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【映画レビュー】攻めたスタイルと真っ直ぐな姿勢とたっぷりのユーモアにときめく秀作!『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』の感想

『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』のざっくりとした感想

『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』を観てきました。

ミュータントタートルズ ミュータントパニック!
(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem)
制作年:2023年 / 制作国:アメリカ
監督:ジェフ・ロウ

https://eiga.com/movie/97669/

当初は8月の公開を発表していたタートルズ新作が1ヶ月ほど公開を伸ばしてやっと公開!これまでの3DCGのアニメーションシリーズともまた違ったアートスタイルのCGで制作し、ビジュアルから驚きのある新生タートルズの物語が描かれます。

俳優のセス・ローゲン氏がプロデューサーを務め、監督を『ミッチェル家とマシンの反乱』で共同監督を務めたジェフ・ロウ氏が務めます。それぞれ脚本にも名を連ねています。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

ずーっと楽しい秀作!

落書きのようでもあり立体のようでもある不思議な質感がまず素晴らしいのですが、ビジュアルだけでなく音楽、アクション、ギャグセンスと「好き〜」が続く至福のひと時。

クライマックスの展開がまたベタながら私好みでウルッと来てしまいました。


ネタバレありでもっと踏み込んだ感想を書いていきます。


『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』のもっと踏み込んだ感想


■名もなき者たちだってそれができる!タートルズにスポットをあてる物語

なんども映像化を果たしてはリブート……というかリスタートを切っている『タートルズ』ですが、今作のタートルズは“人間世界に憧れる思春期感強め”のタートルズ。

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

育ての親であるスプリンター先生に人間は危険な者だと教わり、外出を制限されながらも、人間世界の憧れを捨てきれないタートルズたちが切なくも可愛いです。

そんなスタートからクライマックスで一度人間たちに改めて敵視されるという絶望を味わいつつ、最後の最後で唯一タートルズと親しくなってくれたエイプリルの勇気ある報道のおかげで、人間たちと和解し、共に敵を倒していくというドラマにベタながらグッと来ました。

タートルズを援護するのが名もなきポッと出のモブなのがまた良いのです。
あの人たちは無名な我々ですよ、我々。
いざという時に異質な存在の隣人のために名もなき私たちでも身体を張れば、世界を救えるのです。

カメラ恐怖症で嘔吐癖があるエイプリルが、国規模の放送でゲロってしまいながらも、以前のようにいじめられずに“ヒーロー”扱いされている後日談も地味に良いです。

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

他者を意地悪な見方をせずにしっかり評価することが、結果的にみんなの世界が充実していく……そんなメッセージがミュータントが入り混じって賑やかになるラストに感じられました。

タートルズを使った“共存”や“他者への理解”の描き方が上手い!


■親だから偉いわけでもねーんだよ、という制裁ぶり

本作のメッセージでもう一つ大きなものが“親の在り方”

https://twitter.com/turtles_jp/status/1697172378701402615

スプリンターとスーパーフライが対比となっており、それぞれ親としてミュータントたちに道を強制していくのですが、スーパーフライを目の当たりにしたスプリンターが反省し改めるというドラマも手堅く混ぜているところがさすがです。

この話でビックリしたのが改心をしなかったスーパーフライに全然救いがないところ。

https://twitter.com/turtles_jp/status/1697172378701402615

あれだけのミュータントたちを苦労して育ててきたのだけど、しれっと裏切られてしまって、みんなにボコされてしまうという顛末は少しかわいそうにも見えました。

ただ、それも踏まえて今作ではスーパーフライにはあの容赦ない最後を迎えさせたのかとも思います。どんなに苦労して育てようと、子供に対して望まぬ道を強制されるのは徹底して“悪”なんだ、という考え方も全然納得できまして、やっぱり親の言うことが絶対正しいなんてことはないんですよね。

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

日本語吹替版だと佐藤二朗さんがスーパーフライ役を担当していて、ちょっと憎めない感じのキャラクターが、スーパーフライのその悲劇性を薄めてくれていて、ちょうど良かったとも思います。

逆に威厳も薄まっていたけど。

親に対するシビアな思想にもしっかり共感!


■いろんな意味で“今”にアップデートされているタートルズ

ストーリーの内容の話ばかりの話をしましたが、もちろんビジュアルとかディテールに至っても最高。反骨精神というかストリート感がザ・ヒップホップって感じなのがまた最高。

ここぞというシーンでHIPHOPが流れたり、落書きのような造形はグラフィティのようでもあるし、そもそも地下に住むタートルズはアンダーグラウンドの存在であったりと、随所随所で“ヒップホップ”のイズムを感じさせてくれました。

同ジャンルが好きな身としてはやっぱり楽しいですよ、そりゃ。

▼公式でしっかりKREVAさんに解説してもらっているのも手堅いです。

しかも、タートルズたちの話している内容がしっかり“今”なのも良いです。
新しいものを強欲に取り込んでいくところもヒップホップ的でもあるし、タートルズ像としても親しみやすい。あくまでもしっかり“今”のタートルズですからね。

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

中でも『進撃の巨人』が意外なほどフィーチャーされていたのにもビックリしました。オタクコンテンツ的な引用でもあるのだろうけど、ここまで浸透しているタイトルだったとはビックリです。

ヒップホップスタイルがサイコー!


まとめ

●作中のメッセージ性がのみ込みやすく気持ちいい!
●ヒップホップスタイルが見事にハマっている!
●しっかり新生タートルズとして成立してる!

というわけでホントにホントに最高な体験でした。
しっかり日本でも『タートルズ』を上映してくれて嬉しいよ。

ちなみに私は幼少期にTVアニメ『ミュータント・タートルズ』が大好きでハマっていたクチなのでそもそもタートルズへの思い入れは強め。

4人の中でも特にレオナルド推しだったので今回は結構レオナルドがフィーチャーされてたのも嬉しかったです。リーダーになりきれてない不器用な子的なキャラクターが可愛くてそこもまた好きだー!

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

まだまだ次回作もやる気ありそうだし、新たなタートルズシリーズも応援していきますよ。


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▼予習記事。以前は8月公開予定でした。

▼直近までやっていたアニメシリーズはこちら


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