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LSHTM〜Term3〜

(共用冷蔵庫のドアがぶっ壊れても半年以上は使い続ける、環境に優しい学校。決して貧乏なワケではない…はず)
※このシリーズは、Public Health(General Stream)に属する純ジャパがお送りしています。SNS→https://twitter.com/neien


 LSHTMの修士課程、その3学期は4月最終週から始まり、5週間で終了します。
授業は1科目のみで、Public Healthコースは学生が選択したStream(Health Economics, Health Promotion, Health Services ManagementHealth Services ResearchPublic Health (General stream))によって、受講する科目が異なります。
 私はGeneral streamを選択したので、必修科目として「Principles and Practice of Public Health(公衆衛生の原則と実践)」を受けました。通称、PPPH。授業とセミナーは基本的に水曜日と木曜日の2日だけで、金曜日は「試験(レポート)の準備に当てろ」と指示があります(1科目あたり週に2.5日分の授業とセミナーがあるのが基本です)

PPPHは授業名通り、実践よりの科目です。学ぶ内容としては、

  1. データとは?

  2. Policy briefの書き方

  3. 健康ニーズのアセスメント

  4. (政策の)優先順位の決め方

  5. (利害関係者との)コミュニケーション

  6. (政策の)評価について

 使う教科書(?)はOxford handbook of public health practiceなので、興味のある方は検索ください(著者はイチロー・カワチ氏です)。
 個人的には最初の頃の授業でMatthew Saundersが担当してくれた「データについて」が印象深いです。非常に良くまとめてくれつつ、聞き手を退屈させない小話も入れてくる(でもそれは脱線ではない)ので、質の高いレクチャーでした。「史上最高の統計図」と言われている、ミニエが作成した統計図を紹介があったのもこのレクチャーから(統計図についてはリンク先の方が詳しく紹介してくださっています)

https://note.com/masani8120mm/n/ne9cfb24c6aab

 もちろん、上記のような内容の授業に加えてセミナーがあります(相変わらず純ジャパ泣かせ)。セミナーでは、

  1. 研究を批判的に読む

  2. (介入によるどのように効果が現れるかの)ロジックモデルを作ってみる

  3. ディベート

  4. 公衆衛生がテーマのボードゲーム

などがありました。ディベート回ではセミナーの時間が準備に当てられ、授業時間に「TVでの公開討論回っぽいもの」を代表者数名で行われます。ボードゲームは残念ながら体調不良で参加できなかったのですが、参加者のお話を聞く限り楽しめる内容みたいです。この科目の統括者、Dr Dalya Marksがこのボードゲームの開発に携わったようです。

ロジックモデルは説明が難しいので、ttps://www.youtube.com/watch?v=lYi30bL0AMo
事前視聴が求められたこちらの動画を参照ください(こちらも非常によくまとめられています。余談ですが、セミナー前にちゃんと視聴してきた学生が少ないのなんの…)

 試験はレポートでした。過去の学生が書いた「成績の良かったレポート」を事前に配布してくれるので、アウトラインを掴むことができます。
 課題は「上級政策立案者への政策提言」で、今年のお題は「公衆のメンタルヘルスを改善し、対象集団の健康の不公平等を軽減する為に利用可能な介入オプションを提示すること。ただし医療とソーシャルケア以外で。」でした(おおまかに言うと)。過去のレポートは「肥満対策」だったので、解決すべき健康課題はその年によって変わるみたいですが、介入の方向性は同様のようです。


健康の社会的決定要因

 要は、「健康って医療やソーシャルケアが与える影響よりも、Socioeconomic Factorsの方が大きいよね。こちらに介入しなきゃだよね」ということ。
 授業やセミナーは最終レポートが書けるように組み立てられており、しっかりと受講していれば書き上げることにそこまで苦労しないかと思います。

 さて、General streamのコース説明にも記載されていますが、
「公衆衛生問題に対する適切な政策対応を策定、実施、評価する」
「研究証拠を批判的に評価し、伝達する能力を示す」
ことがこのコースを履修することでできるようになると説明されており、PPPHはこの説明を達成するための肝だと思います。
 個人的な解釈ですが、「将来国際的な組織、もしくは国レベルの組織で働き、政策立案に関わりたい方」であれば、このコースが適当と言えるでしょう。
 LSHTMには様々なコースがあるのですが、「そのコースを卒業して、いったいどういったキャリアがあるの?」というのが個人的な疑問の1つでした。もちろん「卒業生はこんな機関で働いています。こんな職業に就いています」という情報はHP上で知ることはできるのですが、結構バラバラで混乱しかねない。逆に、「色々なキャリアを選ぶことができる」とポジティブに取れもしますが…うーん。
 

 感想

 「3学期はのんびり、ゆったり。空き時間に卒論を〜」と考えてましたが、体調不良の影響で予想以上にバタバタしてしまいました。
 卒論に着手するにも、人によっては「倫理審査がまだ通ってなくて...」と、始められない方もいらっしゃいました。倫理審査の許可が降りなければ研究を開始することはできないので、倫理審査への申込みはなるべく早めが吉です(特にデータを集めるところから開始する研究では。となると、卒論で動き出すのはもっと早くから…)。

 ところで、3学期は「曇天もしくは雨」ばかりだった2学期のロンドンとは打って変わり、天気の良い過ごしやすい日々を過ごせます。留学生活の楽しみにしておいてください!(2024-2025年は£29,960=約600万の学費が1年で必要みたいですが…)

5月上旬の学校エントランス前

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