【映画レビュー】凄まじく良すぎる音楽をまさかのアニメーションが足を引っ張る!『BLUE GIANT』の感想
レビュー投稿が遅れがちなので、出来るだけ早く更新できるよう頑張ります。
『BLUE GIANT』のざっくりとした感想
『BLUE GIANT』を観てきました。
2013年からビッグコミックにて連載の、石塚真一先生の同名ジャズ漫画をアニメ映画化。ジャズに魅了された高校生・宮本が周囲のミュージシャンたちに感化され、活動していく様子を描いた作品。
監督を『名探偵コナンゼロの執行人』の立川譲監督、アニメーション制作を『幼女戦記』のNUT、そして音楽にはピアニストの上原ひろみさんが参加し、劇中曲の演奏も担当してくれるという、かなり力の入ってそうな作品です。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
音楽“は”最高!
作中の観客と一緒に思わず私も拍手を送りたくなるほど、“魅了する音楽”の説得力がハンパない映画。
もはや音楽がアニメーションを食ってるほどでした。
ざっくりではなく、ネタバレありでもっと内容に踏み込んだ感想を書いていきます。
『BLUE GIANT』のもっと踏み込んだ感想
■音楽がすこぶる良い!これは傑作!
本作のテーマは“ジャズ”ということで、音楽もののアニメーション映画。
主人公の大をはじめとしたまだ10代の若者たちが、日本でも最高のジャズクラブ“So Blue”に出演することを目標に、演奏活動をしていくというそれ自体はシンプルな物語。
この主人公の大という男が実力者であり、4歳からピアノを続ける沢辺くんがわずか経験3年でそこまで腕を上げたのか、と驚愕するほどの演奏をするわけでして、そんな大くんのすごい演奏が、周囲の人物に知られていきクライマックスへ向かっていくわけです。
そんな内容なので、やはり重要となるのは
その“すごい演奏”をいかに再現するのか。
原作のような漫画だったら省略することができますが、本作は映画なわけで、実際にそのすごい演奏を聞かせる必要があるわけです。
(過去に『BECK』が演奏シーンだけ音なしという悪手で逃げてましたが)
そんな結構高めなハードルが設けられてしまうこの映画なのですが……
さすが、本作は音楽が凄まじく良い!
映画の能力値パラメーターがあるとしたら、この“音楽”の数値がぶっちぎりで高いのではないか、というぐらい音楽に惹きこまれる体験でした。
私は普段ジャズをよく聞かないので、そのイロハがわからないからこそなのかもしれないのですが、知らない側からすると「あっジャズってすごいんだ!」という発見の感動がある体験が待っていました。
本作の音楽を務めるのは上原ひろみさん。音楽に疎い私も存在を知っているほどの世界的ピアニストなわけですが「さすが!」というお仕事でしたね。
演奏している姿しか見たことなかったので、普通のコメント動画で喋ってる姿を見ると「あれっ、私の知ってる上原ひろみさんとは別の人?」と心配になっちゃったよ。
そしてあの大くんのサックスの演奏は、世界中のプレイヤーからオーディションを経て、馬場智章さんという方が選ばれたとのこと。
本作を制作するのであれば、音楽に力を入れないといけない、というのをしっかり意識している企画なのがよくわかる、素晴らしい音楽でしたよ。
■まさかのアニメーションが足を引っ張る事態に!?
これだけ音楽がぶっちぎりレベルのパワーで良いものを持ってきてくれたのであれば「傑作」だろ、と言いたいところですが、ちょっと待って。
この映画、美術や日常の手書きアニメーションは問題ないのに、演奏になった途端に急に3DCGが挟まるようになるんですが、この出来が凄まじく悪い!
音楽がめちゃくちゃ良いだけに、このやたら悪い画が余計にノイズ。
チラチラと作画になったり3DCGになったりを繰り返すので、良い画と悪い画が交互に見せつけられる体験が、まるでうっとおしいハエにまとわりつかれているよう。もっと落ち着いてこの音楽を聞いていたいのですよ、こっちは。
もはや目をつぶって“聴きたくなる”ので、そうなってくると、マジでサントラ聞けばいいだけになってくるので、映画としては最低ですよ。
手描きの演出とかすごく良い瞬間もあるだけに、本当にこの3DCGが著しくこの作品の質を落としていますよ。
もちろん頑張ってこの3DCG作ってくれたんだと思うし、この映画を届けてくれたことに頭は上がらないのですが、それでもあの3DCGはやっぱり酷かったことは正直に言うよ。まじ最低。
■原作を読んで驚かされる発見!まさかそこがオリジナルとは!
(※映画のクライマックスの内容に踏み込んだネタバレあり)
そして、原作未読だったので、鑑賞後に無印10巻分を一気に読了。
映画で描かれてない部分でこんな物語があったのか、という驚きや、実は原作から大きく改変された場面があったなどの発見があり、アニメ映画版とはまた違う魅力がありました。
というか漫画は音が出ない分、ドラマと表現が肝になりますわな。
漫画から観た人は、確かにどんな演奏なのかは、映像で見たくなりますね。
一番驚いたのは、最後に沢辺くんがアンコールで駆けつけるシーン。
“あれ”は実は原作にはなく、映画だけの映画のサプライズだったのか!というのは衝撃的でした。熱心な原作ファンは改悪にも見えてしまうところかもしれないですね。
ただ、あんな大事故から二日で病院から抜け出してピアノ弾くなんて、あり得ないだろ……と思うと、そもそもあのアンコールシーンは大や沢辺が思い描いた幻だったんじゃないかと私は思っていまして、『ラ・ラ・ランド』のラストのような一瞬の「もしも」の世界だったんじゃないかと妄想してしまいました。
そう思うと、本当に優しくて救いのある、気持ちの良い映画のラストだと思いますよほんと。私はこの改変には賛成です。
今作の脚本を務めているのは、原作の連載開始時からの担当編集者で、続編シリーズ以降はストーリーディレクターを務めているNUMBER8さんが担当しているそう。その功績も大きいのか、うまいこと劇場版1本に編集されていると思います。
まとめ
というわけで、
CGにこそ文句は言っていますが、かーなーりー大満足!
あと、今回『BLUEGIANT』で初めて大阪・TOHOなんばの轟音シアターを体験してみました。比較してないので環境補正がどれだけかかってるのかは分からないけど“音楽が”良かったと思えたのだから、体験のタイミングとしては良かったのかも。
いくらするんだろうってぐらいゴツいスピーカーがイカしてますよ。
設置映画館は全国でも限られていますので、お近くにある方はぜひに。
公式サイト
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