【映画レビュー】なぜか中国でそこそこヒットしていたアニメ映画『ロビンソン・クルーソー』の感想
『ロビンソン・クルーソー』のざっくりとした感想
中国で2016年の9月ごろに劇場公開されていた『ロビンソン・クルーソー』を観ました。
ベルギー・フランスの合作3DCGアニメ映画。
『サミーとシェリー2』のベン・スタッセンとビンセント・ケステルートコンビが監督を務めます。
てっきり日本未公開作品かと思っていたのですが、2016年8月にディスクリリースは果たしておりました。ローカライズされていたのね。
見てきた感想をざっくり一言で言えば
結構イマイチ
ガッカリ具合が強めな一作でした。
ざっくりではなく踏み込んだ感想……を書いていく前に一個言っておきたいことがあります。
本作が中国でそこそこ集客に成功していた件
本作、中国では2016年10月に『鲁滨逊漂流记』のタイトルで上映していまして、うまい具合に強敵となるライバルが少ない時期に公開されたこともあってか、そこそこ客が入っておりました。
どれぐらい入ったかといえば、なんと約5300万元。
同時期に上映されたドリームワークスアニメーションの『トロールズ』と同じぐらいの興行収入を得ていたのです。
作品の出来を思うとちょっと入り過ぎなんじゃないか・・・ってぐらい入っているんですよ!
『トロールズ』がそこまで当たっていないという前提はあれど、それなりに注目作ではあったドリワの新作と並ぶとは、驚かされるとともに、出来を結果とするとちょっと過大評価すぎではないですかね。
という感じで、愚痴が漏れるような本作の出来について、もっと踏み込んだ感想を書いていきます。
『ロビンソン・クルーソー』のもっと踏み込んだ感想
■キャラデザ、ストーリー、スケールと全てがやたらビミョー!
なぜ過大評価と思ったかと言えば、もちろん全体的に質が低めなせい!
3DCGの質は『サミーとシェリー』ぐらいでそこまで酷いわけじゃないのですが(だからといって高いとは言えない)、根本的にキャラクターデザインが微妙。動物たちのディフォルメ具合が平凡でおもしろくないどころか、可愛くなかったり、ブサイクめだったり、好感度が低い!
そして主役となるロビンソンも頼りあるのか頼りないのかよくわかんない魅力低めのキャラクター造形。なんなんだ。
……なーんて、思いきやそもそもこの映画主役がロビンソンじゃなかったという大事件が映画を終わってみてわかります。ロビンソンはあくまでも準主役。主役はどちらかというと、なんとビックリ、こっちのオウムなのです!
さすがにロビンソンが主役だと思いながら見ていたけど、まさかそんな作りになっているとは。どういうバランスで作ってるんだ、この映画。
ストーリーも、冒頭でクライマックス直前の場面を配して奇をてらってはいるものの、根本的に物語のスケールは小さめ。無人島で助けを求めるロビンソンが根本的に受け身なので、物語の推進力も弱く、かなり退屈でした。
ボコボコに言い過ぎと思われるかもしれませんがこの出来でそこそこ興行収入あげてるんだから、ちょっとこれぐらい辛くあたりたくもなりますよ。
私、『トロールズ』大好きだし。
■3D演出も盛りだくさんだけれども?
『おじいさんと子猫の魔法の家』のベンスタッセン監督も居るということで、本作も過剰なぐらいに3D演出が盛りだくさんとなっているのは見所。せっかくの3D上映なんだから、嬉しいサービスである一方、その演出もいいかげん既視感を感じるものばかりだったのが残念でした。
実質クライマックスとなった猫一家との対決シーンも、盛り上がりはするものの新しい何かを感じることはなく、むしろ“ひと世代昔”のような作品と感じてしまいました。ついに3D演出にもマンネリズムを感じ始めてしまった次第。演出としては『ミニオンズ』のイルミネーションの方が当時からCGも高品質な分、一枚上手に思えてしまうものでした。
■なんでそこが一番盛り上がるんだよ!
で、なんならこの一番盛り上がるポイントが本編としては終盤に来てほしいものなんですが、実際は真ん中のちょい後ろぐらいに配されているのも気になります。この後、海賊とのやり取りなんかもあるんだけど、ここんとこは、猫との対決よりもあんまり盛り上がらなくてイマイチでした。物語の比重も不安定でなんか、最後までモヤモヤしたまんまです。
本作のヴィランの猫一家の小物臭がスケールの小ささに拍車をかけます。
まとめ
そんなわけでビデオスルーとなるのも納得のビミョーな映画で、ガッカリでした。
これが『トロールズ』と並んじゃうってところに中国の映画興行の難しさを感じます。『トロールズ』をもうちょっと早く公開できてたら、違ったのかもなぁ。
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