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【映画レビュー】今年ベスト級の一本だった!?アニメ映画『農民』の感想
京都ヒストリカ国際映画祭で観てきました。
『農民』のざっくりとした感想
『農民』を観てきました。
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農民
(原題:CHLOPI)
制作年:2023年 / 制作国:ポーランド・セルビア・リトアニア
監督:DK・ウェルチマン、ヒュー・ウェルチマン
『ゴッホ・最後の手紙』のDK・ウェルチマン監督とヒュー・ウェルチマン監督のコンビの新作が久しぶりに登場。ポーランドの作家であるヴワディスワフ・レイモント先生の『農民』を原作に、今回も全編絵画調で描かれた一本となっています。
現時点では日本ではポーランド映画祭や京都ヒストリカ国際映画祭などのイベントでの上映限定となっています。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
ちょー良かった!
重厚で陰鬱な内容を、ビジュアルと音楽で、時に高揚感を、時に残酷さを増幅させて魅せる魔術的体験。「まるで実写のよう」なことに美術への感動と「絵が動いてる」ことにアニメーションという手法への感動を再認識しました。
もっと本編の内容に踏み込んだ詳しい感想を書いていきます。
『農民』のもっと踏み込んだ感想
■この手法が「私、大好きなんだ」と思い知る体験
この監督コンビと言えば油絵をアニメーション化する手法がお馴染みですが、今作でもその技術は健在!
むしろ、前作のゴッホ調からより写実的なビジュアルになったおかげで実写なのか絵なのか同時に認識させられるようで脳がバグってしまうような体験をしました。
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私がアニメーションを好きな一番の理由はやはり絵が動いていることの不思議さが根源的にあると思っていまして、今作はそんな私の感覚にクリティカルヒットする作風。
終始、目が楽しい映画でした。
たまにAI動画みたいに見えるのは、時代の弊害か、はたまたいくらか導入してたりするのか。エンディングで「実際に描いてます」感出してたので前者だと思いますが。その辺りは気になります。
それにしても「実写の様なのに明らかに絵」という状態が成り立つのは不思議な感じ。『ゴッホ 最期の手紙』もまた観返して比較したくなりました。
「実写の様なのに明らかに絵」なアニメーションの楽しさを抜群に感じさせてくれた。
■音楽でもブチアガる!ダンスシーンは最高!
ビジュアルだけが魅力じゃないのが『農民』の良いところ。
音楽がまためっちゃ良い!
すごくブチ上がります!
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例えば中盤の結婚式で行われるダンスシーンは、音楽の高揚感と登場人物の心情、そして映像のエスカレートしていく様子が見事にかち合って、とんでもないカタルシスを生んでくれてるんですよね。
今年ベスト級に好きなシーンになりました。
そのシーンで流れる「Autumn Dance」だけでもぜひちょっと聞いて欲しいです。
その他の曲もむっちゃ良かったなぁ。
本作、サウンドトラックも最高でした。
ビジュアルに加えてそこに重なる曲がまた見事!
■話がまた面白い!多面的な人間を描いた名作!
そしてなんと言ってもストーリーがちゃんとまた面白い!
19世紀のポーランドの時間的にも、距離的にも遠い世界のお話ではあるんですが、父と息子が村の娘を取り合ったり、かと思えばその娘をみんなで目の敵にしたりと、自分の住む世界とのあまりの違いに衝撃を受けました。
一方で、「そういうとこ、人間ってあるよね」という展開が多いのもまた良い。
「この人、かわいそう!」
と思ってたら
「いや、クズか!」
って気持ちにさせられ、そっから
「お前良いとこあるやんけ」
みたいな移り変わりを、各キャラが順番こに投げつけてくるのが楽しい。
良いやつも悪いやつも時と場合が生み出す……そんなことを思う重厚なストーリーでした。
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だからこそ、ラストの“あの”顛末と“最後の表情”には妙なカタルシスがありました。
こうなってくると原作からすでにめっちゃ面白いのでしょう……と読んでみたくなったのですが本作の原作は、翻訳されたものが戦前に出たっきりで読むのが困難な状態らしいです。
興行とか実施されて、再刊行とかされて欲しいなぁ。
当時の時代の様子が新鮮でありつつ、人間模様に共感させられる瞬間もある。
まとめ
●絵が動いて見えることの楽しさが格別。
●そんな絵に重なる音楽の組み合わせが絶妙。
●ストーリーにも魅せられる体験だった!
というわけで、すっっっっごく良かった今年ベスト級の映画でした。
これはぜひ一般興行やって欲しいし、もう一度……いやもう二度……なんなら三度ぐらい映画館の大スクリーンで観たい映画でした。
どこか配給してくれえええ!
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