【映画レビュー】妙なハードさを秘めたビジュアル特化型映画『ムタフカズ』の感想
2017年の東京国際映画祭を逃して以来の念願の鑑賞です。
バンド・デシネの映画化!「ムタフカズ」のざっくりとした感想
フランス人アーティストのギヨーム・“RUN”・ルナールのフランスコミックを日本のSTUDIO4℃がアニメ化。2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭や第30回東京国際映画祭での上映を経て、満を持しての全国公開です。
今回が初のお披露目となる日本語吹き替え版では、主人公・アンジェリーノ役にSMAP脱退を経た草彅剛さんを起用するというという点も注目ポイント。 監督は「鉄コン筋クリート」の西見祥示郎監督が登板。
ハードめな内容ということでPG12作品です。
満を持しての鑑賞を果たせた本作。
そんな本作の感想を恐れ多くもざっくり一言で言わせてもらうと・・・
うーん・・・
という感じで、ちょっと悩ましい一本でした。
もうちょっと詳しい感想を書いていきます。
ビジュアルのカッコよさは間違いなし!
まず、期待していた部分として画としてのカッコよさはさすが!
フランスコミック・・・通称バンド・デシネのアニメーション映画化ということもあってか、所々を画で魅せる、魅せる。アニメーションといえば、動きで魅せることが多いのですが、本作はそこもちょっと違うのがポイント。
1カットのカッコよさでバシッと決めてくるのです。
独特のサブタイトルの入れ方とかケレン味があってシビれました。
またキャラクターデザインがポップな割に、物語がハードで物騒な感じもかなり私好み。以前から言ってるけどデザインのバランスは「アーチ&シパック」に近いかも。
出血の仕方とかゴア描写とかやろうと思えばもっとハードにはできるんでしょうけど、そこまで目を覆いたくなるような具合にしていない分『アーチ&シパック』よりは勧めやすいんですけどね。
世界観特化でそれ以外はイマイチ?雰囲気を楽しむべし
一方で割と残念だったのがストーリーがそんなに面白くないところ。
変なストーリーですよね、コレ。
マフィアの抗争物でもなければ、SFにも足つっこんでいるようで中途半端。友情を描いている作品かと思えば実はそういう着地をしているともいいがたいとこに落ち着くわ、唐突に恋愛映画だったみたいな展開もはらんでいたりと、この映画何を見せたかったんだろう……みたいな疑問があふれ出てきちゃう感じでした。
個人的ジャッジでは、恋愛アニメ映画“未遂”案件といったところでしょうか。
いわゆる押井守監督方式*でいう、「世界観」に特化したような映画でした。
この映画の「物語」とか「キャラクター」の部分に目を向けるとどうしても粗みたいな見えてきてしまうので、“雰囲気を楽しむ”ってのがこの映画の一番の楽しみ方のように思います。
キャラクターデザインとか大好きな分、個人的にはビジュアルだけの映画にしておくにはもったいない作品だと思っているので・・・とても惜しいです。
アクション性は意外と見応えナシ?
あと、アクション面での面白さがなかったのも残念。
上記の止め画的なカッコよさこそあれど、動きのあるシーンで魅せるところがなかったのが残念。
銃撃戦とか、ヘリの落下シーンとか、もっと迫力のあるものになっていいと思ったのですが、いまいちそういった派手さが感じられなかったのも物足りなさに拍車をかけました。
ルチャリブレの皆様がびっくりするぐらいに主人公たちとの交わりが薄かったのもびっくりでしたね。
まとめ
以上、感想をまとめるとこんな感じ。
漫画をアニメーション化するうえでの取捨選択というかメリハリというか、そういった部分でちょっと漫画よりな作品になってしまったのかなぁ……なんて思ってしまう惜しい映画でした。
原作が気になるのでぜひ読んでみたいのですが、和訳版とか出してくれないのかな。アートブックとかは充実しているんですけどね。
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