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【映画レビュー】“物語”の力を実感させてくれる今年ベスト級の大傑作!『ブレッドウィナー』の感想
※この記事は2018年にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開しております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12418890490.html
書くって言って放置だった新千歳空港国際アニメーション映画祭長編コンペ作品レビューシリーズ。
『ブレッドウィナー』のざっくりとした感想
『ブレッドウィナー』を観ました。
上映当時は『生きのびるために』という原作タイトルでも展開されておりました。
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ブレッドウィナー
(別題:生きのびるために)
(原題:The Breadwinner)
制作年:2017年 / 制作国:アイルランド、カナダ、ルクセンブルク
監督:ノラ・トゥーミー
今年の年初の映画賞シーズンの「リメンバー・ミー」無双に唯一真正面から戦った、カートゥーンサルーンのアニメーション映画。
監督はカートゥーンサルーンの「ソング・オブ・ザ・シーうみのうた」で脚本を務めたノラ・トゥーミーさん。
「生きのびるために」よりも「The Bread winner」のタイトルの方がピンとくる人もいるかもしれませんね。
本作を観てきた感想をざっくり一言でいうと
大傑作
という感じで、熱い涙を流して参りましたよ。
もう少し詳しい感想を書いていきます。
■いきなりのベスト級作品との遭遇!
本作、会期中で私にとって一発目の鑑賞作品だったのですがいきなりの今年ベスト級の作品との出会いにビックリ。
高い評判を聞いていましたが、いやはやまさかここまでとは、嬉しい驚きです。
本作では タリバン政権下のアフガニスタンを舞台に、立場の弱い人たち……とりわけ女性が置かれた理不尽な状況を取り上げた一作。そんな弱い立場の主人公の生きるための力となるのがまさに“物語”なのだから、面白い。
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並行して展開していくある“物語”のクライマックスが、映画におけるクライマックスとシンクロして、見事感動的かつ希望的なラストを迎える展開には涙がボロボロ出て止まりませんでした。
そしてまた、 この映画自体がひとつの物語として、遠方の私にまでパワーを授けてくれているというのがまたメタ的にグッとくるポイントというわけで、いやぁ……これ、ほんとよくできてます。
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2つの“物語”のクライマックスでのシンクロに涙。
■イスラム圏の女性の扱いに驚かされる!
イスラム圏における女性の扱いに関して、なんとなくでしか認知していなかったのですが、これ見ちゃうとその異様さが重い実感として体験できてしまうのだから、不思議です。 主人公のパヴァーナの視点を通して、あちらの国で男手を失ってしまった家族がその時点でどんな無理ゲーに突入せざるを得ないのか……あまりの文化の違いに映画の序盤から衝撃が走りました。
これだけネットも発達したというのに、全然外国の生活について自分は物を知らないのだと実感しました。
ハリウッド映画の女性観の見直しが目立ち始めた昨今ですが、必要なムーブメントなのだと改めて痛感します。
世界はまだまだ成熟を待ってます。
ちなみに当時は、安田純平さんのニュースが話題になっていた時期でもあったので、より国の別世界ぶりを考えさせられました。
日本との文化の差も学べる映画だった。
■キャラクターが魅力のカートゥーン・サルーン印!
壮絶な物語なので、鑑賞の敷居は高いと思うのですが、そう思ったあなたもご安心を。この映画、意外と観やすいです。
話もポンポン進んでいくし、合間合間に物語パートが挟まれるお陰でメリハリもある。そしてなによりキャラクターたちの造形が可愛い。
『ソング・オブ・ザ・シーうみのうた』や『ブレンダンとケルズの秘密の書』とは、全然印象が違うものが出てくるかと予想したのですが、しっかりあの可愛い造形の遺伝子を残したキャラクターデザインになっていて、絶妙なバランス感だと思いました。
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こういう作品を観ると、世界って広いなーとか、日本って全然違う世界なんだなーとか、当たり前なんだけどうまく実感できないことが実感できてしまうのがすごい魅力だなぁと思いました。
物語の力、そして映画の力を感じる素晴らしい映画でした。
過酷な内容をしっかり可愛くポップに見せられている。
まとめ
●2つの“物語”のクライマックスをシンクロさせる手法が上手い。
●日本とあまりにも大きいイスラム圏文化の差を知ることができる。
●過酷な内容をポップで見やすい作品にできている。
というわけで、素敵な映画でした。
…….で、実は本作Netflixで、すでに配信済みなので気軽に見られる一本なのですが、“自分”という人間から離れて映画館でがっつり観るのに非常に向いてる作品なので、スクリーン鑑賞がオススメです。
Netflixでは『生きのびるために』の方のタイトルで配信されています。
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