンパパの思い出』を観ました。

ムーミンパパの思い出
(原題:The Exploits of Moominpappa)
制作年:2021年 制作国:フィンランド
監督:アイラ・カーぺラン

https://eiga.com/movie/99979/

フィランドの作家トーベ・ヤンソン氏の生んだ人気キャラクター「ムーミン」の長編パペットアニメーションシリーズ最新作。原作小説「ムーミンパパの思い出」をベースに、若かりしムーミンパパの冒険やムーミンママとのなれそめが描かれます。

製作自体は2021年のものだったのですが、2023年の最後の最後に滑り込みで日本上陸となりました。

キャストにはTVアニメ「楽しいムーミン一家」のメンバーが今作でも集結しています。


私はそんなにムーミンに愛着があるわけでもないのですが、そんな私が本作を観た感想をざっくり一言で言うと……

心の準備が必要な狂気の映画。

ムーミンらしいシュールなストーリーがこれでもかと注ぎ込まれる、妙な体験になっています。


もっと踏み込んだ感想を書いていきます。


『ムーミンパパの思い出』のもっと踏み込んだ感想


■総集編映画ということをふまえて臨むべし

まずこの映画、前提として知っておいたほうが良いと思うことが一つあります。

この映画、77年〜82年にかけて制作された平面的なストップモーションアニメーションシリーズからいくつかのエピソードを抜粋した再構成版……つまり総集編映画なんですよね。

10分ぐらいの短編が連なって出来ているということは頭の片隅に入れておいた方がエピソードの区切りをイメージできて観やすいです。

むしろ、知らないで観ているといつの間にか一つの話題が突然終わっていたり、どれがオチだったのかわからなかったりと混乱させられて余計な体力を使うので、多分疲れます。

こっそり総集編映画だから、知らないと疲れるよ。


■クレイジーなキャラクターばかり!シュールか哲学か

(C)Filmkompaniet / Animoon Moomin Characters TM

作品の体裁を踏まえると、『ムーミンパパの思い出』はムーミン知識が中途半端な人間にこそ、面白い体験へと変わっていきます

薄い知識しかないたので
「この人があの人の親なの!?」とか
「パパとママの馴れ初めそれなの!?」とか
「今、フツーに嫌いなやつを見捨てただろ」とか
急に豪速球の驚きの描写が飛んできます

本編開始早々にムーミンの尻尾が毟(むし)りとられるのとかフックとして最高だろ。

一人一人のキャラクターをなぞっていくと、ほぼほぼみんな突き抜けてることがよく分かるので、ムーミン谷って場所はやっぱりすごいところなんですね。

(C)Filmkompaniet / Animoon Moomin Characters TM

今回の映画で一番の推しキャラは中盤から登場するお化けですね。
ベタにみんなを驚かせる奴として登場するのですが、途中から編み物に凝りだしてお化けという存在をサボりだすところとか笑えます。

キャラクターの行動や起こる出来事がブッ飛んでいて笑える。


■ベテラン声優陣の演技にも注目

細かいところでは、このムーミンのパペットシリーズでは、キャラクターのほとんどが口がないデザインになっているので、“口パク”もなければ、そもそも表情もほぼ変化がないのですが、それを声優陣の演技が見事にカバー

改めて「そういえばみんな無表情だな」と途中まで気づかないほど、声が入ることで感情が豊かに映るのがやはりすごいです!

もはや当たり前ぐらいのキャスティングですが、『たのしいムーミン一家』準拠の起用なのも嬉しいところです。

表情の変化の乏しい画を声優陣がカバー。


まとめ

●総集編映画ということを知らないと疲れる。
●平和な話と見せかけて終始ブッ飛んだ内容。
●日本語吹替の声優陣の演技を堪能できる。

という感じで、少しクセはあるものの、ただの古典作品ではなく、しっかり今の人も楽しめるアニメーション映画になっていました。

今でこそこういった平面的なストップモーションアニメーションってあまりいないですしね。いろんな意味でおすすめです。


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