【映画レビュー】『映画クレヨンしんちゃん爆睡!ユメミーワールド大突撃』の感想!ごめんなさいのイマイチ評!狙いが空回りしてないか?
※この記事は過去にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開としております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12156363956.html
※ 2016年5月6日(金)当時の感想です
実はある映画のために私は日本帰国の期間を延ばしたのですが・・・それがまさにこれ!
映画のしんちゃんシリーズです!
ただ、結果的に延ばし損ぐらいに思ってしまいました......。
映画クレヨンしんちゃん爆睡!ユメミーワールド大突撃を観てきました。
映画クレヨンしんちゃん爆睡!ユメミーワールド大突撃
製作年:2016年 / 製作国:日本
監督:高橋渉
クレヨンしんちゃん劇場版第24弾。
ゲスの極み乙女。の主題歌起用の話がなくなったり、ゲスト声優であるとにかく明るい安村さんの不倫がスクープされたりと、呪いがかかったかのような状態の本作ですが、意外と好評なようで、興行収入はなかなか良いようです。先に言っておくと、ゲスの極み乙女。さんの代わりに起用されたケツメイシさんのエンドロールについては曲も演出も含めて今年屈指のお気に入り作品です。
で、私の見てきた感想をざっくり言わせてもらうと
これはちょっと褒め難い・・・
という不満有りな感じの映画でした。
周りでも「良かったよー」って声もよく聞くのでそれに水を差すような形になっちゃうのが悪いんですが、長年劇しんファンをしている一人として、やっぱり今年の映画はダメだったんじゃないか!ってことは正直に述べておきたいのです。
詳しい感想を書いていきます。
今回課せられた課題と突飛な解決方法
根本的にこの映画が変だと思う理由は、
終盤まで友情物語なんだけど、ラストで急に親子愛物になるから。
というのもこの映画のキーキャラクターであるサキちゃんが抱える問題が2つがあるがために、しんちゃんは今回サキちゃんを2度に渡って救わなければいけないことになります。
まず、サキちゃんが父の夢彦の存在によって孤独な存在となっている問題。そして、サキちゃんをそうさせなくてはいけない原因である悪夢の問題。
この2つがこの映画の課題となっているわけです。
で、2つ目の問題であるサキちゃんの悪夢の問題を解決していくことがクライマックスになるのですが、その結末が強引でどうも私は納得行かないのです。
最後の方までは、親と子の関係と、子と友達の関係がしっかり対立構造として絡み合っていて、友情の力でサキちゃんを解き放っていこうとする話になっています。そこまではまだ綺麗な物語の筋なものの、悪夢をどう解決するかが、結局その友達の力でもどうしようもなくなってしまう......そんな結末になっちゃってるんですよね。
じゃあ、もう一つの問題を解決するにはどうすればいいのかという展開で、急にそこまで今回はクローズアップされていなかったとあるキャラクター(一応伏せときますね)が『ここを救えるのは私しかいない』としれっと出てきて、大筋を言葉で説明しながら、あっという間に解決してしまうという結構、好きになれない結末を迎えました。
それ自体は正直、起こりうることとして不自然ではないし、その部分のメッセージなどは分かるのですが(そのまま台詞にしちゃってるから当たり前ですけど)、そこまで長々と友情で戦ってきた展開はなんだったんだって思えてしまってしょうがない身も蓋もないラストでした。
「友情で親の呪縛と闘う」って話だと思ったのに「結局友情では勝てなかった」という結末になっちゃって、結果的にうまくなってない話だと私は思いました。この映画では、最終的に問題を解決に導くには友の力ではダメ。親の力・・・しかも父じゃダメ。みたいな着地になっちゃってると思うんですが、意地悪な見方なんでしょうか。
友情物語としての惜しさ
友情物としての映画としては、すごくいいなと思うことがあって、しんのすけのしんのすけらしいマイペースさで、サキちゃんとの距離を縮めていく部分や、ネネちゃんの女の子同士だからこそ活きるちょっと変わった友情とか、おもしろく見ていました。
ただ、このしんちゃんとネネちゃんの部分事態はあまり絡み合っているわけでもなければ、支えあってるわけでもなかったですね。私はこういう部分がどんどんうまく組み合わさるところが好きなのでそうして欲しかったです。
カスカベ防衛隊の物語と評している人もいますが、そこもやや首をかしげるところで、風間くん、マサオくん、ボーちゃんに関してはサキちゃんとの距離感がどうしても友達の友達ぐらいでそこまで熱い友情がないところも、変なリアリティを感じてしまいました。確かに皆がそこまでガチッと結束することもないですよね。そういうリアリティもしんちゃんらしいと言えばしんちゃんらしいので、一方的に否定はしにくいのですが、しんちゃんもネネちゃんも活かそうとして、うまく相乗効果が生まれていないのは残念でした。
パンフレットで高橋監督がこの映画で描きたかった友情について話していますが、「損とか得とかを超越したそんな子どもたちのつながり、絆みたいなもの」として描こうとしているらしく、説教臭くない友だち関係って描こうと思うとこの映画みたいな感じなのかな。
正直、そのテーマだったら『夕陽のカスカベボーイズ』『B級グルメサバイバル』とかの方が、うまく描けていたような気がしないでもないです。
ネネちゃんの活かし方が新しかったので、どう使うのか期待したんですが、最終的にはそれほどうまい使い方でもなかったですね。
クレヨンしんちゃん映画の今後の課題
細かいところでは、皆が良いところとしてあげそうな、夢彦とサキの食卓と野原一家の食卓が対比になっているシーンや、ユメミーワールドやホラー的な造形、とにかく明るい安村さんの使い方なんかは私も結構好きでした。
ネタバレできない未公表のゲスト声優の“あの人”に関しては、あんまりよく知らない人なので、若い子供たち同様、ポカーンと見てました。
しんちゃん映画にとって、親子愛物としてはひろしサイドの活躍が目覚ましいですが、母性の描き方で、なかなかここぞ!っていう傑作が出てこないですね。今後のしんちゃん映画の課題となりそうです。(『オタケベ』はあざとすぎかと)
※ ちなみにまさにそんなしんちゃん映画で母を描いた傑作が後年の2019年に登場。『クレヨンしんちゃん新婚旅行ハリケーン〜失われたひろし〜』はみさえにフィーチャーした大傑作となっていました。
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