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見た:20センチュリーウーマン

20 Century Woman (2017) マイク・ミルズ監督

今ここにいる自分の考え方、好きな音楽、趣味、その他自分を形成するあらゆるものは周囲の何かしらに影響され、幾度となく取捨選択を繰り返した先にある。

劇中、アビーは自分の持ち物を撮影した写真作品を作る。それによって自分自身の姿が浮かび上がるというのだ。写真家・奥山由之も昔同じようなことを言っていた。人って選ぶもの、住む場所、その人の肉体以上にその人の周りが全てで、その人の周りで起こることはその人の選択肢や経験があってこそだ、と。

誰かと共に生きること、それも良いのだが、”誰かによって受け継いだもの”が自分の中で生き続け、さらにまた他の誰かへ引き継がれるということはとても尊い。この映画では20世紀を生きている女性たちが15歳の青年ジェイミーに色々な影響をもたらす。アビーが与えた”フェミニズムの本”はまたそれより以前に誰かが語りかけたものであり、それをアビーを通して受け継いだジェイミーは21世紀の誰かへとまたバトンを引き継ぐのだろう。

人と人が離れてしまうことは往々にしてあるが、人が人に与えた影響はその人の中で生き続けまた他の誰かに引き継がれる。そのいくつもの輪が連なり重なりあって今この世界が形成されている。


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