【映画レビュー】『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』の感想。見事な『2』とはこのことなり。
この年末シーズンのイチオシ映画はやはりこの映画ですよ。
『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』のざっくりとした感想
昨年の『トロールズ ミュージック★パワー』ぶりのドリームワークスアニメーション最新作。2017年制作の『ボス・ベイビー』(日本公開は2018年)の続編が4年ぶりに登場。監督は前作に引き続きトム・マクグラス氏。そして、日本語吹き替えには、ムロツヨシさんが続投。兄のティム役は、成長後のティム役の宮野真守さんが全てを務め、前作の芳根京子さんは娘のタビサ役に変更。さらに新キャラのボス・レディには多部未華子さんが名を連ねています。
ドリワ好きとしては待望の新作なので、内心「変な映画来たら嫌だな……」といつも以上の心配をしながら臨んだ新作でしたが、観てきた感想をざっくり一言で言えば……。
しっかり傑作!
兄弟、姉妹、親子さらには祖父母や伯父に至るまで、描く家族の繋がりはより広く!異常なテンションはより過剰に!しっかりパワーアップした続編が描く対立は、「子供と大人」。狂気と純粋さが入り乱れる本作は大人もぜひ舐めてかかって欲しい上出来な一本でした。
もう少し詳しい感想を書いていきます。
実はボスレディよりもこっち!娘タビサの物語
本作、ビジュアルでも大々的にアピールされているように、新キャラクターのボス・レディがキーとして活躍するように見えるわけですが、その実、全く違う!ボスレディよりも実はティムのもう一人の娘である、タビサの方が大活躍しております!
アニメーションもキャラクターもとびっきり可愛いんだけど、なにより吹替版ですよ。前作でティム役を演じた芳根京子さんが、今作ではタビサ役へと交代になってしまっているのですが、こちらに起用したのも納得!
クライマックスの発表会で披露する歌唱シーンは、変にうますぎない絶妙な“子供の一生懸命な歌唱シーン”にチューニングされていて、今年の個人的歌曲賞はマジでコレと感じる仕上がり!(あと金魚のくだり最高。)
思わずアニギャラREWさんでその愛を語りましたので、こちらも読んでいただけましたら幸いです。
兄弟ものとしても新たに『1』のその先の家族を描く
タビサとティムの親子の物語にフォーカスしている一方で、シリーズの『1』に引き続き、ティムとテッドの兄弟の物語もしっかり描いています。ただし、『1』のような兄弟に“なる”話ではなく、“なった後”の話となっているのが、今回の『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』の特徴。
かつては仲が良かった兄弟が疎遠になる様子や、娘が思春期を迎え距離を置くようになったり、年を経て親とも離れて暮らすようになったり……映画の随所に家族内での変化が描かれていることに感心しました。
思えば家族という関係は、確固たる状態が続く方がレアケース。時間の流れに沿って変化をしていく流動的なものなわけで。そんな家族が、疎遠になった時に今一度関係を見つめなおす映画となっていました。まさに『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』は“ファミリー映画”という表現が最適の映画となっていたのではないでしょうか。
『1』を観ているとニヤリとするところだらけ
加えて、さすがだなぁ、というのがしっかり『1』のセルフオマージュも多数仕込んでいるところ。
物語の始まり方が『1』と同様であったり、『1』の最後でタビサが馬が欲しいと言っていたセリフがしっかり今作の伏線となっていたり、作中に出てくる小道具に至るまでが『1』に登場したものに溢れていたりとファンとしてはしっかり“嬉しい続編”となっていたことは嬉しいです。
中でも『1』のクライマックスを担ったあの“レポート”がこういった形で使われるのか!という展開には感心をしたものです。一方で『1』をおさえていないとそのくだりの魅力が半減してしまうというのはちょっと寂しくも思うところ。単作としても連作としてもしっかり極上の体験を与えて欲しいと思っている身からすると、ちょっと反則技には見えるんですよね…..。
ただ、そんな作品だからこそ2021年12月17日(金)に金曜ロードショーで『ボス・ベイビー』が放送されたことは嬉しい追い風だったわけで。
見れなかったという人も、プライムビデオで配信されているので、ぜひ鑑賞前に『1』を予習しておくと、そこも『1』を踏襲していたのか!という驚きのポイントが見つかるのでおすすめです。
『呪術』に押されて上映回も減ってきてますが、『ボス』はまだまだ上映中。是非に年末年始に『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』に足を運んでくださいませ。今冬の一番のおすすめです。
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