全11作品!アヌシー国際アニメーション映画祭2024の長編コントルシャン部門ノミネート作品一覧!
この記事は、以下の記事の続きとなっております。
というわけで、フランスで開催されるアニメーション映画のでっかい祭典『アヌシー国際アニメーション映画祭2024』の長編コントルシャン部門の作品を紹介していきます。
そもそもコントルシャン部門ってなんだよ、って人もいると思いますので簡単に説明しておくと、以下の通り。
奇抜な作品が揃いがちの部門なのですが、今年は意外と見た目ではそこまで異様さを感じられない作品が多い気もするラインナップとなってまして、そんな選ばれし作品たちをざざっと全11作品紹介して参ります。
まずは日本の作品から紹介していきます。
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
コントルシャン部門で今年日本からの唯一のノミネートとなったのは、水木しげる先生の名シリーズ『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎誕生秘話を、原作をベースにしつつもオリジナルで描いた長編作品。昭和31年の空気感を再現していたりとディテールも見どころなのですが、“鬼太郎”の文脈が通じない海外コンペでどんな評価を受けるのか注目。
続いて、ヨーロッパ作品。
スルタナの夢
1905年にインドのベンガルで書かれたフェミニスト短編小説をモチーフに、女性たちのユー トピアを探してインドを旅するヒロインを描いたアニメーション。こちらは昨年東京国際映画祭や新潟国際アニメーション映画祭で先行sて日本上映されていたので、鑑賞済みの人も結構多いはず。
Pelikan Blue
ザグレブの長編コンペにも選出されたハンガリー映画『Pelikan Blue』。 海外旅行が可能になったばかりの90年代ハンガリーを舞台に、3人の若者がまだまだ高額な列車の切符を偽造して外の世界を体験していくという内容。トレーラーを見ると時折実写が混ざったりして面白そう。
Reise der Schatten
宇都宮美術館で個展が実施されたばかりのスイスの映像インスタレーション作家であるイヴ・ネッツハマー氏が監督となって制作したアニメーション映画『Reise der Schatten』。異常なほどシンプルな3DCGビジュアルで87分の長編を作ったらしく映像を観ると衝撃の増す、驚異の作品。“テクノロジーの時代において人間を人間たらしめているものについて考察する作品”らしいけど難解作品の予感がバリバリしてます。。
Living Large
料理が得意な12歳の少年ベンジャミンが、クラスメイトのクレアと再会したのをきっかけに太りすぎている自身の体型と向き合うことになるストップモーションアニメーション作品。監督のクリスティーナ氏は、短編アニメーションやミュージックビデオなどを手がけてきましたが、今回が初の長編監督作だそうです。
アジア圏の作品。
Gill
『Green Days 大切な日の夢』や『巫女図』などを手がけてきたアン・ジェフン監督が、作家ク・ビョンモ氏の同名小説を長編アニメーション映画化。タイトルが“아가미(えら)”である通り、突如エラが発生した少年ゴンの人生を描いた作品です。
行方不明
フィリピンにてロトスコープで制作されたアニメーション映画で、主人公はなぜか口がない青年。物語はこの青年が叔父と特殊な形で再会をしたことをきっかけに、その口のない理由に迫っていく内容となっています。本作は第19回大阪アジアン映画祭で日本上映を果たしていまして、詳しい紹介記事を過去に書いています(↓)。
The Glassworker
2015年に設立されたパキスタン初の手描きアニメーションスタジオ“マノ・アニメーション・スタジオ”が、ついにパキスタン初の手描き長編アニメーション映画を完成。ガラス工房を経営する若きヴィンセントとその父トーマスが、彼らの街にやってきた陸軍大佐と娘のヴァイオリ二ストのアリズとの出会いや差し迫る戦争を前に生活や関係が変化していく様子が描かれます。
監督はマノ・アニメーション・スタジオの設立者でもあるウスマン・リアズ氏です。
残るはそれ以外の地域の参加作品。
Our Crazy Love
『The Red Scroll』などを手がけ、ゴヤ賞やキリノアワードなどにもノミネート経験のあるネルソン・ボッター・Jr.監督の新作。アルツハイマー病を患っている精神分析医ニコラスが患者であり既婚者のダニエルとモニカを結びつける状況を作り出してしまったことでトラブルを起こすことになる作品です。
Sunburnt Unicorn
今回カナダから唯一のノミネートを果たしたのは、砂漠に迷い込んだ少年が、サボテンの王から父親を救い出すべく、ユニコーンに変身する3DCGアニメーション映画『Sunburnt Unicorn』。監督を務めるのは長編初監督のニック・ジョンソン氏。絵コンテやキャラクターデザインなどにイラストレーターのウエハラ ショウさんが参加しています。
Mariposas negras
気候変動を描いたドキュメンタリー映画『Climate Exodus』をベースに地球温暖化によって住処を追われることになった貧困地域の人々に焦点をあてたアニメーション映画。制作には『AINBO: Spirit of the Amazon』で知られるパナマのトゥンチェ・フィルムズも名を連ね、スペインとパナマが制作国として並びます。
以上、11作品!
長編コンペティションよりも癖の強めな作品が集まりがちな部門となっていますが、今年も出自から特徴的な作品が出揃いました。これらの作品の中で、「ゲゲゲの鬼太郎」というIPが前提の『ゲ謎』がどう戦っていくのか注目です。
アヌシーの開催は2024年6月9日〜15日。まもなくです。
今年も引き続きアヌシーの情報を追って参りますので、よろしくお願いします。
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