タクシー会社の事故係の経験から見たあんしんな自動車保険の話
昨年末までタクシー会社の運行管理者をしていて、事故の現場対応に何百回と出動しました。
現場での僕のミッションは、事故相手など関係者の情報を取ったり、今後の交渉がスムーズに行われるようその道すじを伝えたりすることです。
「スムーズな交渉」というのは、こう言い換えられます。
「我が社の保険会社と、相手の保険会社の交渉」
金銭面については事故のプロ(保険会社)同士に交渉してもらい、素人である我々は口を出さないほうがいい。それはたいへんな労力だ、ということです。
このツイートは「事故相手の保険会社の事故後の対応が不誠実だ」という記事を、僕がフォローしている人がシェアしたものです。僕は退職して2か月あまり経っていますが、このツイートを見て思うところがあります。
それは「大きな保険会社はあんしん」ということなんですが分かりづらいので、僕なりの「大きな」の要素を具体的に2つあげます。あんしんの要素。
・保険料が(比較的)高め
・担当者(代理店)がはっきりしている
事故後の交渉ってとにかく保険会社に人手の余裕があるかどうかなので、マンパワーの潤沢さは上の2点で推察できます。
上の絵のような事故が発生しました。お客様が乗車中のタクシーが、一般の自動車に追突されたもので、追突した車が100%悪いという事故です。お客様はウンウンうなっています。僕は相手の運転手にぶっちゃけてお話をしました。「タクシーのお客様の心象によってはあなたの行政処分も厳しくなるかもしれないので、すぐに保険会社から被害者のお客様に連絡するよう伝えたほうがいいです」
ケガをした人はお巡りさんから「加害者に厳しい罰を望みますか?」的な質問をされて、もし「望む」と言われてしまうと違反点数とか罰金とかが重たくなってしまうそうです。相手の方は言われたとおり、すぐに事故の報告の電話を入れていました。
…それから救急搬送されたお客様の診察が終わるまで2時間ほどの猶予がありましたが、相手の保険会社からはなんの連絡も入りませんでした。病院には精算をちょっと待ってもらって、いそいで僕は相手の保険会社に電話を入れました。担当者がわからないので事故対応窓口、というところです。
「このままでは被害者の方がお支払いになってしまいます、だいぶお怒りなので対応したほうが…」
「はい、立て替えてもらってください」
…支払わせるわけにはいかないでしょう、ウチのお客さんなんで会社のお金で立て替えましたがお客様は「相手の運転手、許さん」と…。相手の保険会社が病院へ「われわれが支払いますので!」と伝えてくれていれば、こんなにこじれることもなく。不注意が悪かったとはいえ、恨まれてしまった相手の方が不憫です。
あくまで僕の、僕の経験則の雑なまとめです。三井住友・東京海上・JAは担当者(代理店)がいることが多い印象で、なんなら現場まで来ることもありました。顔を合わせて人間関係ができてる担当者がいるとあんしん。ヒトとヒトとの話し合いを取り持つのもまた、ヒトです。
逆にコマーシャルでよく見聞きするネット系は、ゴニョゴニョ…。ゴニョ。おわる。
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