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【映画レビュー】世知辛く苦い銃少女物インディーズ映画『UNDER THE DOG jumbled』の感想

※この記事は2018年にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開しております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12386168817.html

2022年にヒットしたアニメ『リコリス・リコイル』を観て、私が最初に思い出した映画が実はこれでした。

『UNDER THE DOG jumbled』のざっくりとした感想

『UNDER THE DOG jumbled』を観ました。
ちなみに私が観たのは2018年に公開された、映像を追加した“劇場版”です。

UNDER THE DOG jumbled
制作年:2018年 / 制作国:日本
キネマシトラス、オレンジ制作 / 50分
アニメーション監督:安藤真裕 実写映像監督:磯山敦

https://eiga.com/movie/89014/

本作はクラウドファンディング発のインディーズアニメーション映画。
原作は『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』『428~封鎖された渋谷で~』などを世に送り出してきたゲームクリエイター・イシイジロウさん。

本作の概要か制作経緯などは、かつてあにぶさんに紹介記事を寄稿しておりますが、イシイジロウさんが1997年に企画した作品を基に、2014年にアニメーション化しようという動きがあり、クラウドファンディングが決行されたもの。87万ドルを獲得する成功企画となりました。

2018年当時、映画館で本作を観てきました。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

そこそこ

といった、身も蓋もない感想が漏れる感じでした。

もうちょっと詳しい感想を書いていきます。


『UNDER THE DOG jumbled』のもっと踏み込んだ感想


■戦う銃少女の物語……と見せかけてその本質は

本作をざっくり説明すると学校を舞台に、兵士や怪物と血みどろの戦いを強いられる普通の女の子の話

(C)2014 Jiro Ishii (C)2014 Yusuke Kozaki (C)2015 Under the Dog, LLC All rights reserved.

武器などをもって敵と戦う美少女物って、ゲームやアニメでも多数存在する手垢のつききったような題材……ではあるんですが、本作の肝はそれすらもお膳立てかのような扱いにしてしまうという意外なクライマックス。

本作の主人公であるはずの冬月ハナちゃんが最後に“ある展開”を迎えてしまうわけですが、この展開の意味やその後最終決戦などを思うと、主役になれないサブキャラクターの悲運を描いているようでとても興味深かったです。

かなり絶望的なメッセージにも受け取れる本作の顛末なのですが、それを背負うあるキャラクターの最後のシルエットに、儚さや刹那の美しさを感じる趣深いアニメーションでもありました。

説明が少なくて、あるキャラクターを将来的に描いていこうとしているパイロット版的な見方も出来るのですけど、単体としてもひとつ深みのある作品だったのではないでしょうか。

(C)2014 Jiro Ishii (C)2014 Yusuke Kozaki (C)2015 Under the Dog, LLC All rights reserved.

一見内気そうなハナちゃんの見せる残酷さとプロフェッショナルっぷりにバックボーンの深みを感じます。

主役になれないキャラクターの悲劇性が味わえる挑戦作。


■劇場公開にあたっての追加要素はちょっと悩ましい仕上がり?

そんな本作は劇場公開するにあたって実写パートや短編アニメーションなどが追加されているのですが、この要素がなんとも言えない微妙な仕上がり。

冒頭に付く実写パートは、“あった方が作品の深みが増すので不必要とは思わない”のですが、いかんせん長い。もうちょっとパキッと本編に入ってくれた方が見やすかったようにも思います。

新録エンディング曲の「少女たちのメロディ」も、曲自体はすっごく良かったのですが、流れるのがダイジェスト映像なのがやや残念。せっかく後から作ったのならもうちょっと味のあるしかけを、画でも用意して欲しかったです。半分実写をこっちに分けても良かったかもしれない。

そして同時上映短編アニメ『アンシアちゃん』に関してはオープニング映像のみでほぼストーリーが描かれてしまって、本編を観る意味があまりないという珍事。

(C)2014 Jiro Ishii (C)2014 Yusuke Kozaki (C)2015 Under the Dog, LLC All rights reserved.

劇場公開に伴う+αの部分はもうちょっとどうにか本編を活かせる術があったように思うのが残念なところでした。

劇場公開に合わせて追加された要素はビミョー。


まとめ

●主役になれないキャラに焦点をあてた物語は一見の価値あり。
●後から追加された要素は、もうちょっとどうにかしようがあっただろ。

というわけでクセは強めなものの、一見の価値はあるアニメーション作品でした。短時間で楽しめるので、時間があって、割と腕とか首とか飛んだり出血するシーンとかが大丈夫な人はぜひ足を運んでみて下さい

しばらく視聴困難状態になっていたのですが、U-NEXTで配信が始まっていたので、有料枠ですが、もし良ければチェックしてくださいませ。


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