【映画レビュー】ちゃんと良い話だけどモヤモヤした気持ちは否めない!『かがみの孤城』の感想
レビューが遅くなってすみません組。
『かがみの孤城』のざっくりとした感想
『かがみの孤城』を見てきました。
2022年最後を飾るのは、『オトナ帝国の逆襲』の原恵一監督と『あの花』のA-1 Picturesが、辻村深月先生の同名ベストセラー小説をアニメーション映画化する企画。脚本には、これまでもなんども原恵一監督とタッグを組んでいる丸尾みほさん。
前作『バースデー・ワンダーランド』が、悩ましい結果だっただけに今回はリベンジなるか!?という気持ちで臨みました。
ちなみに原作は未読の状態で臨みました。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
佳作!
説明が足りなかったり、原作では補完されてるのかな?と思う箇所はあるものの、悲しい事件と優しい人たちにしっかり泣かされてきました。
ざっくりではなく、若干ネタバレに踏み込んだ感想を書いていきます。
『かがみの孤城』のもっと踏み込んだ感想
■原作から映画への落とし込みはうまくいってない?
という割とユルめなルールのお話。
原作は結構厚みのあるお話だということで、この1年間という期間がもっと意味を持ってきそうなのですが、映画だと結構この1年をざっと駆け抜けていくので、あっさりした印象は否めませんでした。
登場する子供達の数も多すぎて、尺的に持て余している感じの子も居たりで、映画サイズへの落とし込みがうまくいってないのかな?と原作を読んでない側なりに不安に感じましたよ。
原恵一監督が大阪芸術大学での試写会に参加された際に、今回の映画の制作をするにあたって、「『カラフル』と似てしまうかも」とあまり気が進まなかったことを語っていました。
Production I.Gの社長である石川さんに背中を押されたことも大きく、今となっては「やってよかった」と思っていたホッコリエピソードオチのお話だったのですが、今作の手落ち感は、原監督が能動的に映画化しよう、と思って制作された企画じゃなかったことも影響があったのかも、とも思ったり。
話が破綻しているわけでもないし、軸がブレてるわけではないんだけど、生理の不完全さが漏れているような映画でした。
■不登校だとこんな感じなのか!と言う視点
とはいえ、ですよ。
シンプルに
学校へ行くだけが正解の選択肢じゃない。
それ以外にも救いの場所はある。
という視点が得られるお話だったのは、とても好感。
今回『かがみの孤城』を観て、思い知ったのですが、
自分は結構“学校を楽しんで過ごしてしまった派”だった、ということ。
学校が別に好きでもなかったですけど、言うて思い出すのは、楽しい思い出とかだったり、そもそも不登校経験がなかったので、今回の映画で主人公のこころちゃんが学校に行けずに、家で一人でご飯を食べてる様子とか、避難場所として保健室に駆け込む様子とか、「うわー、そんな感じなんだ。」という、今更の不登校体験ができました。
保健室なんて、熱出た時ぐらいしか行くこともないので、避難場所どころかあんまり行きたくない場所、という認識を持っていたので、ある意味幸せな学校生活を送れてラッキーだったんだな、と卒業からかなり経った今、実感しています。
然るべき人に届いて欲しい。
そんな風に強く思える、ちゃんと良いお話でした。
■最後の仕掛けは“おもしろい”に至れてない?
あとはとても残念と思ったのが、最後の“仕掛け”。
ふせったーとコラボしたりして、そんな“ネタバレ注意”な映画なのかな?と、疑問に思っていたのですが、映画を観てみて納得。
今作しっかりある仕掛けが隠されている映画となっていました。
物語の最後にその仕掛けが明らかになって、あっと驚かせてくれる……
そんな試みが用意されています。
ただ、この仕掛け自体は割とすぐに予想できてしまうというか
「結構な大ヒット日本アニメ映画が似たようなまさかの展開」をやっていたこともあって、意外と多くの人が途中で気づいてしまっていたんじゃないかと思うのですよね。
なので、この映画のその仕掛け自体を楽しみに行く、みたいな感じではないのだろうし、予想できてしまう分、答え合わせ映像みたいなのが流れた際には、サプライズに失敗しているような妙な居た堪れなさを感じました。
まとめ
というわけで、悪い映画ではないと思いつつも、原作未読ながら詰めが甘いような印象を受けた悩ましい映画でした。
『映画クレヨンしんちゃんモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の原恵一監督!
と意気込んで観に行くと肩透かしをくらうかもしれないので、
『バースデーワンダーランド』の原恵一監督がリベンジに来た!
ぐらいの気持ちで臨むとちょうど良いのかもしれないです。
お城もあれだけ大きいのだから、もうちょっと広く活かせたら良かったのになぁ。
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