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【映画レビュー】もしかして問題作?『PUI PUI モルカーザ・ムービーMOLMAX』の感想
12月1日の“映画の日”にほぼ満員のスクリーンで観てきました。
『PUI PUI モルカーザ・ムービーMOLMAX』のざっくりとした感想
『PUI PUI モルカーザ・ムービーMOLMAX』を観てきました。
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PUI PUI モルカーザ・ムービーMOLMAX
制作年:2024年 / 制作国:日本
69分 / モンスターズエッグ制作
監督:まんきゅう
ブームとなったストップモーションアニメ『PUI PUI モルカー』を、『映画 すみっコぐらしとびだす絵本とひみつのコ』のまんきゅう監督が3DCGアニメーションで映画化。
今作では24時間働けるAIモルカーが登場し、ドライバーたちがそちらへ移行してしまうというお話。脚本を『好きでも嫌いなあまのじゃく』や『トラペジウム』など最近大活躍中の柿原優子氏が担当します。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
アニメーションとしては申し分ないけど……
描いている内容がなかなかの問題作では?
といった感じ。
よくよく考えるとブラックなテイストも盛り込まれてるのはお馴染みなシリーズだけども、この映画で起きてることはかなり凶悪かつ残虐な気がするんですよね。
悪気のあるなしで「めでたしめでたし」にできないだろ……なんてことを真面目に思いましたよ。
ネタバレを含むもっと詳しい感想を書いていきます。
『PUI PUI モルカーザ・ムービーMOLMAX』のもっと踏み込んだ感想
■起きてる事件が残酷すぎるだろ!動物虐待すぎてドン引き
この映画、自由意志のあるモルカーはたまに言うこと聞かないし、モルカー自身にも負担がかかるからAIモルカーという自動運転システムを導入します──という「対AI映画」的なストーリーです。
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と思いきや、だよ。
なんとびっくり、映画の終盤でこのAIモルカーは、モルカーを騙して捕まえて、AI風のボディを取り付けて自由を効かなくさせて、強制的にタブレット食させているだけだったことが判明。
AIでもなんでもないただの動物虐待で衝撃だよ。
モルカーがのん気そうだし、そこまで苦しそうにしてないから負担は少ないのかもしれないけど、作中ではキーキャラクターとなるAIモルカー・カノンが大事なカプセルを食べてしまったせいで、排泄させるために大量に芋を食わされるんだけど、そこでは明らかに水漏れと水たまりが描写されてんですよね。
カノンめっちゃ泣いてるじゃねーか!
もう、「人間は愚か」とか言ってる場合じゃねーぐらいに、作中に登場するメニメニアイズカンパニーの人たちが許せなかったですよ。
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挙句の果てにはこの映画では、終盤で「CEOは悪気はなかった」みたいな見せ方をしてきてハッピーエンドに向かわせるんですけど、ここまでのことをやっておいて「悪気はないからお咎めなし」は違わないか?
ちょっと、私には受け入れ難いよ。
カノンが残した水たまりをなかったことにするな!
事態が残酷すぎてハッピーエンドな顛末が受け入れがたい。
■AI物としての面白さはゼロじゃない?
じゃあAI物の映画じゃないかと言われれば意外とそうでもなくて、クライマックスではちゃんと“AI”が登場して、しっかり“暴走”して、しっかり“人類を破滅”に導いてくれます。行き先が天国というマザーシップ感が面白い。
う〜ん、これぞAI映画。
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ここまではAI映画あるあるですが、そこからの顛末はさらに面白かった。
暴走したAIは、カノンの思いや人間との絆を学習することで、暴走が止まるという顛末なのですが、ただ止まるだけでなく「AIが自害する」という決断をするんですよね。
AIが自ら命を絶つなんてことあるのか!とびっくりしました。
余談ですが、このラスボスのモチーフがモルモットとも全く関係なく、クリオネだったところも地味にビックリ。そろそろ“豹変”のモチーフとしてのクリオネは食傷気味に感じてきました。
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↑『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』に出てきた豹変枠。
AI描写での興味深い点はあり。
■アニメーション部分は概ね問題なし?
ストーリーのことばかりつっこんだのですが、ビジュアル面はそこまで問題なし。
コマ撮りシリーズの風味を3DCGで再現するという点で異色ながら、動きだけでなくテンポも近ければ、ファンなら嬉しい小ネタも盛りだくさんだし、それほど違和感なし。
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そりゃコマ撮りで観たかったという気持ちは強いですけど、作るのが大変なのは分かるし、そもそもそういう企画じゃなかったことは発表時で分かってたので、そこを責めるのは野暮ですね。
ただ、絵的なパンチが弱い上にストーリーが終盤までそんなに大きく動かないので、60分という短い尺の割に、普通にダレたし、長く感じました。
残念。
ビジュアルはそこまでチープに感じなかったけど面白味や見応えもなかった。
まとめ
●ストーリーはブラックジョークを超えてて引いた。
●コマ撮り再現は割とできてて、元のシリーズに近い按配
●アニメーション的な魅力を失っているせいかダレる。
というわけで、
正直、あまり良かったとは思えない映画だったのが正直なところでしょうか…….。
好きな人、ごめんなさい。
とは言え、映画の日効果もあるでしょうが、キッズから大人まで様々な人で溢れててほぼ満員な回だったのは嬉しかったし、所々普通に笑わせられる瞬間もありましたよ。
しかも、しかも……
続編映画の製作が発表されました!!
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映画の後に「続編決定ムービー」を流すってことは、元から作る気満々だったってことじゃん!
モルカーってそんなに安牌になってたんですね。
すごい。
次回作はもっと心から絶賛したくなる映画だといいな。
公式サイト
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