【映画レビュー】中国ノワールアニメーション新時代『Have a Nice Day』の感想
U-NEXTの見放題枠に突如として追加されていたので、レビューを再掲しておきますね。
『HAVE A NICE DAY』のざっくりとした感想
2017年の新千歳空港国際アニメーション映画祭で『HAVE A NICE DAY』を見てきました。
「PIERCING I」に続くリュウ・ジアン監督最新作。
中国の長編アニメーションとしては初めてベルリン映画祭にノミネートされたり、アニー賞では政府ストップがかかって参加できなかったといういわくつきの映画。まぁ、でも年明けに普通に上映されるので、政府の審査を経てなかったという一点でのストップという感じで正解かもしれないですね。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
めっちゃおもしろかったです!
これは確かに見ものでしたわ。
もう少し詳しい感想を書いていきます。
『HAVE A NICE DAY』のもっと踏み込んだ感想
■「PIERCING I」を正攻法アップデート!
先日「PIERCING I」を中国ノワールと称して紹介しましたが、まさに本作もそんな中国ノワール的な一品。一人の青年が大金を盗んだことをきっかけに、周囲のいろんな人々が翻弄され、お金がいろんなところに行き来したり、それを狙って動くものがいたり……周り回って最終的にタイトルの意味が分かるという非常に綺麗な一作でした。
お金に人々が翻弄される感じは「PIERCING I」にも似ていましたが、もう少しデティールも深まっており、キャラクターの造形も前作よりもさらに個性的でした。ちょうど本作と「PIERCING I」を連日で観ただけにしっかりとパワーアップが感じられました。
■アニメーションとしても上の域に!
そしてアニメーション自体も前作よりもレベルアップ!
前作こそ本当に小規模で作っていたので、動きがおかしいところが多々あったのですが、今回はそこまで異様なところはなく、安心して見られる域のアニメーションとなっていました。
「PIERCING I」で異様な速度の攻撃でダウンさせられるシーンがありましたが、今作では車のシーンで同様の効果がありまして、その突拍子のなさとシュールさと衝撃が良い按配でハマってまして、ネガティブなはずだった効果が狙ったのか狙ってないのかポジティブな形で生かされておりました。
やたら車の側面が映る映画だった気もします。(↓)
イベントでのリュウ・ジアン監督のコメント!
そしてイベントならではだったのが、リュウ・ジアン監督の登壇!
本作は主役がお金であることや、印象的だった定点カメラ的な映像は詩的・ロマン的・哀愁的な効果を持たせるためであることや、アニメには伝統的な要素だけじゃなく挑戦性を持たせたいという自身の姿勢なども語られていました。
本作の途中で、波のシーンが意味深に挟まれているのですが、会場からの質問でどういう意味だったのかと聞かれていましたが、特に解釈は入れていないそうですが“主人公の生死”だったり“運命の波”というワードが出てきたので、完全に意味がないシーンというわけではないようです。
ちなみに私が個人的に好きなのがハンマー持った発明家のおっさん(↓)
このハンマーに笑いました。
日本でこそ知名度の低い作品でしたが、勧めやすく普通に楽しめる人が多そうな映画だと思うので、U-NEXTに登録している人はぜひこの機会に観てみてくださいませ。
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リュウ・ジアン監督最新作は『Art College 1994』(↓)
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