【映画レビュー】『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の感想!この令和に、不謹慎一家は家族愛をどう描く!?
実は試写で先行して見せてもらっていた一本。
ただ、正直に感想は書いて参ります。
『アダムス・ファミリー2アメリカ横断旅行!』のざっくりとした感想
『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』を観てきました。
ブラックユーモア作品として長い歴史を持つ『アダムス・ファミリー』の3DCGアニメシリーズの劇場版第2弾。海外では2021年後半に公開された本作が早くも日本上陸です。本作では娘のウェンズデーにフィーチャーし、実はウェンズデーがアダムス家ではないかもしれない……といったお話を前作同様無茶苦茶なテンションで繰り広げます。ちなみに杏さんや二階堂ふみさんといった豪華日本語吹き替え声優陣も続投です。
アニギャラ☆REWさんではそんなウェンズデー推しな時勢について、紹介しているので、こちらもチェックしてくれると嬉しいです。
さて、そんな『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』を観てきた感想をざっくり一言で言えば……
すごい綱渡り映画でまず感動!!
という妙な部分に驚かされた映画でした。
終始、『アダムス・ファミリー』でこの内容やるの!?という驚きのあらすじに本ブランドの底力……いや製作陣の底力を思い知りました。
以下、ざっくりではなく具体的にそのあたらいの驚きのポイントの話を書いていきます。
そもそもすごかった前作の『アダムス・ファミリー』
まず大前提として、この3DCGアニメ版『アダムス・ファミリー』って本当にすごいと私は思っているんですね。
もととなっているコミックは、聖歌隊に煮え汁をぶっかけようとするようなど不謹慎一家であるはずの「アダムス・ファミリー」を、コンプラ・モラルなど表現への監視の目が強いこの時代に復活なんてさせていいのか!?と思っていたのですが……
そんな「アダムス・ファミリー」の不気味なルックや独特の思想は残しながら、実は周囲との共存を望んでいるマイノリティ側として描くことで、一見テーマとしては遥か遠そうな「アダムス・ファミリー」で隣人愛を描いてしまうという驚異の映画だったのです。
ギャグセンスなど、しっくり来ないところはあった反面、ハードルの高い作品を見事、現代版としてリブートできた作品として、評価をしておりました。
『アダムス・ファミリー』で家族物!?
そんな、結構きれいな終わり方もできていた『1』を踏まえて、今回『2』で何をやるんだろうと思ったら、“隣人愛”の次はなんと“家族愛”!
実写映画版でも、アダムス一家は家族に対する結束が強かったので、家族愛をテーマにすること自体は不思議ではなかったのですが、まさかウェンズデーが「実は自分が実の子供ではなかったら」なんて想像をすることがトリガーになる話だとは思ってなかっただけにびっくり!
しかも、絶対に居心地が良さそうなはずのあの家族の元を、ウェンズデー自身が離れたいと思う、というまんま一般家庭の女の子の思春期を思わせる展開にびっくり!
『アダムス・ファミリー』でこんな年頃の女の子と家族の成長譚みたいのできちゃうんだ!!!と衝撃を受けましたよ。
しかも本作が見事なのは、正統派なあらすじでありながらも、随所で『アダムス・ファミリー』らしい狂気っぷりはしっかり維持しているのがすごい。普通じゃない家族で、普遍的なお話を描く妙技に恐れ入りました。
『アダムス・ファミリー』でも子供のこの行動は引くんだ……とか常識のラインがよくわからないみたいな戸惑いはありつつも、子供の取り違えアクションだったり、しれっとある登場人物がリタイアしていたりみたいな際どさみたいなところは手堅く感心しました。
この『アダムス・ファミリー』でもまさかのアクションあり!
そして加えてびっくりしたのが、
本作ではしっかりヴィランが設けられていること。
『1』では倒すべき存在は居ないような着地を見せておきながら、『2』ではそこに立ち返ってしまうんだ、という寂しさはありつつも、しっかりヴィランがどうかしているやつで、『アダムス・ファミリー』に敵対するキャラクターとしても、ルックとしても、なんなら盛り上がりとしてもちょうど良い具合の展開を見せてくれる痛快なキャラクターとなっていました。
こういう路線で『アダムス・ファミリー』を使って、変なやつを対立させるような化け物には化け物をぶつける方式の展開なら、『3』『4』、TVシリーズなどの展開なんかも可能じゃないかと思わせられました。
お利口さん加減は寂しさがありつつも、そんな中でも出来る限りの不謹慎ぶりを見せようとしてくれる。そんな『アダムス・ファミリー』を応援したくなる……頑張りましたのハンコを押したくなる素敵映画でしたよ。
一応海外ではそこそこお客さんが入ったようですが、日本ももうちょっと入ってあげてもいいんじゃないかな……と思いつつ、時勢的な難しさも感じます。
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