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【MBTI】「判断機能(F/T)が内向なら知覚機能(S/N)は外向」というMBTIの仮定は正しいか?
MBTIの16タイプは優勢機能と補助機能の組み合わせだけで決まります。
そして、優勢機能と補助機能の組み合わせは①判断機能と知覚機能の組み合わせであり、かつ、②外向と内向の組み合わせである必要があります。
【MBTIの基本ルール】
① 判断-知覚-知覚-判断 または 知覚-判断-判断-知覚
② 外向-内向-外向-内向 または 内向-外向-内向-外向
①は何となく分かるとして、②はかなり強い仮定です。
この仮定に従えば、優勢機能と補助機能について「判断機能が内向なら知覚機能は必ず外向」または「判断機能が外向なら知覚機能は必ず内向」となります。
しかし、内向的判断(自分の感情や思考による判断)をメインに行う人間が、必ず外向的知覚(外部の情報を知覚)をメインで行う、またはそうでなければ不健全などということがあるでしょうか?
この記事で検討していきます!
1. 外向-内向/内向-外向ルールの背景
優勢機能や補助機能の元ネタはユングのタイプ論10章C.III.11という、1000文字にも満たない文章だと思われます。
明快な説明ではありますが、補助機能の外向/内向について言及していないようにも読めます。
【ユングのタイプ論10章C.III.11の抜粋】
・最も分化した機能(※以下「優勢機能」とします。)の典型的な特徴は不均衡にぼやけている。優勢機能の隣には、比較的決定的な役割を果たす、分化の程度が低い二次的な機能(※以下「補助機能」とします。)があり、補助機能は優勢機能と同等の地位を持つことが禁じられる。
→優勢機能>補助機能
・補助機能は優勢機能とあらゆる点で異なる機能で、対立しない機能である。優勢機能と補助機能は意識的な機能となり、残りの機能は抑制され、無意識の機能となる。また、優勢機能と対立する機能はより強い抑制を受ける。
→優勢機能>補助機能>無意識の機能>無意識の機能(対立)
・補助機能を強化することで、無意識の機能の影響を防御できる。
【ユングのタイプ論10章B.II.の抜粋】
・優勢機能と対立する機能とは、外向/内向が逆である。
→総合すると、例えば優勢機能がFeであれば補助はS/N、対立はTiとなる。
一方、1962年のMBTIの説明を見ると、内向的思考や内向的感情を持つタイプについて、外見上・外面的な性格が主に外向的な補助機能によって表出するという説明がされています。
しかし、ユングやその後継者は内向タイプはSiだろうがNiだろうが客観的にはよく分からんと説明しているので、この説明はMBTIオリジナルのものだと思われます。
2. 補助機能の向きの再検討
1では、MBTIの断機能が内向なら知覚機能は必ず外向」または「判断機能が外向なら知覚機能は必ず内向」という仮定について、ユングの説明に準拠しているのかが不明であることを説明しました。
そこで、2ではこの仮定を再検討します。
まず、自分をサンプルに検討してみます。私がユングが言うところの外向的直観を思考でサポートするタイプだとすると、優勢機能にNe、補助機能にはT、代替機能にF、劣勢機能にはSiが来ます。
この表現だと、Neで知覚した情報をベースに、感情も参考にしつつ思考で判断する。Siはあまり使えていない、という言い方になります。
一方、MBTIでのENTPは補助機能がTi、代替機能がFeとなります。この場合、Neで知覚した情報をFeも参考にしつつTiで判断する、という言い方になりますが、私は違和感を抱きます。Fiを参考にしたらいかんのか、とか、本当にTeを使ってないのか、とかです。
例えば、私は心理機能診断だとFeよりFiの方が強く、実際にそうだと思います。まあ社会的に見たときの相対的な強さで言えばFiよりTiの方が強いかなと思いますが、それでもFiを持っていないと思えません。
Teも同様で、Neが見せる未来を実現するため、無意味な規範ならともかく真に必要な規範を守らせることや、無意味な規範をスクラップして効率的にすることにもやる気がバンバン出ます。
感覚として、NeにとってはTとFの全てが推進力であり、補助的なツールだと思います。
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補足として、私の知るINTJとINTPも似たようなところがあります。INTJが効率や評価を度外視して片っ端から難癖レベルの厳密な解釈を振りかざしているのもよく見ますし、目先の可能性にとらわれがちな私よりINTPの配偶者の方が未来予測は上手です。
3. 結論 補助機能と代替機能から外向/内向を外してはどうか
MBTIは優勢機能と劣勢機能の性質と影響については非常によく説明できていると思います。
優勢機能は確かに外向と内向が明確にあり、逆の向きの機能はあまり使いたがらず、実際に使わず、使えないという状態になっています。
劣勢機能もNeとSeが似たような関係になっており、抽象的に感じるのが好きなのか抽象的にしか感じられないのかはわかりませんが、使えないことは間違いないです。
一方、補助機能と代替機能については微妙な当てはまりの悪さを感じています。一例を挙げると、補助機能と代替機能にまで向きの制限を付けると、どのタイプ同士を組み合わせても全ての心理機能をカバーできないという問題点が生じます。
例えば、ENTPとINTPのカップルをそれぞれNe-T-F-Si、Ti-N-S-Feと考えた場合は全ての心理機能をカバーすることができますが、現行のMBTIだとNe-Ti-Fe-Si、Ti-Ne-Si-Feとなり、どう頑張ってもTeとSeがカバーできません。
これは美しくないし直感的でもないです。そもそも、個人のままだと5つも心理機能が欠けているという話になるので、かなり疑わしいです。
この辺の曖昧さが「心理機能の発達は人それぞれ」「人の心は複雑」のような歯切れの悪さに繋がっているような気がします。私はMBTIのこの当てはまりの良さをもっと高めて分析にガシガシ活用したいんだ!
ちなみに、ENTPをNe-T-F-Siと表現した場合であっても、重複するタイプはないのでMBTIの考察には影響は出ません。そもそもユングのタイプ論がどっちにも取れるような記載ぶりなので、そんな間違った表現でもないでしょう。
ということで、私のMBTIへの(独自の)理解も深まってきたので、次回以降は優勢機能ベースで各心理機能の解剖を進めたいと思います。
例えば、ISFP/INFPに共通する性質を抽出することでFi/Teという心理機能を解析する、というやり方です。そして、ISFP/INFPなど個別のタイプについてはnoteでサンプリングしたいと思います。既にESFPとESTPはサンプリングしているので、分析が楽しみです。