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【映画レビュー】求めていた方向じゃないリメイクに私は残念......『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の感想
初日に足を運んで参りました。
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』のざっくりとした感想
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を観てきました。
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機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
製作年:2022年 / 製作国:日本
サンライズ製作
監督:安彦良和
TVアニメ『機動戦士ガンダム』(1979)で放送された第15話「ククルス・ドアンの島」をまさかのリメイク。「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザイナー・アニメーションディレクターを務め、『クラッシャージョウ』、『アリオン』、『ヴィナス戦記』の安彦良和氏が監督を務めます。特別興行作品なので1,900円均一。基本割引が効かないのでご注意を。
観てきた感想をざっくり一言で言うと……
ちょっと求めていた感じとは違う……
と言う悩ましい一本。
もともとの話を画的にも話的にもリッチに肉付けした豪華版なのは確かなのですが、個人的には元の良さをさらにエモーショナルにする方向を期待していたので、今作の足し方はちょっと求めていたのとは違ったり。
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あと微ギャグが結構苦手な按配でした。
ざっくりではなくより詳しい感想を書いていきます。
『ククルス・ドアンの島』とはなんだったのか?
私、ネジムラ89は『機動戦士ガンダム』は視聴済み。
上映前に改めて、元のTV放送時の内容をおさらいしようと15話あたりまで見返して観ましたが、『機動戦士ガンダム』という作品が、まだ子供であるはずのアムロが戦争に巻き込まれていく理不尽さと、それでも生きていくには人を殺めていく他ない現実の厳しさを、陰鬱になりすぎない絶妙なバランスで見せる見事な作品だと再認識しました。
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そんな中でこの第15話「ククルス・ドアンの島」は、敵であるはずのジオン軍側にも自らの行いを恥じる軍人も存在する……その贖罪として子供たちの親代わりとなる人物の姿……さらにはその人物が戦火から逃れるにはその武器を手放させるしかない。戦争放棄・戦力の不保持を描いた日本という立場を考えるとより、その意味を考えさせられる深みのあるエピソードでした。
一方で世間的には予算不足による“作画崩壊”回という認識も強い回であり、そればかりが取り上げられるのはもったいない状況にありました。
あえて、“作画崩壊”というノイズの部分を解消することで、再評価の機会も生まれてくるのかな?と思うと、『ククルス・ドアンの島』を長編作品化する意味は大いにあると思っていました。
『ククルス・ドアンの島』の長編化という企画に対する意味は大いに感じる。
長編化の仕方は求めてたものとは違う?
じゃあ、期待していたものが出てくるのかといえば、そうではないという例がこの今回の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの城』だった、というのが個人的な感想です。
せっかく長編化できるのだから、前述のような物語のテーマを掘り下げるようなボリュームアップを期待していたのですが、今回の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの城』では、戦闘シーンのボリュームアップやドアンが面倒を見ている子供の暮らしのディテール、アムロと一般の子供たちの対比などが加わる形でのリメイクとなっていました。作品の解像度を上げるというよりも、肉付けをするというアプローチでの長編化だったのは、期待をしていた分、残念でした。
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じゃあその肉付けが良くできていないか、といえばそうじゃないのがまたきまりが悪い。セルルック3DCGでの戦闘は十分にリッチ。今作で初登場となるキャラクターやモビルスーツの戦闘も追加。本来登場しないシャアを始めとしたファンサービスも充実。
こういった部分を踏まえるとかなり手厚いです。
これだけ手厚い接待を受けていながら、文句を言うのは申し訳ないなぁと思いつつも、この話の肝であるはずの映画の最後に主人公のアムロが取る行動について、元の15話を見たときとそれほど変わらない感触しかなかったのがこれだけ手厚い接待があった分余計に惜しい!
リメイクの方向の“not for me”ぶりが際立つ長編でした。
サービスが手厚いことには間違いないものの、肝心の場面の感触はリメイク前とそれほど変わらない
ギャグシーンのテンポの悪さ
そして、この“not for me”ぶりを余計に感じさせる演出が、コミカルな演出もといギャグシーン。
参謀の要請を猿芝居でかわそうとするブライトの素ぶりだとか、セイラに操縦を頼むスレッガーだとか、きわめつけは逃げ出したヤギの捕獲シーンだとか。テンポなのか、ノリなのか、それまでのテイストからの逸脱なのか……監督の采配の結果なのか、どうにも古い。悪い意味でコミカルなシーンが浮いていて、マイナスな印象しか与えられませんでした。
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そもそも、元々の『機動戦士ガンダム』ってこういう外し方はしていなかったはず。なんでこういうことをしてしまうのかなぁ、と頭が痛い瞬間でした。安彦良和さんの想像するガンダム観って「これ」なんだ、と思うとちょっと衝撃ですよ。
コミカルなシーンは基本的に悪い。
まとめ
●『ククルス・ドアンの島』のリメイク自体は楽しみにしていた。
●楽しみにしていた分、期待していたようなテーマ性の掘り下げが見られなくて残念!
●ギャグやめて。
といった感じで、期待していたものではない作品が出てきてしまった『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』でした。
直近で『銀河英雄伝』を観て楽しんでいたことを思うと、思っていたよりもロボットがドンパチやってる姿って好みじゃないのかもしれないです。
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