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【映画レビュー】優雅で美しく牧歌的でいて難解映画!『レッドタートルある島の物語』の感想
※この記事は2016年にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開しております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12206741184.html
『レッドタートルある島の物語』のざっくりとした感想
『レッドタートルある島の物語』を観てきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1676118220750-wg5pmqsXfi.jpg)
レッドタートルある島の物語
制作年:2016年 / 制作国:フランス・日本
監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ビット
「岸辺のふたり」のマイケルデュドゥクドゥビット監督の長編アニメ映画。
公開館数120館で初動3300万という爆死作品ともされる本作は、ジブリのお墨付きもいただきながらにしては、ちょっと寂しい結果ですが、通常のジブリの形態ではないからこその結果とも言えるかもしれません。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
なんぞこれ。
でも綺麗。
という難解映画をぶつけられたような一作でした。
もっと踏み込んだ感想を書いていきますね。
『レッドタートルある島の物語』のもっと踏み込んだ感想
■これは確かに人が入らないわ!クセの強い一品
事前情報で本作は台詞がないと聞いていましたが、
本当に80分の作品中、言葉という言葉は一切登場なし!
悔しがったり、助けを呼んでたりのうなり声はあげたりしていますが、全くしゃべりません。
![](https://assets.st-note.com/img/1676121480051-1iqmF3qBMM.jpg?width=1200)
さらに輪をかけて驚くのがそのストーリーの奇っ怪さ。
予告編などの前情報で、男が無人島で遭難する話なのはわかっていましたが、タイトルにもあるレッドタートルの出現からのある“珍事”が発生する展開には仰天。度肝を抜かれました。
しかもこれが序盤。
そんな驚きの展開がありながらも、台詞はないから「どうしてなんだ?」とか主人公が独白したりするシーンはなし!そのまま何事もなかったかのように牧歌的なシーンに続いていきます。
その奇っ怪な展開で説明もないからこそ、謎を残したままの味わいの映画となっておりました。
さらに終盤、その牧歌的な流れをさらに一転させる展開が待ち構えていて、さらにはラスト、見ている人の多くが
「えっ!?めでたしめでたしっぽく終わってるけどどういうことなの?」
って結末に再び度肝を抜かれます。
とどのつまり、見終わった後の感想が「は?」という疑問符がついてしまう難解映画でした。映像こそ優雅で綺麗だけど、これは人に薦めづらいよ!
セリフもないのに、変な話だからとっつきづらい。
■なんだかんだでジブリ印らしい一作
ただ、その謎っぷりがなんだかジブリらしいとも思えるのも確か。
公開前はこれはジブリの名を冠した非ジブリ作品と思っていましたが、蓋を開けてみれば、思った以上にジブリらしいひねくれた映画でした。
ここでワタシが言うジブリらしいというのは
「映画全体ではすごく綺麗な物語っぽく着地しているけど
その実は、負の一面も内蔵した単純でない感じ」のこと。
『レッドタートル』も、なんか綺麗な映像で終わっていたけど、人間の醜い一面もみせていたり、自然の前での無力さもあったり、決して内まで綺麗な作品とは言い難い作品でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1676121579758-3NVWEedAq5.jpg?width=1200)
……で、こういった一面が、あとに残る不可解な印象を増幅させているように思います。解釈の部分を思いっきり鑑賞者に委ねてしまう感じは、存外ジブリらしかったです。
また、全然関係ない脇役が可愛いのもジブリっぽい。
「造形的に決してマスコットキャラクターとは言い難いビジュアルのもの」でも可愛くみせてくれるジブリイズムみたいのが本作にもしっかり継承されていて、作品の合間合間に登場するカニがすっごく可愛いかったです。
カニさん、海外版ポスターにはしっかり写ってましたよ。
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本編と全然関係ないのに、なくてはならないこの映画のスパイスのような存在でした。これから見る人には、彼らにも注目です。
そんなとこからも、本作はジブリファン必見の一作なのかも・・・とも思いました。ジブリファンでまだ見てない皆様、見ておきましょう!
ジブリ映画っぽい一筋縄ではいかない物語と脇役の活躍がGOOD!
■個人的な解釈をするならば……
で、ワタシもよくわかんなかったなりに考えたこの映画のこと。
この映画を語るなら添えたほうがいいと思うので添えときます。
中身には具体的には触れないですが一応ネタバレ注意で。
結局どういう映画だったのかというと
レキシの名曲「狩りから稲作へ」的な映画だったのかなぁ…..と思う次第。
無謀にも外界へ旅立とうとする男。
そしてそれを呼び止める女。
男は冒険を諦め、根を下ろし、家族を養う道を歩む。
そして生まれた子供。
死の予感を経た経験もあり親たちは
可能性を秘めた若い子は外界へと旅たさせる。
そして、その子は再びかつてのあの男へ・・・
そういった普遍的で、輪廻的な人間の営みを示すような一作だったのかなぁ……とぼんやり思っております。他の方の感想も読んでみたいのですが何分、見ている人も少ないからあんまりないのですよね。ワタシの解釈への感想もお待ちしております。
人それぞれがいろんな解釈ができそうな映画でした。
まとめ
●セリフもなくて人に気軽に勧めにくい映画
●ただ作品の中にメッセージ性やキャラクターの魅力はしっかり含まれてる
●物語の解釈の余地に語りがいがある
そんな感じで大規模上映されることの方が珍事だったのかもしれない珍作映画でした。
爆死扱いがもったいない、一見の価値ありの映画ですので、まだ身近で公開されている方は是非急いで見に行って、壮大かつ難解なこの映画を楽しんできて下さい。
(※2023年現在、配信などはなし。ディスクリリースされてますので、そちらをチェック)
![](https://assets.st-note.com/img/1676121620124-mQ3Rux8kv9.jpg?width=1200)
「クソつまんねーじゃねーかよ!」って言われても、知らない。
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