全12作品!アヌシー国際アニメーション映画祭2023の長編コントルシャン部門ノミネート作品一覧!
この記事は、以下の記事の続きとなっております。
というわけで、フランスで開催されるアニメーション映画のでっかい祭典『アヌシー国際アニメーション映画祭2023』の長編コントルシャン部門の作品を紹介していきます。
そもそもコントルシャン部門ってなんだよ、って人もいると思いますので簡単に説明しておくと、この部門は2019年より設立された、個性的な長編作品で、観客に課題を生み出してくれる挑戦的な作品が対象となる部門だそうです。
ここまでテンプレ。
奇抜な作品が揃いがちの部門なのですが、今年は意外と見た目ではそこまで異様さを感じられない作品が多い気もするラインナップとなってまして、そんな選ばれし作品たちをざざっと全12作品紹介して参ります。
まずは日本の作品から紹介していきますね。
駒田蒸留所へようこそ
コントルシャンで今年日本からの唯一のノミネートとなったのは、『花咲くいろは』や『SHIROBAKO』などのお仕事シリーズを手掛けてきているP.A.WORKSが新たにTVシリーズなどを経ないで一発目に劇場長編作品として公開する最新作。崖っぷち蒸留所の再起に挑む2代目女社長が、幻のウイスキーの復活を目指すお話。日本では2023年11月に公開予定です。こちらは予習記事あり(↓)
続いて、ヨーロッパ作品。
Heavies tendres
2018年に製作されたTVシリーズ『Heavies tendres』という作品があったのですが、今回はその映画版。イラストレーターのファンホ・サエスさんの体験をベースにした物語となっており、90年代のバルセロナを舞台に喘息の少年ファンホと、父のいない少年ミケルの二人の友情と音楽の物語です。ファンホさんはアートディレクションとして本作にも参加しています。
TVシリーズのアニメーションはこんな感じでした。(↓)
Robot Dreams
映画『ブランカニエベス』でゴア賞の作品賞をはじめ、多くのアワードを受賞したパブロ・ベルヘル監督がアニメーション映画に初挑戦。原作はサラ・ヴァロンさんによるコミック作品。獣人達が住む世界を舞台に、犬とロボットと仲良しコンビがビーチに行ったことをきっかけにロボットは身体が錆びれてしまい、犬がロボットを置き去りにしてしまって……という謎のストーリー。
パブロ監督による本作の制作に関するステージ映像(↓)
Rosa and the Stone Troll
ジョセフィーン・オッテセンさんによる児童書をベースに『Holly på sommerøen』のカーラ・ホルムベックさんがアニメーション映画化。孤独な花の妖精ローザが、冒険好きな蝶々シルクと出会ったものの、そのシルクがトロールに誘拐されてしまい、それを救いに向かうという冒険譚です。
ターゲットとして未就学児向け作品となっております。
Toldi
アラニ・ヤーノシュが手がけた長編叙事詩『トルディ』シリーズを、本国ハンガリーが映画化。少年トルディが立派な騎士になるまでの物語を描きます。監督を務めていたマーセル・ヤンコヴィックス監督は2021年に亡くなられており、本作が遺作となってしまいました。
Tony, Shelly and the Magic Light
生まれながらに“発光”の体質を持つ11歳のトニーが、クリスマスを前にシェリーという少女に出会ったことをきっかけに冒険に旅立つというストップモーションアニメーション作品。本作で監督デビューとなるのが、幼い頃にイジー・トルンカ作品で育ったというフィリップ・ポジバック監督です。
White Plastic Sky
『Les Conquérants』や『Leftover』など短編アニメーションで数々の結果を残してきたTibor BanoczkiとSarolta Szaboのコンビ“DOMESTIC INFELICTY”による初の長編アニメーション作品。2123年のブダペストを舞台に、人間による活動と人口の拡大により崩壊した世界で、50歳になった人々はプランテーションという場所に送られて木に変えられるというシステムが導入。妻が自らの意思でこのプランテーションに向かったことを知って、主人公の夫が妻を取り戻そうと旅に出るというお話なのだそう。
Johnny & Me - Eine Zeitreise mit John Heartfield
アニメーションと実写映像などを交え社会問題を描いたドキュメンタリー作品を制作してきたカトリン・ローテ監督の最新作。グラフィックデザイナーのステファニーが、フォト・モンタージュで知られるジョン・ハートフィールドの作品に惹かれたところ、不思議なことに彼女はジョンのスタジオにたどり着き、100年前のジョンの日常をめぐる旅をするという物語。
続いて、北アメリカの参加作品。
Adam change lentement
パトリック・ワトソンの『Dream For Dreaming』のパペット制作やティンバー・ティンブルの『Sincerely, Future Pollution』といったMVの制作やアヌシーでもノミネートを果たしたことのある短編『Le courant faible de la rivière』を手がけてきたジョエル・ボードレイユ監督が初めて長編アニメーション映画の制作に挑んだ作品。周囲の人間による嘲笑や悪口によって変化する身体を持った15歳の青年アダムの姿を描いた2Dアニメーションです。
Slide
80年代から賞レースでも活躍し、あの『ザ・シンプソンズ』のオープニングシークエンスなども担当していたビル・プリンプトン監督が、新たな長編アニメーション映画を制作。ギターを弾くカウボーイが、悪い双子が経営する腐敗したオレゴン州の伐採の町に現れて戦うミュージカルコメディ西部劇となっています。キックスターターでは目標の7万7千ドルを超える8万4千ドルの支援が集まっています。
最後にそれ以外の地域の作品を紹介していきます。
Saleem
今年、中東から唯一のノミネートとなった作品。
避難民の少年サリームが宝の地図を発見し、人生を変える冒険に出るという3DCGアニメーション作品。ヨルダンのアニメーションシリーズ『Our Family Life(حياة_عيلتنا)』のシリーズディレクターも務めるシンシア・マダナット・シャライハさんが本作で初めて長編監督を務めます。
『Our Family Life』シリーズはYouTubeで配信されてます。(↓)
100万再生とかされてるやんけ。
La Grotte sacrée
1999年に設立されたカメルーンの映像制作会社MALOピクチャーズが、長編アニメーション映画を制作。赤道直下のアフリカの森林にてある王が臣下の人間によって毒を盛られてしまい、それを救うべく側近の二人が解毒剤を探しに向かうものの、王国の混乱に発展していくという物語なのだそう。こちら、まだ映像などが見つかってないので、トレーラーなどが発表されましたら足しときます。
以上、12作品!
今年も長編コンペティションよりも圧倒的に作品ごとの情報が見つかりにくく、例によって思っている以上に世界には多くのアニメーションが存在するのだと思い知る部門となっておりました。
今後も続々と情報もアップデートされていくと思いますので、適宜更新して参ります。
今年も引き続きアヌシーの情報を追って参りますので、よろしくお願いします。
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去年のコントルシャン部門はこちら(↓)。
一昨年のコントルシャン部門はこちら(↓)
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