【映画賞】ひろしまアニメーションシーズン2022コンペティション結果発表!
8月17日〜21日にかけて、広島にて開催されたアニメーションシーズン。
私も週末の20日と21日限定でしたが、足を運んで参りました。
そこで観た作品の話とかは、改めて書いていきますね。
こちらでは、コンペティション部門の結果を紹介。
公式サイトでも紹介されているので、わざわざまとめる必要があるかといえば、そんなでもないけど。映画賞の恒例行事として勝手にやります。
公式サイトはこちらね(↓)。
グランプリ
『Darwin's Notebook』
グランプリにはスイスのジョルジュ・シュヴィッツゲーベル監督による『ダーウィンの手記(Darwin's Notebook)』が受賞です。
環太平洋・アジアコンペティション
最優秀賞『Bone』
『ミッド・サマー』のアリ・アスター監督がプロデュースに名を連ね、『The Wolf House』を生み出したクリストバル・レオンさんとホアキン・コシーニャさんのコンビによる短編が最優秀賞を受賞。
私も好きなので嬉しいです。
フローランス・ミアイユ賞『半島の鳥』
審査員それぞれが一作ずつ選出する賞もあり。
『Crossing』のフローランス・ミアイユ監督は、珍妙なふくよかなキャラクターでおなじみの和田淳監督の『半島の鳥』を選出。意外な好み。
クリス・ロビンソン賞『春分』
『The Animation Pimp』などを執筆したクリス・ロビンソンさんは、中国のシー・チェン監督の短編『春分』を選出。中国作品は中国以外の映画賞に出てくる作品ほど攻めてます。
謝文明賞『Bestia』
『夜車』などを手がけた台湾の謝文明監督は、チリ発の世界的にも高い評価を得ている『獣(Bestia)』を選出。素材の活かし方が面白い短編ですよね。
ワールド・コンペティション カテゴリ賞
ここからはカテゴリ別の部門賞。
寓話の現在:カテゴリ賞『Skinned』
フィクション系作品を対象としたカテゴリ「寓話の現在」のカテゴリ賞にはフェルト素材で制作されたストップモーションアニメーション『皮膜(Skinned)』が受賞。片足が結合しているシャム双生児が主人公で、フワフワした素材で結構黒いことをやるところは『マイリトルゴート』を思いださせられますが、こっちの方がなかなか醜悪な内容になっています。
寓話の現在:アーサー・ビナード賞『Confessions of an English Ant-Eater』
こちらも審査員賞あり。
詩人や翻訳家であるアーサー・ビナードさんは、アレックス・クランビー監督の『とあるイギリス人アリ食い男の告白(Confessions of an English Ant-Eater)』が受賞。マジでアリ食う話です。
寓話の現在:世武裕子賞『In theMountains』
映画音楽の作曲家であり演奏家などを務める世武裕子さんは、ウォーリー・チャン監督による『山の中で(In theMountains)』が受賞。勢いでは随一の作品。
寓話の現在:宮崎しずか賞『PRINCE IN A PASTRY SHOP』
『キドモモドキ』の宮﨑しずか監督は、カタジナ・アゴソウィッチ監督の『洋菓子屋の王子(PRINCE IN A PASTRY SHOP)』が選出。幸せをテーマにしたシュールな作品です。
社会への眼差し:カテゴリ賞『Salvia at Nine』
ドキュメンタリー系および社会性の強い作品のカテゴリでカテゴリ賞を受賞したのは、チャン・ナリ監督の『9歳のサルビア(Salvia at Nine)』。 少女の万引き体験記と見せかけて、実は子供から大人へのセクハラが横行している社会が少しずつ顔をのぞかせる秀逸作。チラッと映った痴漢のおじいちゃんが大胆すぎてドン引きしました。。
社会への眼差し:杉野希妃賞『The House of Loss』
俳優、監督、映画プロデュースと活躍する杉野希妃さんは、『喪失の家(The House of Loss)』を選出。
とにかく絵が上手い!浦沢直樹先生の絵がそのまま動いたかのような映像で、戦火をくぐり抜けた老人たちの老人ホームでの体験を、戦争を知らない若者たちの視点で追う物語です。“その顔”に目頭が熱くなる個人的顔芸賞。
社会への眼差し:藤岡朝子賞『All Those Sensations in My Belly』
ドキュメンタリー映画祭のコーディネーターなどを務める藤岡朝子さんが選出したのは、マルコ・ジェシカ監督の『おなかに感じるあの感覚(All Those Sensations in My Belly)』。性同一性障害の主人公が成長する過程で体験する物語を描きます。
社会への眼差し:矢野ほなみ賞『Mom, What's up with the Dog?』
『骨噛み』の矢野ほなみ監督は、ローラ・ルフェーヴル監督の『ママ、犬はどうしたの?(Mom, what’s up with the dog?)』を選出。性的なものに興味を持った少女と、それから遠ざけようとする親、そして矯正前の犬が起こすとある事件を描いた話。話の着地の爽快感は他コンペ作の中でも随一でした。
物語の冒険:カテゴリ賞『Darwin's Notebook』
グランプリに続いて、スイスのジョルジュ・シュヴィッツゲーベル監督による『ダーウィンの手記(Darwin's Notebook)』が受賞です。2賞目。
物語の冒険:田中泯賞『The Blind Writer』
「名付けようのない踊り」でもドキュメンタリーの題材となった田中泯さんんが選出したのは『目の見えない作家(The Blind Writer)』。目隠しなどをして擬似的に盲目状態でドローイングした絵でアニメーションを描いた作品です。
物語の冒険:ニヘイサリナ賞『ミニミニポッケの大きな家で』
『Small People with Hats』のニヘイサリナ監督が選出したのは、幸洋子監督の『ミニミニポッケの大きな家で』。子供の落書きのようなタッチのイラストで紡がれる短編アニメーションです。
物語の冒険:原田裕規賞『My Father's Damn Camera』
アーティストの原田裕規さんが選出したのは、ミロス・トミック監督の『ボクのパパの憎っくきカメラ(My Father's Damn Camera)』。コラージュとストップモーションアニメーションを駆使して、父と子供の物語を描きます。
光の詩:カテゴリ賞『Archipel』
詩的なアニメーション作品を対象とするカテゴリである「光の詩」では、このカテゴリ唯一の長編である、フェリックス・デュフール=ラペリエール監督の最新作『群島(Archipel)』が選出されました。前作よりも手を替え品を替えと手法のバリエーションによって、癖の強い内容をしっかり見せつける長編となっていました。
光の詩:馬定延賞『Intermission』
『日本メディアアート史』などを手がけた馬定延さんは、レカ・ブシ監督の『インターミッション(Intermission)』を選出。ホチキスの芯みたいなアイテムを連続させて、アニメーションを描いた作品です。
光の詩:真鍋大度『Clockwise』
アーティストでプログラマ、そしてDJでもある真鍋大度さんは、トニ・ミジャニット監督の『時計回り(Clockwise)』を選出。個人的にこの部門で一番の掘り出し物。プログラムで音楽に合わせて幾何学模様が形成されていくだけなんだけど、圧倒的に美しくて気持ちいいです。
光の詩:山村浩二『Zoon』
今回のイベントでディレクターを務める山村浩二監督は、ヨナタン・シュヴェンク監督の『群体(Zoon)』を選出。ウーパールーパーを食べてハイになる話。“ポップ”という強度の高さがすごい作品です。
こどもたちのために:カテゴリ賞『A Town Called Panic:The Summer Holidays』
こどもたちに観て欲しい作品を対象としたカテゴリでは、ストップモーションアニメーションシリーズの『Panique au Village』の新作『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ サマー・ホリデー(A Town Called Panic:The Summer Holidays)』が選出!私は上映を観れていないのですが会場は大ウケだったそうです。
こどもたちのために:しりあがり寿賞『Spinning』
漫画家のしりあがり寿先生が選出したのは、楊子新監督の『スピニング(Spinning)』。おばあちゃんから旅行の提案を受けたハオハオが、祖父母とともに旅に出る軽快なアニメーションです。
こどもたちのために:広松由希子賞『Miranda!-El arte de enamorarte』
絵本の翻訳や評論、展示企画などを手がける広松由希子さんが選出したのは、ダンテ・ザバラ監督の『ミランダ!恋に落ちる方法(Miranda!-El arte de enamorarte)』。こちらはMV作品です。
こどもたちのために:宮嶋龍太郎賞『Dans la Nature』
墨絵によるアニメーション作品などを手がける宮嶋龍太郎監督が選出したのは、マルセル・バレリ監督による『Dans la Nature(自然なお話)』。動物界でも同性愛はあるんだよーってお話です。
長編審査員賞
『When you get to the Forest』
長編作品が対象となる長編審査員賞は、寓話の現在のカテゴリの選出ながら、カテゴリでは受賞できなかった『森での出来事(When you get to the Forest)』が受賞しました。改めて感想を書きますが、ある女性が山で遭難するという内容のペーパーストップモーション作品です。
手法的に軽く観えそうでしたが、こんなしっかり重厚な物語が描けるとは、とびっくりしました。
ひろしまチョイス賞
『A Town Called Panic:The Summer Holidays』
コンペティションの短編作品を対象に広島を拠点に活動する文化芸術関係者によって審査されるひろしまチョイス賞には、「こどもたちのためにカテゴリ」の、カテゴリ賞を受賞した『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ サマー・ホリデー(A Town Called Panic:The Summer Holidays)』が選出!
2賞目!
HAC賞
『A Town Called Panic:The Summer Holidays』
広島のアニメーション文化を支えるNPO法人広島アニメーションシティがコンペティション全作品を対象に審査したHAC賞には、またもや『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ サマー・ホリデー(A Town Called Panic:The Summer Holidays)』が選出!強い!
3賞目!
観客賞
環太平洋・アジアコンペティション:『半島の鳥』
審査員賞に続いて2賞目!
寓話の現在:『Skinned』
こちらもカテゴリ賞に続いて2賞目!
社会への眼差し:『Precious』
こちらは、観客賞で初の受賞。
ポール・マス監督の短編『大切なもの(Precious)』が選出されました。
学校に馴染めないジュリーと、自閉症の子供エミール、そしてその周囲の人間の物語。あるシーンの沈黙からの落涙、そしてあの返答......短編でここまでボロ泣きさせられるとは。今回の訪問の中でも特に掘り出し物でした。
物語の冒険:『Darwin's Notebook』
グランプリ、カテゴリ賞に続いて3賞目!
光の詩:『Zoon』
審査員賞に続いて2賞目。
こどもたちのために:『A Town Called Panic:The Summer Holidays』
鬼の4賞目!
強すぎる!
というわけで、
最多受賞は『A Town Called Panic:The Summer Holidays』の4賞でした。
グランプリではなかったものの、まさかここまで総ナメになる作品だとは思わなかったので、びっくりでした。
そんな『A Town Called Panic:The Summer Holidays』ですが、私は会場で見逃した案件でして、結構受賞作品は見逃してるんですよね。やっぱり2日間だけの参加じゃ網羅できないのも学びでした。
ぜひ、2年後は前日参加したいと思います。
これからレビューも追って書いていきますね。
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